広島市は、民間との競合で利用が低迷している路上の市営駐車場について、駐輪場への転用を進めている。2005年度から6カ所を数え、今後も転用を続ける方針。経営改善に加え、環境面から市民の自転車利用を促すのが狙いだ。
市営駐車場は現在、路上や地下式など32カ所(1916台分)。指定管理者を募り、市の外郭団体などが運営している。一方で民間の立体駐車場やコイン駐車場が急増し、競争が激化。市営駐車場の昨年度の利用台数は155万2千台、料金収入は9億3500万円で、ともにピークの1998年度の約半分に落ち込んだ。
市は05年度、平和大通り沿いの路上駐車場(富士見町第一)を初めて駐輪場に転用。自転車やバイクでの通勤、買い物客に好評だったため、本年度予定分も含めさらに5カ所を駐輪場に転用した。05年度以降、計204台分の駐車場が計1962台分の駐輪場に代わった。
また、市は08年度から10年間の交通対策の指針である「新たな交通ビジョン」で「自転車の復権」を柱の一つに据えた。その中で駐車場の転用を、違法駐輪の防止や温暖化対策と位置付けている。
市道路管理課は「市営駐車場は車社会の進展に合わせ整備してきたが、環境対策を求められる時代になり、一定の役割を終えた。駐輪場への転用をさらに進めたい」と説明している。
【写真説明】昨年4月に市営駐車場から転用された平和大通り沿いの駐輪場(広島市中区小町)
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