2010年9月29日 18時52分 更新:9月29日 22時33分
宮崎県の東国原英夫知事(53)は29日、県議会本会議で任期満了に伴う知事選(12月26日投開票)について「出馬しないという結論に至った。口蹄疫(こうていえき)など行政課題は山積しているが、県知事として限界を感じている」と述べ、不出馬を表明した。その後の記者会見で今後について「国の形を変える行動をとりたい。霞が関から国民に大政奉還させるためにどう動くか、おいおい考える」と述べ、国政への転身に意欲をにじませた。知事周辺によると、自身を党首に新党を設立したうえでの次期衆院選や、来春予定の東京都知事選出馬を検討しているという。東国原県政は1期4年で幕を閉じる。
家畜伝染病の口蹄疫で大きな打撃を受けた地域経済の復興は、次期知事に委ねられる。知事選を巡っては県内の市長や元国会議員らの名前が取りざたされており、今後政党を中心に擁立作業が本格化する。
東国原氏は本会議で不出馬を表明した後「この国の統治システム、在り方を変えなくてはならない」とも述べた。記者会見では知事選について「後継指名はしない。私のやってきたことを受け継いでくれる人を選んでほしい」と述べた。
東国原氏は官製談合事件で前知事が逮捕された後の07年の出直し選で「宮崎をどげんかせんといかん」と訴えて初当選。就任後は宮崎産品のトップセールスや入札改革で話題を集めた。7月の地元紙調査でも県民の約9割が支持する人気で、再選出馬すれば当選は確実とみられていた。
しかし、県政運営では国と県の権限や財源の格差に不満を募らせ、過去2回の国政転身騒動もあった。昨夏の衆院選前には自民党からの出馬要請に「私を次期総裁候補として戦う覚悟はあるか」と発言。口蹄疫問題では、防疫対策の責任を巡り国と対立した経緯もある。【石田宗久】