2010年9月29日 20時44分 更新:9月29日 23時1分
文部科学省は29日、改定常用漢字表(2136字、年内に内閣告示)に追加される196字について、12年度から中学と高校で教え、15年度の高校・大学入試から出題を解禁することを決めた。同日開かれた文科省の専門家会議で了承された。
学習指導要領では、中学卒業までに常用漢字の「大体」を読め、高校卒業までに「主な」常用漢字を書けるようになることを求めている。これを踏まえ、追加される196字も中学段階で読めるようになることを目指す。12年度に全面実施される中学の新学習指導要領を一部改正、中学、高校同時に指導をスタートさせ、中学1、2年生に50~100字程度ずつを、残りを3年生に割り振って教える。12年度の中学3年生は1年間で、2年生は2年間で196字の読みを学ぶ必要があるが、11年度から前倒しで指導することも認める。
他方、高校で書けるようにする「主な」常用漢字は具体的には明示せず、196字のうちどこまで教えるかは各高校の判断に任せる。憂鬱(ゆううつ)の「鬱」や語彙(ごい)の「彙」など、読めても書くのは困難な漢字が多数含まれるためで、今年6月、改定常用漢字表を答申した文化審議会も「すべての漢字を手書きできる必要はない」としている。高校によって学力差があることも配慮した。
高校入試、大学入試ともに、追加漢字を出題できるのは12年度の1年生が受験する15年度入試から。高校入試では196字を読ませる問題を、大学入試では書かせる問題も出題できるようになる。
高校で学ぶ「主な」常用漢字の範囲が示されなかったことで「鬱」のような画数が多い漢字も含め、196字すべてが大学入試で出題される可能性がある。文科省は大学側に、教科書での使用頻度や高校の指導状況を踏まえ、極端に難しい漢字の出題には慎重な対応を求める考えだ。【井上俊樹】