ドイツ:東西統一から20年 格差改善も不満くすぶる

2010年10月1日 20時2分

 【ベルリン小谷守彦】東西ドイツ統一(90年)から3日で20年になる。旧東独の産業解体などに一部不満は残るものの、旧東西地域の生活水準の格差改善など社会統合は大きく進んだ。デメジエール内相は先月22日、記者会見で「20年は大成功の歴史だった」と総括した。

 連邦統計局が発表したドイツ統一20年のまとめによると、91年に対旧西独比でわずか46.5%だった旧東独地域の所得は09年に76.5%に改善した。連邦政府は旧東独の格差改善に90年から財政支出を続け、19年まで総額3432億ユーロ(約39兆円)を払い続ける方針。

 デメジエール氏によると、旧東独地域の交通、健康保険、教育、住宅などインフラ整備が大きく改善した。だが、経済力格差や失業率の東西格差は十分には克服できていない。さらに90年代、東から西に人口流出が起き、旧東独全体ではなお人口減が続く見通しだ。

 8月下旬、旧東独ブランデンブルク州のプラツェック首相は「統合過程に失敗があった」と週刊誌のインタビューで発言し、統一20年の祝祭ムードに水を差した。プラツェック氏は9月27日、毎日新聞などと会見し「東西統合は旧東独の既存産業や社会制度を生かしたものでなかった」と真意を明かした。

 プラツェック氏によると、旧東独には先進的な集約的外来医療機関があったほか、3歳未満を対象にした公的託児施設も存在した。これらは東西統一で全廃されたが、最近は再導入が進む。統一前に競争力のあった旧東独の工場地帯も競争相手の西独企業に買収され、多くはつぶされた。プラツェック氏は「維持する方法があったはず」と旧東独の「産業解体」を疑問視する。

 ただし、こうした批判はあるものの、ここ数年の好景気もあって東西統合の成果はおおむね前向きに評価されている。政府は3日、北部ブレーメンや首都ベルリンで祝典を開催する。ウルフ大統領やメルケル首相が出席を予定している。

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