中国:フジタ社員3人を釈放 1人は取り調べ続行

2010年9月30日 11時34分 更新:9月30日 17時48分

フジタ本社が入るビルに詰めかけた報道陣=東京都渋谷区で2010年9月30日午前11時48分、津村豊和撮影
フジタ本社が入るビルに詰めかけた報道陣=東京都渋谷区で2010年9月30日午前11時48分、津村豊和撮影

 【北京・浦松丈二】中国河北省石家荘市当局に取り調べを受けていた建設会社「フジタ」社員ら4人について、中国国営・新華社通信は30日、4人のうち3人が釈放されたと報じた。法律違反を認め、反省する内容の始末書を提出したという。日本の外務省も釈放の事実を確認した。

 釈放された3人はフジタ国際事業部建設部次長、佐々木善郎さん(44)、営業本部営業統括第5部次長、橋本博貴さん(39)、現地法人社員、井口準一さん(59)とみられる。

 4人のうち現地法人に出向している高橋定さん(57)は釈放されておらず、引き続き取り調べを受けている。

 中国当局は3人が釈放された後、取り調べ中の扱いなど中国側を批判することを警戒し、高橋さん1人を留め置いた可能性がある。

 北京の日本大使館によると、丹羽宇一郎駐中国大使が30日午前9時(日本時間同10時)、中国外務省で胡正躍次官補と会談した。胡次官補はフジタ社員ら4人のうち3人を釈放すると通告。3人が違法活動を認め始末書を提出したことを理由とした。

 丹羽大使からは、中国側が引き続き取り調べている高橋さんの身柄の安全確保やアクセスの確保、人道的観点からの迅速な処理を改めて求めたという。

 4人は旧日本軍の遺棄化学兵器の処理事業の建設予定地を視察中、同省内の軍事管理区域に侵入して「軍事目標」をビデオ撮影した疑いで20日から同省石家荘市当局に取り調べられていた。翌21日午前に高橋さんから「救命(助けて)」というメールが現地法人社員に送られて以降、連絡が取れなくなった。

 北京の日本大使館は24日未明、中国政府から23日夜に4人が取り調べを受けていることを知らされたと発表した。日本大使館は25日、29日の2度にわたり、石家荘市内のホテルで領事面会を行っていた。

 ◇前原外相、早期解決求める

 前原誠司外相は30日の衆院予算委員会で、フジタ社員らの釈放について「4人のうち3人が釈放されたということは事実だ。今回、どういう要件で『居住監視』になっていたのかも明確ではなく、もう1人がまだ残されているので早期解決をしっかり求めていきたい」と語った。

 外相はこの後、国会内で記者団に、今の時期に釈放された理由について「まだ詳しく聞いていない」と述べた。

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