特捜証拠改ざん:前田容疑者「故意」認める

2010年9月30日 2時35分

前田恒彦容疑者=大阪市北区で2010年9月10日、三村政司撮影
前田恒彦容疑者=大阪市北区で2010年9月10日、三村政司撮影

 郵便不正事件に絡む証拠改ざん事件で、証拠隠滅容疑で逮捕された大阪地検特捜部の主任検事、前田恒彦容疑者(43)が、最高検の調べに対し、証拠品のフロッピーディスク(FD)のデータを「故意に書き換えた」と容疑を認める供述をしていることが関係者の話で分かった。前田検事は「(当時の)特捜部長と副部長にも伝えたはずだ」とも述べているといい、最高検は改ざんの動機や上司への報告内容を詳しく調べている。

 故意にデータを改ざんしたことを知りながら隠ぺいした場合は、犯人隠避罪に問われる可能性があるが、大坪弘道前特捜部長(現京都地検次席検事)と佐賀元明前特捜部副部長(現神戸地検特別刑事部長)は、最高検の聴取に「過失だと認識していた」と説明し、前田検事の供述と食い違う認識を示している。最高検は、改ざんを「過失」として処理した前部長らの対応について刑事責任を問えるかどうか、慎重に調べを進めている模様だ。

 前田検事は09年7月13日、FD内に記録された偽証明書のデータの最終更新日時を「04年6月1日」から「6月8日」に改ざんしたとして逮捕された。

 当初は「USBメモリーに移したデータを書き換えて遊んでいたつもりだったが、誤ってFD本体のデータを変えてしまった」と述べ、過失を主張していた。しかし、その後の調べに対して「FDをいじった」と供述し、証拠品を改ざんした故意を認めたという。改ざんの動機についてはあいまいな説明をしているとされる。

 また、地検内で改ざん疑惑が発覚した今年1月末~2月の時点で、大坪前部長と佐賀前副部長に対して「故意にFDのデータを改ざんしたことを伝えたはずだ」とも供述しているという。

 最高検は、厚生労働省の村木厚子元局長(54)=無罪確定=が04年6月上旬、部下の元係長、上村勉被告(41)に偽証明書の発行を指示したという検察側の描く構図に合わせるため、前田検事が改ざんを実行したとみている。だが、捜査報告書に添付された偽証明書のデータの最終更新日時が「6月1日」のままだったうえ、FDが証拠申請されずに弁護側に返還されるなど不可解な点もある。

 最高検は動機の解明を進める一方、大坪前部長と佐賀前副部長が前田検事の報告を聞いて故意だと認識できたかどうか、当時の経緯を詳しく調べている。

top
文字サイズ変更
このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事を印刷

PR情報

アーカイブ一覧

 
共同購入型クーポンサイト「毎ポン」

おすすめ情報

注目ブランド