2010年9月29日 11時38分 更新:9月29日 12時34分
日銀が29日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業・製造業がプラス8と、前回の6月調査(プラス1)から7ポイント上昇し、6期連続で改善した。新興国向け輸出の好調に支えられ、08年9月のリーマン・ショック前の水準(08年6月のプラス5)を回復したが、改善幅は前回の15ポイントから縮小。3カ月先の予想も9ポイント下落のマイナス1と悪化に転じ、円高などを背景に企業の先行き不安が強まっていることを示した。
大企業・非製造業のDIも、前回から7ポイント上昇のプラス2と6期連続で改善し、08年9月調査以来、8期ぶりにプラスに転じた。ただ、3カ月先の予想は4ポイント下落のマイナス2と悪化を見込む。
大企業・製造業のDIを業種別に見ると、全16業種のうち、紙・パルプと食料品を除く14業種が改善した。
9月7日のエコカー補助終了前の駆け込み需要があった自動車はプラス32と前回から14ポイント上昇し、新興国向けのデジタル家電販売が好調だった電気機械もプラス14と8ポイント上昇した。
ただ、3カ月先は、自動車が過去最大の38ポイント下落、電気機械も9ポイント下落と見込んだ。円高による採算悪化などを懸念したとみられる。製造業全体の3カ月先のDIが実際に悪化すると、09年3月以来7期ぶりで、マイナスになれば10年3月期以来となる。
大企業・非製造業のDIは、全12業種のうち通信を除く11業種が改善。猛暑でエアコンなどの販売が好調だった小売りや、電力需要の増えた電気・ガスの改善幅が大きかった。
一方、中小企業のDIは、製造業が4ポイント上昇のマイナス14、非製造業が5ポイント上昇のマイナス21。大企業に比べ景況感の改善が遅れ、マイナス圏にとどまっている。【大久保渉】
日銀が企業の景況感などを探るため、四半期(3、6、9、12月)ごとに実施する調査。業況判断指数は、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値で、数値が高いほど景況感が良いことを示す。9月調査は1万1283社が対象で回答率98.9%。回答期間は8月23日~9月28日。