2010.11.25 Thursday
トッピーネットでは以前、
radikoの実用化試験が始まった際に、このような記事を書きました。
【関連記事】「radikoに見るラジオの利権と未来」
これまで、地上波の電波を使ったラジオ放送というのは、
基本的に都道府県ごとの免許の下、行われてきました。
そのうち、一部のAM局にのみ、
都道府県境を越えて、
複数の県をカバーする免許が与えられてきました。
(FM山陰は過疎化の特例よる唯一の複数県カバー)
そのため、ラジオというのは
都道府県ごとの「利権」という側面もありました。
しかし、インターネットの台頭、広告費削減、景気悪化のなかで、
ラジオ自体に「利」がなくなり、
利権が利権でなくなりつつありました。
そのため、ラジオの復権を目指し、
インターネットでラジオ放送を流すという発想になったわけですが、
そもそもインターネットには、
厳密に都道府県を仕切るという技術が確立されておらず、
また、radiko側も県単位ではなく、
地方ブロック単位でのエリアカバーとする方針を採ったため、
結果として、放送では、
東京都だけをカバーするFM局、
大阪府だけをカバーするFM局について、
radikoでは周辺県でも聞けるという「越境」が発生しています。
そして、実用化です。
【朝日新聞】新会社radikoを12月1日に設立、IPサイマルラジオ放送が本格始動
記事によりますと、
東京と大阪については、周辺県の局の参加も促すと同時に、
東京エリアは1都6県へ、大阪エリアは2府4県へとエリアを拡大。
これにより、たとえば、
本来は東京都でしか聞けないはずのTOKYO FMが、
同じ系列局であるFM群馬のある群馬県や、
RADIO BERRYのある栃木県でも聞けるようになってしまいます。
さらに、来春を目処に名古屋、福岡、北海道へと、
各エリアにあるラジオ局に参加の意思を確認したうえで、
拡大していく予定とのこと。
地域ごとの、
かつてあった「ラジオ利権」をブロック単位で守る一方で、
微妙に、自ら、放送エリアの崩壊を招いています。
また、先日書きましたとおり、
テレビ東京による番組のインターネット配信実験では、
都道府県判別の実績がある会社に判別を外注しているのに対し、
radikoは独自でやっているために、誤判定も多く、
線引き自体が曖昧になっています。
【関連記事】「テレ東がインターネットで地方をカバー?」
地上波民放ラジオ局のビジネスモデルを考えれば、
エリアごとに仕切る論理もわかりますし、
IPサイマルラジオは放送免許とは一切関係ないため、
本来は県域でしか無い放送局を、広域で配信することも、
全て、radikoを仕切る広告代理店の思うがままになるわけです。
理屈はわかります。
ただ、一リスナーとして感じるのは…。
免許の上では、市町村単位でしかエリアをカバーできない、
小規模なコミュニティFM局が、「サイマルラジオ」として
インターネットでは全国配信できているのに、
都道府県単位をエリアとしている、
コミュニティFMよりも規模の大きな民放ラジオ局が、
インターネットでは中途半端にエリアを仕切っているという状況に、
違和感を拭うことはできません。
それに比べると、
テレビ東京のインターネット配信実験は、
「エリア外のうち、番組販売をしていない県にのみ配信する」と
実に明確で、納得できるわけです。
私のような、もともとラジオが好きだった人や、
放送局にこだわりのある人は、
「番組」を選ぶ際に「どこの局の番組か」という要素が
大きなウエイトを占めていると思いますが、
インターネットで「検索」を知った世代はもう、
何かを聞きたかったり、何か映像を見たかったりする際、
選択するのは「番組」そのもの「映像」そのものという概念であって、
「放送局」「チャンネル」ではないという次元に移行しつつあります。
radikoの登場により、
かつてラジオを聞いていた人が、再びラジオに帰ってくるという
可能性は非常に高いと思います。
しかし、
「放送局」そして「地域ごとのエリアわけ」という
もはや、かつてのものになりつつあるビジネスモデルを
インターネットに持ち込んだradikoが、
ラジオに縁の無い、一般のネットユーザーにどれほど広まるのか、
という点には疑問符を打たざるを得ません。
【関連記事】
「radikoに見るラジオの利権と未来」
「テレ東がインターネットで地方をカバー?」
おすすめリンク
ラジオマニア2010 (三才ムックvol.329)
「ラジオマニア」か…。
なんだか聞いた話では、
今の中高生の間では、CDを買うこと自体「マニア」らしいね。
そんな世代では、やっぱり、
ラジオを聴くこと自体が「マニア」なんじゃないかなぁ。
