旧広島市民球場(中区)の跡地利用計画を巡り、市民団体「旧広島市民球場の歴史と未来を守る会」(永井健二会長)のメンバーが計画への賛否を問う住民投票の実施を請求したことについて、広島市は1日、「市政運営上の重要事項に当たらない」として却下する決定をした。
同会は9月、球場解体の是非を問う住民投票の実施を請求したが、市側は同じ理由で請求を退けた。同会は「市の裁量権の逸脱で、不当な判断」として処分取り消しを求める訴訟を広島地裁に起こしている。
この日、市役所を訪れた同会メンバーに対し、市側は「計画によって跡地を整備することで、環境面や経済面において良い面があっても、悪い影響を及ぼすとは言えない」と説明。同会は「(球場跡地整備は)重要課題と市が言ってきたのに、住民投票の重要事項に当たらないとは思えない」と反発した。今後、異議申し立てなども検討するという。
03年に制定された広島市の住民投票条例は、市議会の議決を経ずに市当局が住民投票開始を決定できる「常設型」。発議権は市民に限定しているが、住民投票の対象に該当するか判断する権限は市側にある。【寺岡俊】
毎日新聞 2010年11月2日 地方版