民主党の税制改正プロジェクトチーム(PT)は、二十六日公表した二〇一一年度税制改正の提言案で、政府税制調査会が検討する個人向け増税の一部を容認。給与所得控除の年収上限設定や、成年扶養控除の縮小は実現する公算が大きくなった。一方で、PTは配偶者控除への所得制限の導入に慎重なのをはじめ、法人税の実質減税を求めるなど、政府税調の議論と対立している課題もあり、曲折がありそうだ。
給与所得控除はサラリーマンの年収から必要経費のみなし額を差し引き、課税所得を減らせる制度。政府税調は既に、年収上限として(1)千二百万円(2)千五百万円(3)千八百万円−の三案を提示し、PTも「一定所得を上限に見直すべきだ」と政府税調と同様の考えを示した。
成年扶養控除は二十三〜六十九歳の扶養親族を対象に、納税者の収入から一人当たり三十八万円を差し引ける制度。縮小についてPTは「働くことをためらう子どもの背中を押す契機になる」と理解を示した。政府税調は親の収入に頼る若者が多いとみて、年間所得四百万円(年収五百六十八万円)超の納税者は対象外とする検討を進めている。
政府税調とPTの考え方に隔たりがあり、難航しそうなのが配偶者控除の取り扱いだ。一一年度から子ども手当の支給額を三歳未満児で月額七千円上積みし、二万円にする財源を確保するため、政府税調は所得制限の導入を検討している。これに対しPT側は、子ども手当の受給対象児童がいない世帯と不公平感が生じるなどとし、「税制抜本改革で検討すべきだ」と一一年度改正には慎重姿勢。
法人税の税率5%引き下げについても代替財源確保が前提とする税調側と、実質減税を求めるPT側は対立している。
この記事を印刷する