2010年9月30日 10時49分
【ワシントン斉藤信宏】米下院は29日、為替市場で人民元の対ドルレートを低く抑えている中国に対する制裁法案を賛成多数で可決した。上院での審議は11月の中間選挙後になる見通しだが、上院が同法案を可決し、オバマ米大統領の署名を経て成立すれば、中国製品に対する相殺関税の導入が可能になる。制裁法案の可決で中国への人民元切り上げ圧力が一段と強まりそうだ。
法案は、自国通貨の相場を低く抑えている国の製品に相殺関税を課すことを可能にするもので、中国を標的にしている。中国は6月に人民元相場の弾力化を表明したが、その後3カ月以上たっても対ドルの人民元相場の上昇率は約2.2%にとどまり、米国内では議会を中心に中国批判が強まっていた。特に米下院では、中間選挙を目前に控え「我々には行動が必要だ」(レビン下院歳入委員長)との強硬論が大勢を占め、この日の採決でも賛成348、反対79と野党共和党からも多くの議員が賛成にまわった。
オバマ大統領は法案への賛否には言及していないが、この日も「我々が中国に圧力をかけるのは、人民元が過小評価されているからだ」などと強調。引き続き、中国政府に人民元の大幅な切り上げを強く求めていく姿勢を示した。既にガイトナー財務長官は「主要20カ国・地域(G20)の財務相会議などで協議し、人民元の上昇を加速させるよう働き掛ける」との方針を示している。