2010年11月25日21時33分
【ソウル=箱田哲也】北朝鮮が23日に韓国・大延坪島を砲撃する前に、金正日(キム・ジョンイル)総書記と三男正恩(ジョンウン)氏親子が、攻撃を指揮した部隊を事前視察したのではないかとの見方が韓国で広がっている。事実とすれば、金総書記の指示や後継問題と関連している可能性が一層強まる、として韓国メディアも注目するが、韓国政府関係者は確認を避けている。
北朝鮮の朝鮮中央通信は砲撃前日の22日、金総書記が北朝鮮南西部の黄海南道竜淵郡にある養魚場などを訪れ、現地指導したと伝えた。正恩氏のほか、総書記の実妹の金敬姫(キム・ギョンヒ)氏やその夫の張成沢(チャン・ソンテク)氏らの実力者も同行したという。
訪問の日時は明らかにされていないが、通常、北朝鮮メディアは前日や前々日にあった金総書記の動静を伝えることが多いといわれる。大延坪島への砲撃を指揮した部隊までは直線距離で約80キロとされ、親子で部隊も視察した可能性が指摘されている。
ただ、韓国政府関係者らの見方は慎重だ。大統領府高官は「初耳だ」とし、北朝鮮分析を担当する当局者は「可能性はゼロではないが、確たる証拠は何もない」と話した。