【社説】新国防長官は使い物にならない武器を交換せよ(上)

 23日に北朝鮮が延坪島に向けて海岸砲で奇襲砲撃を加えてきた際、これに反撃した海兵隊のK-9自走砲はわずか3門しかなかった。延坪島に展開する海兵隊には6門のK-9が配備されていたが、1門は訓練中に不発弾が発生した影響で作動せず、2門は敵の砲撃を受けて電子回路が故障した。韓国軍によると、K-9は最初の3分で1分当たり最高6発撃つことができ、その後も1分に2発撃てる能力を備えていることから、世界最高速を誇る自走砲などと言われてきた。しかし正常に作動した3門だけでも本来の性能を発揮していれば、2回にわたり応戦を行った44分間に、少なくとも300発を北朝鮮の陣地に向けて撃ち込むことができたはずだ。ところが実際に発射したのはわずか80発で、これは1分30秒に1発のペースという計算になる。

 延坪島に配備されていた対野砲・迫撃砲用レーダー(対迫レーダー)のAN/TPQ-36も、使い物にならなかった。今年1月末、北朝鮮が北方限界線(NLL)北側に海岸砲で400発の砲撃を行った直後、韓国軍はこのレーダーをペンニョン島と延坪島に1台ずつ配備した。このレーダーは敵が放った砲弾の弾道を追跡し、砲弾が発射された位置を解析するものだ。ところが今回、北朝鮮がケモリ陣地とムド陣地から最初に砲撃を加えた際、このレーダーはまったく作動しなかった。そのため延坪島に展開する海兵隊の砲兵部隊は、北朝鮮が砲撃を行った位置を把握できず、あらかじめ把握していたムド陣地に向けて応戦するしかなかった。レーダーは2回目の砲撃が始まった午後3時12分、最初に攻撃を受けてから38分後にようやく作動し始めた。

 このレーダーは万一戦闘が起こった際、朝鮮人民軍の長射程砲に攻撃を加えるのに、非常に重要な役割を果たす。北朝鮮は休戦ライン北側の洞窟などに、1時間に2万5000発を発射することができる数千門の長射程砲を密かに配備している。北朝鮮が保有する170ミリ自走砲は実際に砲撃を行う際、10発撃ってから洞窟に隠れるのに14分、240ミリ放射砲は同じく7分しかかからない。韓国軍が保有する対迫レーダー(AN/TPQ-36とAN/TPQ-37)は、少なくとも1-2分のうちに敵が放った砲弾の弾道を解析し、敵陣の位置を正確に把握しなければならない。つまり首都圏が敵からの砲撃によって破壊されるかどうかは、まさにこの1分1秒にかかっているということだ。今年10月に行われた国政監査で、延坪島とペンニョン島に配備された対迫レーダーは、同年2月に配備されてから8カ月の間に、11回も故障していたことが分かった。このように故障が頻繁に起こっているのはこれらの島々に配備されたレーダーだけで、首都圏の北側に配備されているレーダーには問題ないと言えるのだろうか。もし同じような状況だとすれば、ソウルとその周辺に住む数千万人の住民を、北朝鮮の長射程砲による攻撃から、どのように守るというのか。

 いくら最新鋭の兵器であっても、決定的瞬間に作動しないのなら、金のかかるガラクタに過ぎない。3月に哨戒艦「天安」が北朝鮮の攻撃を受けて沈没した際、やはり最先端のハイテク兵器といわれる海軍戦術情報システム(KNTDS)は、1200トン級の艦艇が二つに割れたことや、位置を示す信号が消えたことを把握できなかった。平沢第2艦隊司令部は、隊員たちからの携帯電話による連絡を受けて初めて事態を把握し、非常態勢に入った。当時、ペンニョン島に展開する部隊には熱監視装置(TOD)が配備されていたが、兵士たちはその装置が何なのかさえ知らなかった。そのため天安が沈没した当時の映像を確保するだけでも数日かかった。さらに、哨戒艦が沈没するという非常事態が発生した当時、敵潜水艦の位置を把握して攻撃できるはずの哨戒ヘリコプター「リンクス」は、故障によって1台が墜落、もう1台が不時着するという事故を起こしていた。後に、ヘリの整備を請け負っていた民間企業が、部品を交換したかのように偽っていた事実が明らかになった。

【ニュース特集】北朝鮮砲撃、緊張高まる韓半島

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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