赤字のために16日から運航をいったん休止する明石市の第三セクター「淡路明石フェリー」(たこフェリー)は13日、休止に伴って売却されるキャラクター船「あさかぜ丸」に名残を惜しむ乗客らが乗り込んだ。黄砂の交じった曇り空で見通しの悪い明石海峡だったが、残り少ないフェリーの旅を満喫していた。
同社によると、休止発表(先月15日)以降、土日曜・祝日を中心に利用客が増加。今月3日の「文化の日」には車両が昨年同日比1・6倍の662台を、乗客が1・9倍の2510人を運んだ。
この日も午後7時半までに計3293人の乗客があった。明石港の乗り場では、乗船待ちの乗用車やトラック、オートバイが長い列を作った。特にバイクの利用者が目立ち、2時間待ちもあった。
出張で大阪に来てレンタルバイクで淡路島を走るという東京都江東区の会社員、藤畑信行さん(30)は「区切りを付けるフェリーに乗りたくなって」と話し、「明石海峡大橋の通行料は無料にならないと思う。だから来春に再開されるでしょう」と期待を込めた。
岸壁から船を撮影していた神戸市北区の会社員、芦野豊さん(36)は「明石出身でよく利用しました。休止されると港が寂しくなる。小型船でもいいから再開してほしい」と願っていた。【南良靖雄】
〔神戸版〕
毎日新聞 2010年11月14日 地方版