【北京・米村耕一】北朝鮮砲撃事件で、北朝鮮国内では市民の間に「戦勝ムード」が広がっているようだ。砲撃があった23日前後に平壌市内に滞在した在日朝鮮人の男性が25日、北京市内で明かした。金正日(キムジョンイル)総書記の後継者、正恩(ジョンウン)氏と砲兵部隊は関係が深いとされ、今後は砲撃事件が正恩氏の功績となっていく可能性もある。
「(北朝鮮では)みな、先制攻撃を受けたので激しく反撃し、大勝利を収めたという言い方をしていた」と男性は話す。男性は親族訪問などのため北朝鮮を訪れていたという。
北朝鮮は砲撃事件について外務省報道官の談話などで、北朝鮮が主張する「領海」に韓国側が砲撃したため、自衛措置を取ったと主張している。
毎日新聞が昨年入手した北朝鮮当局の内部文書は、正恩氏について金日成軍事総合大学で砲術を学び、「砲術に大変明るい」と紹介。正恩氏が作った砲兵利用計画に「ベテラン将軍たちも感服を禁じえなかった」と伝えている。また、北朝鮮の軍事に詳しい専門家によると、今年に入り砲兵部隊の演習の映像が報道され、平壌市民の間に、正恩氏が身分を隠し、砲兵部隊に所属していたとの逸話が広がっているという。
毎日新聞 2010年11月26日 東京朝刊