2010年11月24日14時7分
北朝鮮による砲撃で破壊された韓国・大延坪島の民家=東亜日報提供
北朝鮮による砲撃で破壊された韓国・大延坪島の民家=東亜日報提供
北朝鮮軍が韓国領の大延坪島(テヨンピョンド)を砲撃した問題で、オバマ米大統領は23日(日本時間24日)、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領と電話で会談し、韓国への全面的な支援を表明。米韓両国は、黄海で米海軍原子力空母ジョージ・ワシントンも参加した合同軍事演習を28日から来月1日まで実施することで合意した。オバマ氏は23日、米ABCテレビに「我々は攻撃を強く非難する。国際社会を再結集して、北朝鮮に圧力をかけていく」と述べた。一方、日米韓の3カ国は、国連安全保障理事会での協議も視野に水面下での調整を始めた。
李大統領との電話会談でオバマ大統領は、韓国と緊密に協力する考えを表明するとともに、北朝鮮の砲撃を強く非難。「挑発的な行動は北朝鮮の孤立を深めるだけだ。ただちに中止するとともに休戦協定や国際法上の義務を完全に順守すべきだ」と指摘した。
さらにオバマ大統領は、米国が韓国の防衛に最大限の努力をする考えを表明した。
オバマ大統領はABCテレビとのインタビューで、北朝鮮の行動について「対処が必要な、深刻で継続中の脅威であることを、地域のすべての国々に認識してほしい」と指摘。特に、北朝鮮と友好関係にある中国に対し「従うべき国際規範があることを北朝鮮に明確に示す」よう求めた。オバマ大統領は砲撃事件に「激怒している」(バートン米大統領副報道官)という。
オバマ大統領は23日、クリントン国務長官、ゲーツ国防長官、ドニロン大統領補佐官(国家安全保障担当)ら、安全保障にかかわる主要なスタッフをホワイトハウスに集め、砲撃事件について対応を協議。オバマ氏は「韓国への揺るぎない支援」を繰り返し表明した。
また、両国政府によれば、韓国の金泰栄(キム・テヨン)国防相は24日未明、ゲーツ国防長官と電話で会談した。金国防相が韓国軍の応戦を「自衛権の行使」と説明。ゲーツ長官は北朝鮮の砲撃について「休戦協定違反であり、米国は韓国の防衛に全力を挙げる」と述べた。両国防相は、追加挑発を抑止し、戦線拡大を防ぐ努力を続けることで合意した。
ただ、米政府は軍事行動については、慎重な姿勢を崩していない。オバマ大統領はABCとのインタビューでも、北朝鮮に対する軍事行動の可能性について言及を避けた。(ソウル=牧野愛博、ワシントン=伊藤宏)