<< サカエチカで何の訓練?…まさか?(11/24)
品揃えもすっかり!オーサカ行きたい!(11/26) >>
radikoの実用化試験が始まった際に、このような記事を書きました。
【関連記事】「radikoに見るラジオの利権と未来」
これまで、地上波の電波を使ったラジオ放送というのは、
基本的に都道府県ごとの免許の下、行われてきました。
そのうち、一部のAM局にのみ、
都道府県境を越えて、
複数の県をカバーする免許が与えられてきました。
(FM山陰は過疎化の特例よる唯一の複数県カバー)
そのため、ラジオというのは
都道府県ごとの「利権」という側面もありました。
しかし、インターネットの台頭、広告費削減、景気悪化のなかで、
ラジオ自体に「利」がなくなり、
利権が利権でなくなりつつありました。
そのため、ラジオの復権を目指し、
インターネットでラジオ放送を流すという発想になったわけですが、
そもそもインターネットには、
厳密に都道府県を仕切るという技術が確立されておらず、
また、radiko側も県単位ではなく、
地方ブロック単位でのエリアカバーとする方針を採ったため、
結果として、放送では、
東京都だけをカバーするFM局、
大阪府だけをカバーするFM局について、
radikoでは周辺県でも聞けるという「越境」が発生しています。
そして、実用化です。
【朝日新聞】新会社radikoを12月1日に設立、IPサイマルラジオ放送が本格始動
記事によりますと、
東京と大阪については、周辺県の局の参加も促すと同時に、
東京エリアは1都6県へ、大阪エリアは2府4県へとエリアを拡大。
これにより、たとえば、
本来は東京都でしか聞けないはずのTOKYO FMが、
同じ系列局であるFM群馬のある群馬県や、
RADIO BERRYのある栃木県でも聞けるようになってしまいます。
さらに、来春を目処に名古屋、福岡、北海道へと、
各エリアにあるラジオ局に参加の意思を確認したうえで、
拡大していく予定とのこと。
地域ごとの、
かつてあった「ラジオ利権」をブロック単位で守る一方で、
微妙に、自ら、放送エリアの崩壊を招いています。
また、先日書きましたとおり、
テレビ東京による番組のインターネット配信実験では、
都道府県判別の実績がある会社に判別を外注しているのに対し、
radikoは独自でやっているために、誤判定も多く、
線引き自体が曖昧になっています。
【関連記事】「テレ東がインターネットで地方をカバー?」
地上波民放ラジオ局のビジネスモデルを考えれば、
エリアごとに仕切る論理もわかりますし、
IPサイマルラジオは放送免許とは一切関係ないため、
本来は県域でしか無い放送局を、広域で配信することも、
全て、radikoを仕切る広告代理店の思うがままになるわけです。
理屈はわかります。
ただ、一リスナーとして感じるのは…。
免許の上では、市町村単位でしかエリアをカバーできない、
小規模なコミュニティFM局が、「サイマルラジオ」として
インターネットでは全国配信できているのに、
都道府県単位をエリアとしている、
コミュニティFMよりも規模の大きな民放ラジオ局が、
インターネットでは中途半端にエリアを仕切っているという状況に、
違和感を拭うことはできません。
それに比べると、
テレビ東京のインターネット配信実験は、
「エリア外のうち、番組販売をしていない県にのみ配信する」と
実に明確で、納得できるわけです。
私のような、もともとラジオが好きだった人や、
放送局にこだわりのある人は、
「番組」を選ぶ際に「どこの局の番組か」という要素が
大きなウエイトを占めていると思いますが、
インターネットで「検索」を知った世代はもう、
何かを聞きたかったり、何か映像を見たかったりする際、
選択するのは「番組」そのもの「映像」そのものという概念であって、
「放送局」「チャンネル」ではないという次元に移行しつつあります。
radikoの登場により、
かつてラジオを聞いていた人が、再びラジオに帰ってくるという
可能性は非常に高いと思います。
しかし、
「放送局」そして「地域ごとのエリアわけ」という
もはや、かつてのものになりつつあるビジネスモデルを
インターネットに持ち込んだradikoが、
ラジオに縁の無い、一般のネットユーザーにどれほど広まるのか、
という点には疑問符を打たざるを得ません。
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なんだか聞いた話では、
今の中高生の間では、CDを買うこと自体「マニア」らしいね。
そんな世代では、やっぱり、
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