チラシの裏SS投稿掲示板




感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[22815] 【ネタ】 うつネギ
Name: ウス◆a9d995ff ID:94a36a62
Date: 2010/11/01 13:26
今日魔法学校を卒業した。「りっぱなまほうつかい(失笑)」になるための修行として日本の学校の教師を務めることになった。
意味がわからない。鬱だ。

お姉ちゃんと離れたくない、ずっといたい。お姉ちゃんもそう言ってくれている。けれどジジイがそれを許してくれない。
お姉ちゃんもとうとう折れてしまった。鬱だ。
アーニャがうるさい。超鬱だ。

ジジイもといお爺ちゃんの友人が運営している「麻帆良学園」という所に向かわされるらしい。
ぶっちゃっけどうでもいい。お姉ちゃんと離れる時点でどこもかしこも地獄だ。楽園から追放されてしまった。アダム鬱だ。

出発の日、駅のホームで惜別の儀式をする。お姉ちゃんの胸の中で人目もはばからずわんわんと泣く。
この温もりが明日から感じられなくなると思うと涙が止まらない。もう鬱なんて次元じゃない。

発車のベルに伴い抱擁を解く。ありえないくらい肩を落としてとぼとぼ車両の入口に足をかける。
振り向きざま最後のお別れの言葉を交わそうとすると、お姉ちゃんが近寄って頬に口付けをしてくれた。



み な ぎっ て き た



お返しにお姉ちゃんの頬にもキスをする。
最高にハイになりながら僕はお姉ちゃんとの別れを済ませた。
修行を早急に失敗させウェールズに戻ってくることを固く誓う。汽笛が大きく鳴るのを耳に、涙ぐんで笑っているお姉ちゃんに大きく手を振るった。




飛び込んできたアーニャが僕の口に接吻を炸裂させた。
腐れ鬱だ。死んでしまいたい。










うつネギ










航空機、バス、電車、あらゆるアクセスを駆使し麻帆良学園に到着。目立たないように学舎に続く大通りの隅をズリズリ歩く。
すぐ経たない内に怒涛の通学ラッシュが発生した。騒音なんてレベルじゃない。マンハッタンかここは。鬱だ。

昇降口に差しかかろうとした所で「タカミチ」に歓迎された。
ちっとも嬉しくない。お姉ちゃんを出せ。メガネ鬱だ。
「誰か迎えに来なかったかい?」と聞かれた。影も形もなかったと伝えた。苦笑された。ぶん殴ってやりたくなった。

校長室に通された。妖怪がいた。
鬱だ。

手続きを済ませて「しずな先生」に引率される。僕が受け持つのは2年A組らしい。すぐに送還される予定なのでどうでもいい。
渡された名簿にもろくに目を通さず入室。すかさず悪辣すぎるトラップの餌食になった。意味がわからない。糞痛い鬱だ。

人の不幸を爆笑する不良生徒どものあんまりな仕打ちに対し、お姉ちゃんの喪失により不安定になっていた情緒が爆発する。
堪え切れず四つん這いの態勢で涙をぽろぽろ流した。ぢくしょう、鬱、だ……!

嗚咽に耐える子供に動揺したのか、不良どもがやけに高い声を出しながら「大丈夫?」「どこか痛いの?」などと声を重ねて近寄ってきた。
言うに事を欠いて当事者のお前等がそれを言うのか。
肩に置かれた手を思い切っり弾き飛ばす。「触れるなァ!!」と親の仇を睨むようにして叫んだ。呆気にとられる不良ども。溜飲が若干下がる。

しかし泣き黒子をした「ポストしずな先生」にハンカチを差し出された。
申し訳なそうにしながらも慈愛に満ちたその眼差しを見て、自分の頬をいまだ伝うみっともない滴の存在にハッと気付く。
顔をばっと覆い、


「な、泣いてなんかないんだからっ!」


と絶叫し、バーカ!と捨て台詞を残して教室を飛び出した。
にわかに背後の教室が騒がしくなるが、知ったことか。呪われろ!
腕でぐしぐしと顔を拭いながら廊下を疾走する。日本なんて鬱だ!






