2010年9月29日 21時19分 更新:9月30日 0時50分
任天堂は29日、裸眼で3D(三次元)映像を楽しめる新たな携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」を来年2月26日に発売すると発表した。円高や据え置き型ゲーム機「Wii(ウィー)」の失速などで同社の業績見通しは悪化しており、高機能携帯電話(スマートフォン)などを使ったゲーム市場も拡大する中、新たな楽しみ方を提案するゲーム機の投入で巻き返しを図る。
「3Dで迫力が増す。ゲームに親しんでいない人に加え、コアユーザーにも新しい感覚を提供できる」。千葉市内で記者会見した岩田聡社長は、新作投入による需要掘り起こしへの意欲を強調した。
携帯型ゲーム機シリーズでは約6年ぶりの新型機。立体写真を撮影できるカメラも搭載。2面の液晶画面のうち3.5型の上画面が3D映像に対応し、3D映画も観賞できる。希望小売価格は据え置き型ウィー(2万円)より高い2万5000円。欧米では11年3月以降に発売する。
携帯型ゲーム機市場は、米アップルのアイフォーンと携帯音楽端末「iPod(アイポッド)タッチ」、ソニーコンピュータエンタテインメント(SCE)の「プレイステーション・ポータブル(PSP)」が攻勢をかけるが「任天堂はポケモンなど魅力的なソフトを持っている上、今回の3Dゲーム機は目新しい」(ゲームアナリスト)と期待される。
ただ、クリスマス商戦前に発売できない痛手は大きい。同社は3DSの具体的な投入時期について言及を避けてきたが、岩田社長は「当初は年内を想定していたが、年内では満足できる完成度で発売することが難しかった」と、遅れを認めた。
投入時期の遅れは販売計画の縮小につながる。「(完成度を優先したことが)長期的には確実にプラス」(エース経済研究所の安田秀樹シニアアナリスト)との声もあるが、円高や先進国の景気減速の影響が懸念される中、収益回復への貢献度が注目される。【浜中慎哉、宮崎泰宏】
任天堂は29日、10年9月中間連結決算の最終損益見通しを20億円の赤字(従来予想は700億円の黒字)と発表した。主力の据え置き型ゲーム機「Wii(ウィー)」本体やソフト販売の低迷、円高が響いた。9月中間期の最終赤字は03年以来7年ぶり。携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」発売が年末商戦に間に合わず来年2月にずれ込むことも響き、11年3月期連結最終利益見通しも前期比61%減の900億円と、従来予想から1100億円下方修正した。【宮崎泰宏】