2010年11月24日11時35分
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佐藤コーチからも「あとは滑り込んでいくだけだね」と言われている。そして「毎日積み重ねていくことが大切だよ」という言葉。練習の内容に大きな変化はないが、少し練習の取り組み方を変えた。
「先生と相談して、1時間から1時間半の練習を1日に3、4回滑るというやり方にしました。それに陸上トレーニングを加えて、短時間で集中して滑っています」
NHK杯後、新横浜スケートセンターでの練習。小塚崇彦(トヨタ自動車)ら十数人のスケーターにまじって滑り込んだ。特別扱いはない。1セッションの練習で自分の曲がかかるのは、1回だ。
「中京大なら何度でも自分の曲をかけられるけど、新横浜ではそうはいかない。だから集中力を高められる。その1回に集中しないとって。曲がかかる順番もそれぞれ違うから、初めの方に当たると短時間で自分を仕上げる力も必要になってくる。あと、たくさんの人に見られているということも大切。失敗してもいい。その1回に集中して、人前で滑り切る。今の自分にとって、必要なことです」
NHK杯の8位で、2季続けてGPファイナル(北京)進出は厳しくなった。でも、26日開幕のフランス杯は気持ちを新たに臨む。
「誰しも調子の波はあるものだけど、NHK杯のようなダメな演技はもうしてはいけない。フランスでは、NHK杯より良い演技はできると思う。自分が到達したいところに半分以上は近づいてきている。でも、今、自分が目指しているものが標準。それを早く達成しないと、これから先へ進めないから」
色紙に書き込んだ「日進月歩」は好きな言葉だ。絶えず進歩する自分を感じながら、今日も氷上に立つ。
◆「スピードが出てきた」一緒に練習する小塚崇彦選手
NHK杯の前から、佐藤先生のもとで本格的に一緒に練習を始めました。やっぱり1人で滑るより、2人で滑る方が勢いがついていいと思う。
NHK杯前の練習を見る限り、ジャンプを跳べる時もあったり、跳べない時もあったりで、どちらかというと跳べない時の方が多かったんです。だから結果については、練習通りだからしょうがないかな、と思っていました。
でも、NHK杯を終えてからは、浅田選手もだいぶ変わったと思います。以前より滑りのスピード感が出てきました。僕の目から見ても、一歩一歩がずいぶん滑るようになってきたなあと驚いています。滑る時に自分にとって心地よいエッジ(刃)の音があるんですけど、浅田選手からもそういう音が聞こえるようになってきました。
あとはこのスピードをジャンプにどう生かしていくかだと思います。スピードが出てきたことによって、ジャンプのコントロールの仕方が変わってきます。このまま滑り込んで、このスピードに慣れていくしかないと思います。(坂上武司)
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こづか・たかひこ 名古屋市出身。浅田と同じ佐藤信夫コーチの指導を仰ぐ。2010年バンクーバー冬季五輪は8位入賞。今季は中国杯でGPシリーズ通算2勝目を挙げた。五輪出場歴のある父親、母親、祖父ともに元スケーター。中京大体育学部4年。トヨタ自動車所属。170センチ。21歳。