イラン油田から撤退へ 国際石油帝石 米の制裁姿勢に協調 (1/2ページ)

2010.9.30 09:59

 政府系企業の国際石油開発帝石(INPEX)が、イラン南西部のアザデガン油田から完全撤退する方針を固めたことが30日、分かった。核兵器の開発疑惑を抱えるイランへの制裁措置を強める米国の姿勢に協調する。撤退が正式に決まれば、中東資源外交全般の見直しのほか、自主開発油田の確保を目指してきた日本のエネルギー戦略にも影響を与えそうだ。

 INPEXは東証1部上場企業だが、経済産業相が株式の29・4%を保有する筆頭株主。大畠章宏経済産業相は30日午前、記者団に対し「(INPEXが)経営判断としてそのような(撤退の)方針を検討していると聞いている」と述べ、撤退方針を認めた。

 INPEXは世界27カ国で石油や天然ガスを開発・生産。アザデガン油田は約260億バレルと世界最大規模の埋蔵量があるとされ、2004年に国際石油開発(現INPEX)がイランから75%の権益を取得した。ただ、核開発疑惑でイラン制裁を強める米国に配慮する形で、06年に10%に縮小させていた。

 関係筋によると、米国政府が制裁対象企業にINPEXを盛り込む可能性が高いとされる。制裁対象企業になると、米系金融機関との取引停止や米系企業との共同開発中止に追い込まれる恐れがある。

(次ページ)自主開発油田の確保に痛手

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