広島県警が広島市中区の紙屋町交差点で実施している客待ちタクシーの違法駐停車対策が波紋を広げている。交差点北側の国道54号の車線を減らし、駐停車をしにくくする試みだが、今度は交差点西側の相生通りでタクシーの車列が目立つようになり、市民からの苦情が急増している。
対策は1カ月間の社会実験として、県警が1日に始めた。交差点の北向き3車線のうち右端の1車線を約50メートルにわたってふさぎ、通行止めにした。駐停車をしにくくするのが狙いで、違反車両はほとんどなくなったという。
ところが、そごう広島店とデオデオ本店に面した相生通りで、違法駐停車に対する苦情が急増した。15日現在で18件に上り、月間最多となった。県警は実験中の交差点北側から周辺に移動したとみている。
横断歩道やバス停に駐停車する悪質なタクシーも目立っており、買い物中の男性(65)=安佐南区=は「1カ所の対策だけでは意味がない」と指摘。バス会社の担当者も「タクシーの車列がこれ以上増えると危険だ」と訴えている。
19日の県議会警察・商工労働委員会では、委員から実験の効果を問う指摘もあった。県警は「実験区間で客待ちタクシーが減り、スムーズな通行を確保できている」と強調。一方で、苦情が増えている相生通りを含め、周辺への実験の影響を調べる考えを示した。
さらに、1カ月間の実験結果を踏まえ、道路管理者やタクシー業界とタクシー待機場の新設など抜本策についても検討する。
【写真説明】デオデオ本店前の相生通りに並ぶ客待ちタクシー。市民からの苦情が増えている
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