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更生可能性どう評価 石巻3人殺傷あす判決

 宮城県石巻市の民家で2月に起きた3人殺傷事件で、殺人、殺人未遂、未成年者略取などの罪に問われた石巻市の元解体工少年(19)の判決公判が25日、仙台地裁(鈴木信行裁判長)で開かれる。少年事件の裁判員裁判では全国で初めて死刑が求刑された。少年の更生可能性をどうみるかが判決に大きく影響するとみられ、裁判員らは極めて難しい判断を迫られている。

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 少年事件の裁判では一般に、犯罪の事実や動機だけでなく、成人の場合以上に被告の人格や成育環境などを考慮し、より広い視野で更生が可能かどうかを見極める必要があるとされる。
 検察側は「結果が重大で被告に更生の可能性はない」として死刑を求刑。弁護側は更生は可能だと訴え、死刑回避と保護処分を求めて結審した。
 死刑適用の基準として最高裁が1983年の判決で示した「永山基準」に沿った検察側、弁護側双方の主張は表の通り。
 検察側は3人への殺傷行為を全員の殺害を狙った冷酷極まりない犯行と指摘。弁護側は「1人を刺した後はパニック状態で執拗(しつよう)に襲うつもりはなかった」と説明した。
 更生可能性の評価では、検察側は少年が母親への傷害事件で保護観察中だったことや、元交際相手に暴力を繰り返していたことに加え、共犯者に「鑑別所で泣き、家庭環境が悪いと同情を買えばいい」と話したとの証言などから、更生可能性を否定した。
 弁護側は、少年が不遇な生い立ちから「暴力に肯定的な価値観を持つようになった」と強調。鑑別所が更生の可能性があると判断したことなどからも、立ち直りは可能だとして、少年院送致などの保護処分を求めた。

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 少年の反省の度合いでも検察側、弁護側の意見は対立している。検察側は少年が事件当時、共犯者のジャンパーを着た理由などで、共犯者の証言と食い違う供述をしていることなどから「反省が不十分」と主張。弁護側は「被害者に深い謝罪の気持ちを抱き、反省している。一部否認は本当に身に覚えがないためだ」と訴えた。
 判決は裁判員6人と裁判官3人の多数決で決まる。検察、弁護側双方の主張が真っ向から対立する中、裁判員らは更生可能性を見極め、極刑を含む広い選択肢から判決を決めなければならない。市民参加の法廷が、どんな判断を示すか注目される。
 公判は15日に始まり19日まで連日開廷した。22日に始まった評議は24、25の両日も行われ、25日夕に判決を言い渡す。

[石巻3人殺傷事件] 起訴状によると、元解体工少年は2月10日朝、共犯とされる無職少年(18)=東松島市、殺人・殺人未遂のほう助罪で起訴=と民家に押し入り、交際していた次女(18)の左脚を切りつけた上、長女の南部美沙さん=当時(20)=と、次女の友人で石巻市の高校3年大森実可子さん=当時(18)=を刺殺。同市の会社員男性(21)にも大けがをさせ、次女を連れ去ったとされる。
 このほか2月4〜5日には、東松島市の祖母宅で、次女を模造刀などで数十回殴り、額にたばこの火を押し付け、全身打撲ややけどをさせたとされる。


2010年11月24日水曜日


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