北朝鮮砲撃事件を受け、仙谷由人官房長官らが朝鮮学校への高校無償化制度適用プロセス停止方針を示していた問題で、鈴木寛・副文部科学相は25日の定例会見で「無償化申請は受理するが現状では審査は行わない」と正式に表明した。全国の朝鮮学校10校は期限の30日までに申請する意向を示しており、年明けにも予定されていた適用の可否判断が遅れる可能性が出てきた。
無償化問題を巡っては菅直人首相も24日、高木義明文科相にプロセスを中止するよう指示していた。鈴木副文科相は会見で、「(申請期限を30日とする)規定は変更しないが、申請があった場合も直ちに審査はしない」と明言。事件の影響が沈静化するのを待って、審査に取りかかる方針を明らかにした。
「『外交上の問題と教育の問題は別』としてきた政府見解と矛盾する」との質問には、「規定を変えていないのだから、外交上の問題とは切り分けている。そのうえで総理が日本国民の生命や身体を守るという観点から総合的に判断した」と説明した。
一方、政府方針を受けて全国朝鮮高級学校校長会の代表者らが25日午後、東京都内で会見し、審査停止に抗議する緊急声明を発表した。声明では「今になって審査停止に言及するのは、これまでの態度と矛盾する」と指摘。11月5日に決まった規定に基づいて審査を進めるよう要望した。【篠原成行】
毎日新聞 2010年11月26日 東京朝刊