噴水のある広場の端で、膝を抱えながらうずくまる。頭の上でカァカァ鳴く鴉が夕日の向こうに消えていく。
どうやら2-Aの生徒達は僕を探しているらしい。追手が何度も視界の中に入ってきた。結界を張ってあるから気付かれない。いい気味だ。

お姉ちゃんに会いたい。会っていっぱい甘えたい。
いくら気取っていても満9歳の子供なんて蓋を開けてみればこんなものだ。
いまだ親離れもとい姉離れなんてできていない。一生するつもりもない。偏屈だ。

お姉ちゃんLOVE、お姉ちゃんLOVE、お姉ちゃんLOVE。
世界中の女の人がみんなお姉ちゃんになってしまえばいい。そうすればみんなお姉ちゃんで僕もみんなもお姉ちゃん萌えだ。世界は平和になる。
兵器も魔法もタカミチもいらなくなる。夢の国の実現だ。ユートピアはここにあった。
顔を膝に埋めて来る筈もない夢の国の到来を待った。あぁ鬱だ。


「あーっ! こんな所にいたーっ!!」


夢の国の代わりに追手がきた。鬱だ。
煩わしい、と顔を上げると──お姉ちゃんがいた。
「……ぇ?」と自分の目を疑う。お姉ちゃんと同じ顔をしたお姉ちゃんが目の前にいる。ツインテールだ。胸が幸せになる。

僕のキングダムお姉ちゃんの扉が開く。「心を解き放て」と邪念が囁き、僕のジャスティスがストレートお姉ちゃんからツインテールお姉ちゃんに塗り潰されていく。
結界が突破されている事実にも気付かず、僕はふらふらと夢遊病患者のようにツインお姉ちゃんに手を伸ばした。


「ったく、面倒かけさせんじゃないわよ、このガキンチョ! これだからガキは嫌いなのよ!」


──バキリ、と僕の視界に亀裂が走った。
……今、「コイツ」は、何て言った……?


「こんなガキが高畑先生の代わりなんて、あーもうっ、悪夢よ悪夢! アンタ、高畑先生を返しなさいよっ!」


要領を得ない罵詈雑言に僕のお姉ちゃんがボロボロに崩れていく。
ツインお姉ちゃんが壊れた幻想と化し、ツインはただのツインとなった。
僕の瞳が狭窄する。


「ちょ、ちょっと……? ねぇ、あんた、そんな顔をしてどうしt──」


みなまで言わせず、僕は自分の右拳をツインの頬に叩き込んでいた。


「──へぶりゅ!?!?」

「ぅ、ぁあああああああああああああああああああっっ!!!!」


獣の吠声が喉から迸り、僕の拳は自動操縦(オート)でツインの顔面を一斉射撃する。
その顔でっ! その声でっ! その香りでっ!
よくも僕のことをガガガガガガガキッがきがきがきガキンチョちょちょちょあああああああ悪夢なんてぐぁああああああああああああっっ!!
許さないっ! 許さないっ! 許さないっ!
姉さんの顔で僕に罵詈雑言を吐いたお前は、絶対に許さない!!
討つ、だッッ!!


「消えてしまえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

「ごっ……このッ、クソガキィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!!」


その顔を、変形させるまで、殴るのを止めないっ!!






その後、「ア、アスナー!?」と訛った叫び声が鳴り響くまで、僕とツインのラッシュは続いた。
マウントを取られながらも必死に抵抗する僕の目には、鬼の形相をした血だらけのお姉ちゃんの顔がずっと映り込んでいた。
オメガ鬱だ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ダラダラ書きと突発的執筆。一発ネタ。
需要があったら続きを書きたい思う。



[22815]
Name: ウス◆a9d995ff ID:9146c838
Date: 2010/11/27 09:00
ズタボロになった体を引きずってタカミチ居住地へ向かう。
肉はもちろん骨の一本や二本イカレテいるかもしれない。ありえない痛い。鬱だ。

指がぎりぎり届かないインターホンを死ぬほど憎みながら、生まれたての小鹿みたいにプルプル震えて必死に背伸びする。
震えるたび内臓と筋肉が悲鳴を上げる。もう止めてくれ、僕のHPはとっくにゼロだ。
ミートグッバイが間近に迫ってる。アッー!

HPは空でもMPはほぼ満タンだったことを思い出す。
一人喜劇を演じていたやるせなさと怒りの余り雷の暴風でドアを開けてしまった。間抜け過ぎて鬱だ。
中を覗くと食卓についているタカミチが咥えていた煙草をポロリと落としていた。許せとは言わない。ゴメン。

僕のボロクソな顔面を見て引き攣った笑みをするタカミチ。
アンタの教え子と拳を交えた結果がコレだよ。
授業で咸卦法でも教えてたのかアンタは。あの右ストレートはありえない。居合い拳どころかマッハパンチも真っ青だ。
思い出したら折られた奥歯が……J鬱だ。

焼け石に水程度の治療魔法を自分でかけながら、タカミチにも包帯を巻かれる。
教師(仮)就任してまだ初日。冗談抜きでもう帰りたくなってきた。知れず怨嗟と望郷の声が口から漏れる。「絶対に修行失敗して帰ってやる…」とつい本音も出てしまった。
汗を流すタカミチが色々ツインのフォローやら明るい学園生活について語るが、知ったことか。僕の授業は全部自習だ。
教師ルートなんてクソ喰らえだ。こちとら生まれる前からガチ姉ルートと決まっている。


