28日投票の松山市長選で愛媛新聞社は25日、これまでの取材などから終盤情勢を探った。知名度を生かし前哨戦で先行していた元民放アナウンサー野志克仁氏(43)=無所属=が告示後も優位を保ちつつ、前県議帽子敏信(57)=無所属・自民推薦・みんなの党支持、前市議菊池伸英(46)=無所属=両氏が追い上げる構図で推移。元市議西本敏(57)=共産、古紙回収業国元雅弘(63)=無所属=両氏は苦戦が続いている。
ただ、投票先を決めかねている声が多いとの感触が各陣営にあり、情勢には流動的な要素も残されている。
中村市政継承を掲げる野志氏陣営は選挙対策を受け持つ市議会最大会派「松山維新の会」などが従来の組織型選挙にこだわらず、個人のつながりを重視した戦いを展開。保守分裂選挙の中で、民主党支持層や無党派層を多く押さえた上、自民党支持層にも食い込んでいる。
帽子氏は全校区での集会をこなし、25日には自民の石原伸晃幹事長を迎え、丸川珠代衆院議員とは北条・中島地域を回り、国政との結びつきの強さをアピールした。組織戦を進めており、保守分裂で身動きが取りにくい企業や団体の支持動向が終盤の注目点になっている。
自民の候補者一本化調整を辞退し離党した菊池氏は地区集会や女性集会、少人数グループを訪れる手法を取り、若者や主婦層をターゲットに強力な後援会で全市的広がりを目指す。市長退職金撤廃などの思い切った公約でどこまで無党派層の受け皿になれるかが鍵となりそう。
西本氏は元市議の強みを生かした形で共産支持層以外からの集票も狙う。昼間は住宅地、帰宅時間の夕方には市内中心部などに場所を変え、暮らし重視を訴える。
国元氏は告示前にビラ配りで一巡した市北部など古紙回収の顧客が多い地域を中心に街宣車を走らせ、なじみが薄い南部にも街宣に赴いている。