2010年11月24日11時35分
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グランプリ(GP)シリーズのNHK杯でファンが予想もしなかった順位となった浅田真央(中京大)。周囲の心配を理解しながらも「良い経験だった」と浅田は振り返る。気持ちを新たに、26日からパリでのフランス杯を迎える。
「子ども向けのメッセージ……。何て書いたらいいかな。『やればできる』かな。でも、今の真央に言われたくないよって言われるかもしれないですよね。やっぱり『日進月歩』にしておきます」
そんな言葉をポロリと漏らしながらも、普段と変わらず、「浅田真央」のサインを色紙に書いた。日進月歩の言葉を添えて。GPシリーズの初戦、8位と沈んだNHK杯を終えたある日のことだ。
「NHK杯が終わってからも、練習の内容にはあまり変わりはないです。ただ、今まで以上に(佐藤)信夫先生と一緒に練習ができるようにはしています。私が新横浜スケートセンターに来たり、先生に中京大(愛知県豊田市)に来てもらったり。NHK杯の時よりも、ジャンプなどは日に日に自分のモノになっている感じがします」
浅田真央はいったいどうしたのか――。NHK杯を見たほとんどの人が、そう思っただろう。ジャンプの失敗を繰り返し、過去最低得点の133・40点。ただ、本人は冷静に現実を受け止める。
「しょうがないなって。試合前の練習から成功の確率は低かった。オフからジャンプを修正し始めて、良くなり始めた中間地点でした。跳ぶタイミングも変わったし、上下運動が少ない跳び方になった。NHK杯の公式練習では自分でもびっくりするくらい良くて。あれで期待をさせてしまったんですけど。試合になると練習で出来ていないものが出来るはずがなかった。ジャンプがほとんど跳べないのに勝てるはずないです」
もちろん悔しさはある。バンクーバー五輪があった昨季の序盤にも同じようなスランプに陥ったが、それとは種類が違うという。
「昨季は練習で跳べているのに試合では跳べないという状態だった。でも、今季は練習でジャンプを一からやり直している。直した上で、6種類すべてのジャンプをやっと跳べるようになってきたところ。それを今からプログラムの中でやっていくという段階だったから、昨季とは全く状態が違います」
ある意味、練習のための試合だった、と考えてもいい。
「失敗する自分の姿を人に見せるのは悔しいけど、そういう状態でも試合に出たことに意味がある。今の自分がどういう状態かを確認するためにも。そこでいろんな経験をすることが、今後の頑張りにつながる。試合に出ないと、それ以上の成長はないと自分は思っているから」