朝。
半壊したタカミチ宅は冬の洗礼に対し余りにも脆弱だったことを記しておく。糞寒い。自業自得だが。
咸卦法で爆睡するこのメガネは意外に神経が図太いらしい。コキュートスに落ちてしまえ。傷に寒気が染みる。

やけにニコニコしているタカミチを訝しみながら朝食をもらう。
どうでもいいけど朝日に照らされる大穴の空いたリビングってシュールだ。時代の先駆け過ぎる。
お粥しか食べれない自分のあり様に溜息をついていると、ドアの無くなった玄関に配達が現れた。

こんな朝早くから来るなんて最初は新聞の方かと思ったが、どうやらタカミチ宛てではなく僕のものらしい。
何故ここに居ることが知られているのか気にかかったが、タカミチの持ってきてくれたその封筒を素直にもらう。
差出人は……Nekane Springfield。



お ね え ちゃ ん だ



体内を循環する魔力がフィーバーする。比喩抜きで怪我の回復能力が向上した。
全身に力がみなぎる。アーニャにアホ毛と馬鹿にされていた前髪のアンテナが天を突く。
神だ。神の采配だ。疑似女神が傷付いた僕の前に降臨を果たした。僕はこれで後一週間は闘える。

カッ!と光輝く両眼がお姉ちゃんの筆跡を求めその便箋を渇望する。
封筒を破るのさえもどかしく感じながら、取り出したそれに一気に視線を走らせた。

──こんなに早く手紙を出すのを許して欲しい云々。
──朝起きた時ネギが隣にいなくて寂しい云々。
──お願いだから怪我をするような真似しないで欲しい云々。
──女の子には優しく生徒には心を広く持つように云々。
──つらいことも沢山あるけど挫けないで欲しい云々。
──ネギは途中で物事を投げ出さないって信じている云々。
──今度会う時は立派な魔法使いに成長した姿を見てみたい云々。
──でもどうしても我慢できなくなったら遠慮しないで頼って欲しい云々。
──私はいつでもネギの味方だから云々。
──愛している云々。

…………おかしい。
いや、嬉しい。お姉ちゃんの手紙肉筆真心気遣いは本当に嬉しい。僕も愛してる。
けれど、この……手紙の後半から始まる「ネギ、逃げないで」という遠回しなメッセージは……あたかも昨日修行を放り出そうと発言していた僕を戒めているような……。
そう。
これでは、まるで、昨夜の僕を見ていたようでは──


「────!!」

「ん? 誰からの手紙が来たんだい、ネギ君?」


ある発想が脳裏を一閃した瞬間、勢いよく背後を振り返った。
狙っているのか、小首を傾げるタカミチは清々しい笑みを僕に向けている。
包容力に富んだ野郎にしては余りにも気持ち悪い笑顔が僕の瞳を直撃した。
可愛い我が子を見守るようなその眼差しは、しかしその実、自分の計画が成功した確信に固まっていた。



タ カ ミ チ め ッ!!



こいつ、お姉ちゃんにチクリやがった!
僕がお姉ちゃんのお願いを無下にできないことを分かっていて、手紙を送らせやがったんだ!!
こうすれば僕が「日本の学校の先生」を止められないと、確信してっ!
僕の逃げ道をっ、塞ぎやがったッッ!!


「タカミチィィーーーーーーーーーーーーッ!!!」

「はっはっはっ、どうしたんだいネギ君。大声なんか出したら傷が開くよ?」


抜け抜けとぉ!!
体の傷を無視して目の前にメガネに飛びかかる。
許さない、僕からお姉ちゃん帰郷ENDを遠ざけたコイツを、僕は許さない!!
その憎たらしい顔を僕みたいに凸凹にしてやろうとがむしゃらに拳を振るった。
しかし、当たらない。
ツインの師匠はやはりツインの遥か上をいっていた。ツインなら五発に一発は当たっていた僕の拳が、ことごとく空を切る。
ははははははは、なんてお花畑の笑みを浮かべながら、人間を止めた動きをして軽々と往なしていく。
くそくそくそくそくそくそくそくそくそぉぉっ!!
メガネ、討つだぁああああああああああああああああああああああっ!!!!










うつネギ 2










結局、僕はあのメガネを倒すことはできなかった。
昨日のダメージによってすぐ活動限界を迎えた僕は、タカミチに抱きかかえられてまたこの校舎に運び込まれた。スーツまで勝手に着させられて。
うがああっ、屈辱だ……!

