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不明から1ヵ月 見えぬ足取り、捜査難航 '09/11/26

 ▽悩みなど異変浮かばず

 広島県北広島町東八幡原の臥龍山で島根県立大1年平岡都さん(19)=浜田市原井町=の遺体の一部が見つかった事件は、26日で平岡さんの行方が分からなくなって丸1カ月となった。島根、広島両県警による合同捜査本部は大学関係者や、最後に姿が確認されたアルバイト先のショッピングセンター(SC)周辺で聞き込みを強めているが、退店後の足取りはつかめていない。

 ■帰宅方法

 平岡さんは10月26日午後9時16分ごろ、SC従業員出入り口から退店する姿が防犯カメラで確認されている。この時間帯は退店する従業員も多くいるが、付近で平岡さんやトラブルの目撃情報は出ていない。不明になる1カ月前、アルバイト先近くから学生寮に平岡さんをタクシーに乗せたという証言はあるが、市中心部を拠点にする主なタクシー会社によると26日、市内で平岡さんが乗車した記録はないという。路線バスなど公共交通を利用した形跡もない。

 平岡さんは普段、細い路地が入り組んだ市街地を抜け、近道の神社の境内から寮まで続く人けのない山道の約2・5キロを歩いて帰宅していたとみられる。捜査本部は同じ時間帯でSC周辺や帰宅ルートでの通行者への聞き込みや検問を続けているが、捜査幹部は「これほど(手掛かりを)つかめないのも珍しい」と首をひねる。

 ■交友関係

 捜査本部は大学関係者を中心に交友関係をさらに詳しく調べているが、トラブルによる悩みなどの異変も浮上してこない。

 平岡さんは同日午後2時50分までロシア語の授業を受けた後、寮に帰ってアルバイトに向かった。同じ授業に出ていた同級生の一人は「授業がだるいね」と普段通り冗談ぽい会話を交わしたことを覚えているという。午前中にあいさつした別の同級生も「『おはよう』っていつも通りだった」と証言する。

 ■情報収集

 司法解剖で、平岡さんが死亡したのは26日から31日までの間と推定される。11月6日、臥龍山の山頂近くで頭部遺体を発見。これまで胴体や左大腿(だいたい)骨、左足、つめの一部が臥龍山の広い範囲で見つかった。

 浜田署は2日、平岡さんの防犯ビデオの映像や顔写真を公開。合同捜査本部を設置した7日から25日まで、延べ4300人が臥龍山を中心に捜索し、延べ3400人が聞き込みなどにあたった。捜査本部長の島根県警の雪野博刑事部長は「本人の足取り、知人、友人…。あらゆる方向から情報収集に全力を挙げているのが実態。検挙できたと発表できないということは、捜査は厳しい状況にある」と話している。

【写真説明】行方が分からなくなった10月26日、アルバイト先のショッピングセンター防犯カメラに映った平岡さん(浜田署提供)



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