越前蟹佐衛門の放浪日記

　　　　　　　　　　　　越前蟹佐衛門・・・推参！！

　拙宅が　猫屋敷　であることは、既にご承知のことと存ずる。

　　　　　　　　　　　

　あれは七月の　暑い真夜中　のことでござった。

　拙宅の猫どもの長女　ちぃ子　が、生まれて　ひと月ほどの子猫　を咥えて帰って参った。

　　　　痩せこけ・・・　　土に汚れ・・・　　糞尿にまみれ・・・　　　蚤だらけ・・・

　思わず　捨ててこぉ～い！　と言おうとしたところ、その　子猫の左目　のところが

　烏にでも突付かれたのか　大きく口を　開けているのに気付き申した。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　更に、腫れ上がり　化膿　しておるようじゃった。

　深夜じゃったが掛かりつけの　獣医殿　に電話をし、無理を承知で診察して貰ったところ・・・

　　　　　　　　　　左目失明・・・　　摘出の必要あり・・・

　とのこと。　　ほおっておいても　化膿　が広がり　命を失う　とのことじゃった。

　更に手術をしても、幼猫のうえ衰弱により　麻酔　に絶えられず　絶命　の可能性もあるとのこと・・・

　既に　十数匹　を養う拙宅で、これ以上はと思うておりました。

　随行した　奥方とちぃ子　には申し訳ないが・・・　　　

　　　　　　　　　　暫しの葛藤・・・

　　　　　　　　　　　　　　　　

　意を決し　獣医殿　に告げようと・・・　　　　同じ言葉が　奥方　からも・・・

　　　　　　　　　　幾らかかりますか？　

　獣医殿　の御好意で、幾分割安にはして頂き申したが　数万円　の出費・・・

　こうして　拙宅の養猫　となり　ももちゃん　と命名致した次第。

　今では元気に家中を駆け回り　ちぃ子　を母と思うておるようじゃ。

　今だ　十匹の猫屋敷　となっている　福井の探偵　蟹佐衛門でござった。

　　　　　　　　　　しからば・・・御免！！　　　　　　　　

　　　　　　　　　　こらぁ～～～！！　　よ、夜中に・・・　　ひぃ～～～障子がぁ～～～・・・