発狂しそうになる頭を掻き毟っていた所、しずな先生が慌てて駆け寄ってきた。
心配そうにどうしたのかと聞かれて、「タカミチにお姉ちゃんが利用された上、僕も心身が玩ばれました」と答えた。
その直後しずな先生の顔に浮かんだ微笑みを、僕は一生忘れることはないだろう。
タカミチ終了のお報せが僕の耳に届いた。

しずな先生に気圧され怒りが鎮火してしまった僕は、もはや選択の余地はないまま、2―Aの教室へ向かった。
お姉ちゃんの期待を裏切らないためにも、お姉ちゃんを悲しませないためにも、修行を続けるしかない。しっかりと、真面目に。
鬱、だ。

とぼとぼと歩きながら始業ベルの音を聞く。随伴しているしずな先生が何か言いたそうだったけれど、構う余裕はなかった。
教室の前に着く。室内から慌ただしい気配が伝わっていたが、頓着することなくドアを開け放った。


『ようこそ! ネギ、せん、せ…………』


大量のクラッカーが爆発する。
色とりどりのテープが宙に羽を伸ばす中、2―Aの生徒達は僕を見て順々に口を閉ざしていった。
今の僕の格好はミイラ男に等しい。タカミチの応急処置によって巻かれた包帯は僕の顔面を覆い尽している。
それだけツインの攻撃が苛烈を極めたということに他ならない。

歓迎会でもするつもりだったのだろうか。朝の内から賑やかな不良共だ。
固まっている彼女達を無視して教壇へとぴょこぴょこ歩く。ミートグッバイした足のせいで不自由な歩き方をする。鬱だ。そもそも病院に行かなきゃ不味い。


『…………………………』


クラスの視線が僕から離れてあのツインに集中する。ことの顛末はどうやら把握しているらしい。
ツインが「うぐっ」と呻いて体を縮め、次にはおもいっきり僕の方を睨みつけてきた。
此方も飛びっきりの敵意で応戦する。バチバチと僕達の間で猛烈な火花が散る。


「ほ、本屋! 日直、日直っ!?」

「れい、礼っ!?」

「えっ……は、はいっ!? き、起立、れれ礼ぃー!」

『おはようございますっっ!?』


僕とツインの雰囲気を危ぶんだのか、周囲が連携して場の空気の中和に取りかかった。大きすぎるくらいに朝の挨拶が行われる。
僕達がお互いにふんっと鼻を鳴らし目を背けた。今思い出しただけでも腹が立つ。同時にあの悪夢のお姉ちゃん(仮)映像に泣きそうになる。鬱の度合いがやはり半端ない。

苦笑するしずな先生からクラス名簿を受け取り、自己判断で出席確認。誰の名前も呼ばない。居心地悪そうに不良達が顔を見合わせていたが、知ったことか。
というかここ女子校だったのか。今気付いた。
──アーニャの話では、日本の女性はHU-ZYOSIとSYOTAに大別することができ。
──僕みたいな脆弱そうなチビはいいカモなのだそうだ。選択肢一つ誤るとBADEND直行らしい。
本当に何で僕をここに送ったんだよ。意味が解らない。鬱過ぎる。

「素顔と弱味(しおらしい姿)を曝しちゃダメよ!」という幼馴染の言葉をリフレインしながら、取りあえず暫くはこのミイラ状態を維持することを決めた。






授業。
口なんて開きたくなかったが、お姉ちゃんのゲッシュのためにもそんなこと言ってられない。
クソメガネの授業範囲を参考にしながら教科書を見通す。
ひとまず、音読。


「モガ、フガフガ。モガ」

「せ、先生……すいません、何を言っているのか……」


うるさい。それぐらい察しろ。
包帯で塞がってくぐもる声に、席先頭の「朝倉和美」が汗を流している。
そもそも日本は察しの文化じゃなかったのか。聞いていた話とは違う。アンニュイ鬱だ。

妥協して口周りの封印を解く。
ぷっくら膨れた小振りの唇を見て、何人かの生徒が目を血走らせて息を切らしていた。
もうヤダこの国。
お姉ちゃん、日本、怖い。

小動物のようにガタガタ震え身を縮みながら授業を進め、チャイムと同時に片足でぴょんぴょん跳ね急いで、教室を抜け出した。
鬱なんて言ってる場合じゃない、危機だ。



~~~~~~~~~~~~~~~
ふと見たら感想が二ケタまで行ってたので舞い上がり。ちょっと続き書いてみる。
例によってグダグダ。すまそ。
もう話忘れちゃったからブックオフ行ってくる。取りあえず1,2巻だ。

感想ありがとうございます。


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.00242590904236 / キャッシュ効いてます^^