5年に1度の国勢調査で、今回から記入者が封をして提出するようになったのに伴い、調査票の記入漏れやミスが相次いでいる。調査員による事前チェックがないためだ。「1歳なのに配偶者がいる」「マークシートにチェックせず、文章で回答している」。確認作業に入った中国地方の市町村では、事務量の多さに悲鳴を上げるところも出ている。
「完全な調査票は半分ぐらいではないか」と困惑するのは、島根県隠岐の島町の担当職員。専従職員3人が休み返上で記入内容の確認や電話での問い合わせにかかりっきりだ。未記入の欄が目立つという。
表面だけで終わったと勘違いして裏面をまったく記入していないケース(岩国市)や、生年月日で「昭和」にチェックを入れながら、西暦で記入する間違い(山口県田布施町など)もある。
調査票は、個人情報への意識の高まりで今回から封入提出となり、回収後のチェック作業は市町の職員が担当する。住民基本台帳と照合し、空欄を埋めるが、電話で照会することもある。
既に照会を始めた島根県のある町では、自宅に電話すると「プライバシーの侵害だ」と怒られ、確認できなかったという。広島市や呉市、東広島市などは11月上旬から電話照会をするが「果たして答えてくれるのか」(呉市)と不安がる。
また、今回から郵送で提出できるようになったため、市町村の担当者は、提出済みか未提出かの特定に時間を多く費やしているという。
江田島市は、予想以上の事務量を受け、臨時職員などの雇用期間を延長した。益田市では、残業がかさみ、人件費が予算額を超える可能性も出てきた。
益田市秘書広報室は「国から出る人件費は決まっている。市の持ち出しを防ぐため、追い込み時期には残業代が発生しない管理職に応援を頼むしかない」と頭を抱えている。
【写真説明】国勢調査の調査員(左側)が回収した調査票を受け付ける東広島市役所の窓口
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