臨時国会:菅首相所信表明 「尖閣国会」前途険しく

2010年10月1日 14時31分 更新:10月1日 15時5分

衆院本会議で所信を表明する菅直人首相=国会内で2010年10月1日午後2時24分、藤井太郎撮影
衆院本会議で所信を表明する菅直人首相=国会内で2010年10月1日午後2時24分、藤井太郎撮影

 菅直人首相が1日開会の臨時国会で行った所信表明演説は「ねじれ国会」を反映し、野党に広範な政策協議を呼びかける内容となった。しかし、野党側は沖縄県・尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件で「外交敗北」などの批判を強め、臨時国会は冒頭から「尖閣国会」の様相を呈している。菅政権が10年度補正予算案の成立へ向け野党との信頼関係を築けるかが問われる。【田中成之】

 首相は9月30日夜、記者団に「この20年間、本来なら解決しておかねばならなかった問題を先送りしないで解決するんだという『先送り一掃宣言』と呼べる所信表明を国民に聞いてもらいたい」と胸を張った。

 確かに、就任直後の6月の所信表明にはなかった「消費税を含め、税制全体の議論を進めたい」など、重要政策課題に取り組む意欲がちりばめられている。国民にも社会保障改革のための「多少の負担」を求め、野党だけでなく国民全体に責任の共有を呼びかける「菅カラー」を前面に押し出した。

 民主党代表選で小沢一郎元幹事長に勝利し、内閣支持率が回復した自信も背景にあるのかもしれない。ただ、尖閣事件の船長釈放は中国の圧力に屈したとの印象を内外に与え、菅政権の外交能力に疑問符をつける形になった。それにもかかわらず、首相は演説で「国民一人ひとりが自分の問題としてとらえ国民全体で考える主体的で能動的な外交を展開せねばならない」と外交責任の共有まで国民に求めた。ケネディ元米大統領の「国のために何ができるかを問え」という名演説を意識したとみられるが、外交で信頼を失った危機感は乏しい。

 首相の掲げる「有言実行内閣」には野党の協力が不可欠であり、国民の信頼回復がその大前提となる。まずは尖閣事件で説得力のある説明が求められる。

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