呉市が12年4月から一括民間委譲する方針の市交通局のバス事業について、民営化に反対する市民団体「呉市民の足を守る会」は29日、呉市役所で記者会見し、4000人以上の反対署名を11月1日に市長あてに提出することを明らかにした。
同会は、赤字になると分かっていながら運行を始めた路線が多数あり、赤字は民営化の理由にならない▽ずさんな経営は市の責任で、市民に責任転嫁するのはおかしい--などと指摘。森岡宏寿会長(70)は「民営化すれば路線が切られるかも知れない。年寄りなど交通弱者の足を守る社会福祉のため、赤字でも市営を続けるべきだ」と話した。
市営バスは、68年度の6417万人をピークに乗客数が減少し、08年度は1742万人。近年では市民税の約1割に当たる年10億円以上を市が支援している。市は2年間は路線の維持を条件にバス事業を民間委譲し、その後も市民の移動手段は確保する方針だ。【矢追健介】
毎日新聞 2010年10月30日 地方版