知人男性の殺人罪に問われた指定暴力団道仁会系元組幹部、中原義生被告(45)の公判で福岡地裁が検察官調書2通の証拠申請を却下していたことが、中原被告の弁護士への取材で分かった。野島秀夫裁判長は「利益誘導により作られた疑いがあり任意性がない」と判断した。
中原被告は07年9月、組員らに指示し福岡市東区で男性(当時42歳)に暴行。福岡県筑紫野市の山中で射殺したとして起訴された。
弁護士によると、中原被告は捜査段階で殺害指示を認めた警察官作成の調書に署名。検察官の調書もこれに基づいて作られたが、公判では「警察官から(共犯の)組員らの刑を軽くしてやると言われ署名した」と無罪主張に転じた。今年7月には、取り調べた警察官が証人尋問され「共犯者を救えるのはお前しかいない」などと話したことを認めたという。
毎日新聞 2010年11月25日 西部朝刊