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【格闘技】長谷川「オカン勝ったよ」 日本人初の飛び級2階級制覇2010年11月27日 紙面から
天国のオカン、勝ったよ−。WBC世界フェザー級王座決定戦は、同級2位で前WBC世界バンタム級王者の長谷川穂積=真正=が、同級1位ファンカルロス・ブルゴス=メキシコ=に3−0の判定勝ちを収めた。4月に同バンタム級王座から陥落したが、再起戦で日本人初の飛び級2階級制覇を見事に成し遂げた。10月24日に亡くなった最愛の母・裕美子さんにベルトをささげた。またWBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチは、同級2位粟生隆寛=帝拳=が3−0の判定勝ち。同時に2階級制覇王者が誕生したのも史上初の快挙となった。 誰よりも試合を楽しみにしていたオカンにささげるベルトだ。母の生まれ故郷・岐阜県不破郡から近い名古屋で、日本人初の飛び級2階級制覇を達成した。判定の瞬間、とびっきりの笑顔でリングサイドの遺影に向かってガッツポーズを繰り返した。 「ここにいるはずの母親にもっとカッコイイ、安心するボクシングを見せたかったけど…。母は天国で喜んでくれてると思います」 激動の7カ月だった。ことし4月、11度目の防衛戦でモンティエル(メキシコ)に4回TKO負け。右あごを骨折し、プレートを埋め込んだ。 そして試合1カ月前の悲報。母が天国へ旅立った。2年前から書き続けていた闘病日記が見つかった。「心配なのは穂積の試合。命とかえられるならあの子に光を与えてください」「本物のボクシング。たくさんの人を感動させてほしい」。涙が止まらず全部を読むことはできなかった。「本物のボクシング」。これをリング上で体現するしかなかった。 フェザー級(57・1キロ)に上げてもバンタム級(53・5キロ)V10王者のスタイルは変わらない。これまで通り、倒して勝つ−。様子見は1ラウンドだけだった。右フック、左ストレート。序盤から強引に振り回して倒しにいった。手応えはある。それでも倒れない。これが3・6キロの壁だった。 「バンタムでは倒れていたんですけどね。それがフェザーは倒れてくれない。これがぶっつけ本番では分からなかったところです」 フルラウンド戦っても、仕留めることはできなかった。それでも試合後「穂積コール」は鳴りやまなかった。母が望む本物のボクシング、感動させるボクシングだった。 ただ、長谷川が理想とするレベルには到達していない。フェザー級でもスーパー王者になるため、課題は十分理解している。 「きょうは倒そうと気持ちが前へ行き過ぎてしまった。フェザーはパワーでいったらダメ。手数と速さでパッキャオみたいにいかないと」 長谷川にとって、これが20代最後の試合。日本のエースが帰ってきた。30代はフェザー級で「本物のボクシング」を見せる。 (森合正範) PR情報
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