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北朝鮮から砲撃の延坪島ルポ “砲弾の雨”傷跡深く

産経新聞 11月26日(金)0時29分配信

北朝鮮から砲撃の延坪島ルポ “砲弾の雨”傷跡深く
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北朝鮮の砲撃を受け、焼け焦げた建物内部=25日午後、韓国・延坪島(加藤達也撮影)(写真:産経新聞)
 【延坪島(韓国西方沖)=加藤達也】23日に北朝鮮による砲撃を受けた延坪(ヨンピョン)島では全島退避が進み、すでに軍、警察や島役場の関係者とその一部の家族ら数十人しか残っていない。破壊され、焼け焦げた家屋と横転した車…。日常生活の痕跡をそのまま残して“ゴーストタウン”と化した延坪島に25日、入った。

 「さあ、どいて、どいて! 波止場に行くんだから」

 島を出るという中年女性は、取材を振り切るように波止場へ向かう車に乗り込んだ。

 砲撃からまる2日が経過し、韓国当局では再攻撃の可能性は低いとみている。しかし北朝鮮外務省が「砲門は開かれている」との声明を発表、島に残っていた住民の間に不安感が広がり、女性も仕方なく退避することになったという。

 韓国西岸の仁川から、波の高い冬の黄海を高速フェリーで約3時間。到着した延坪島の波止場には、顔の下半分を黒いマスクで隠した韓国海洋警察庁の特殊部隊員と軍人が周囲に鋭い視線を向けながら、下船する報道陣を誘導していた。

 数百メートル沖合には揚陸艦など5隻が並んで停泊し、この島が北朝鮮と対峙する最前線であることを改めて認識させる。

 波止場から、各国メディアの記者やカメラマンを満載したトラックの荷台に揺られて約10分。到着した島の役場付近では、横転した車の周囲に報道陣が集まっている。

 細く入り組んだ道を進むと、タールの焦げたにおいが鼻を突く。さらに歩くと、目の前に壁面だけがかろうじて残った家があった。中に入ると、室内は完全に炭化して真っ黒に変色、着弾時の高熱をうかがわせた。

 島の市街地は小学校も幼稚園も商店も無人。漁業と観光で成り立つ島には民宿も多いが、店先には生きたホヤの入った水槽が、エアポンプが入ったまま放置されていた。あわてて避難したのだろうか、ドアが開いたまま無人と化した民家もある。

 ひときわ激しく破壊された建物の庭には、直径8センチほどの金属の筒が斜めに突き刺さっていた。近づいてみると、燃焼した後の砲弾で、少し離れた所には別の砲弾の残骸が転がっており、砲撃が雨のように市街地を襲った状況を想像させた。

 警戒活動に当たっていた韓国の当局者は、「被弾した建物の中に、かつては軍関係施設だったが現在は民間施設として使われていたものがある。北韓(北朝鮮)軍は相当細かく島の地理状況を調べていたに違いない」と話し、北朝鮮の緻密な計画に基づいた今回の砲撃ぶりを思わせた。

 全島退避の一方で、復旧作業も始まっている。

 島のあちらこちらでは、爆風で断線した電線の補修工事が進んでいた。作業員の男性(45)は、「北韓の体制がものすごい勢いで変わっているのを感じる。恐ろしいが、島民はこの島で生きるしかない」と語った。

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最終更新:11月26日(金)0時29分

産経新聞

 

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