(6) ニワトリの起源の分子系統学的解析:秋篠宮文仁1,三宅哲雄2,高田 勝3,新宮良介4,遠藤俊徳,五條堀 孝,近藤典生3,大野 乾51山階鳥類研究所,2湧永製薬,3進化生物学研究所,4大阪大学第二内科,5Beckman Research Institute of the City of Hope, USA)

ミトコンドリアDNAを用いた分子系統学的解析により,ニワトリの起源を調べた.とくに,キジ科に属する30種以上の個体から血液サンプルを抽出し,ミトコンドリアDNAのD-loop領域のDNA配列を決定した.また,現在家禽として飼育されているニワトリの多数の品種からもミトコンドリアDNAも抽出してDNA配列を決定した.決定されたDNA配列は,multiple alignmentを行って,各種間における塩基置換数を推定した.推定された塩基置換数に基づいて,分子系統樹を作成した.その結果,調査されたすべてのニワトリは,インドシナ半島に住んでいた赤色ヤケイを単一の起源としており,ニワトリ起源の単系統説を裏付けるものであった.この成果は Proc. Natl. Acad. Sci., 93, 6792-6795に発表した.