広島市が招致を検討している2020年夏季五輪について、中国新聞社は5〜7日の3日間、市内の有権者千人を対象に電話世論調査を実施し、8日に結果をまとめた。招致に反対は44・5%で、賛成の27・1%を17・4ポイント上回った。財政計画に収入源として示された1千億円近い寄付金集めに対しては、8割以上が「できないと思う」と回答。懐疑的な見方が大半を占めた。
招致をめぐる賛否では「どちらとも言えない」も28・4%あり、現時点では賛否を決めかねている層も少なくない。反対が半数近くあるものの、過半数には達していない。
反対と回答した人に理由(三つまで選択)を尋ねたところ、「広島市の借金増大など財政的に心配」が82・2%に上った。次いで「市にオリンピックを開くだけの力がない」(53・5%)、「子育てや介護など市民生活に密着した問題に力を注ぐべきだ」(39・6%)の順で多かった。
賛成の理由(同)では「広島都市圏全体の発展につながる」が64・2%でトップ。「経済効果が見込める」が48・7%で続き、地域や経済の活性化への期待感が表れた。市が招致のコンセプトに掲げる「核兵器廃絶を進めるシンボルになる」は41・0%だった。
▽寄付1000億円 85%「できぬ」
財政計画で収入源とした1千億円近い寄付金集めの実現性では、「できないと思う」が85・7%に達し、「できると思う」は9・4%と1割に満たなかった。開催自治体の財政負担を抑えるため、巨額の寄付金収入を見込んだ市と、市民の受け止めのずれが浮き彫りとなった。
市による市民への五輪計画案の説明については「不十分だと思う」(45・8%)、「どちらかと言えば不十分だと思う」(40・0%)を合わせ、85・8%が説明不足との認識を示した。
招致するかどうかを最終決定する手法では、「住民投票を実施するべきだ」が64・6%で圧倒的に多かった。次いで「市議会での決議が必要だ」(15・7%)、「市長選の公約で是非を問うべきだ」(11・5%)の順。秋葉忠利市長は年内に国内候補都市として、名乗りを上げるかどうかを表明する意向を示しているが、「市長の決断でよい」は5・9%にとどまった。
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