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船でも「アイドリングストップ」停泊中、陸から送電構想

2008年12月30日17時47分

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 自動車ではおなじみの「アイドリングストップ」。これを港に停泊中の船にも浸透させようと、国土交通省が施設整備などの検討を始めた。船は停泊していても電力が必要で、重油でエンジンや発電機を回している。二酸化炭素(CO2)の排出を減らすため、これを切ってもらい、岸壁から送電して電力をまかなう構想だ。

 近畿運輸局と近畿地方整備局が、接岸時間が長い大型フェリーを対象に、大阪、神戸港などでの実施を目指している。岸からの送電は「陸電」と呼ばれ、岸壁には送電設備が、船には接続システムが必要だ。両局は来春までに(1)必要な設備とコスト(2)電力料金と重油代の比較(3)CO2など温室効果ガスの削減効果を試算。関係自治体も交え具体策作りに入る方針だ。

 大阪港を発着する大型フェリーの場合、朝に着いて夕方以降に出発することが多く、通常は10時間ほど接岸している。その間も照明や客室の清掃、冷暖房などに電力がいる。関西汽船の定員700人規模の大型フェリーでは、1.6キロリットル程度の重油(約8万円)を使うという。

 関西汽船幹部は「環境問題もあり、興味を持っている。行政の支援があれば、数年後に実現できるのではないか」と話している。

 国交省によると、06年度の運輸部門のCO2排出量の48.2%は自家用乗用車が出している。船舶は5.2%で、航空の4.4%、鉄道の3.0%より多い。標準的なフェリー1隻のCO2排出量は年約6万トンにのぼり、うち約1800トンは停泊中に出ているとの試算もある。

 国内で陸電は、電力会社専門の船舶など一部の中・小型船で試みられているが、大型船ではほとんど例がない。海外では米国の西海岸で普及の動きがあるという。(加藤裕則)

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