2010年11月25日20時1分
英首相官邸周辺で24日、政府の学費値上げ方針に抗議する学生ら=ロンドン、伊東写す
【ロンドン=伊東和貴、ローマ=南島信也】財政緊縮策へとかじを切った欧州各国で、教育予算の削減に反発する抗議運動が活発化している。英国とイタリアでは24日、学生らが国会近くに集結し、警備当局との小競り合いに発展した。
ロンドン都心では、大学生ら数千人が学費の値上げ撤回を求めて行進した。警備の警察車両が壊され、警官2人が負傷、約30人が逮捕された。マンチェスターなど他の都市でも数千人が抗議行動を行い、オックスフォード大など多くの大学で一部の施設が占拠された。ローマでも、数千人が市中心部から国会までデモ行進。25日には円形闘技場コロッセオを一時占拠するなど動きは全国に広がった。
英政府は、イングランドの大学の学費上限を2012年から今の3倍近い年9千ポンド(約120万円)に上げ、大学への教育助成金を約4割削る方針を掲げる。イタリアでは、10年の教育予算430億ユーロ(約4兆8千億円)が、来年は80億ユーロ削減される。政府は12年にさらに50億ユーロの削減を検討している。
イタリアでは教師不足により授業時間が減少。学校では備品の数が足りず、トイレットペーパーさえ補充できない状況で、学生たちは毎日、自宅から持参しているという。