22日午前9時ごろ、札幌市中央区のマンション駐車場で、北海道警札幌南署員らが市立伏見中2年の女子生徒(13)が倒れているのを見つけた。病院で死亡が確認された。同署によると、女子生徒はいじめをほのめかす遺書を自宅居間に残し、自宅があるマンション6階から飛び降り自殺したとみられる。
伏見中によると、女子生徒の遺書には「1年生のとき無視されたり『キモイ』と言われた」「学校のスピーチが嫌だ」といった趣旨の言葉が書かれていたという。同日夜に記者会見した鈴木文夫校長は「大変痛ましく重く考えている」と謝罪したうえで、「いじめが原因だとも考えられるので、調査したい」と話した。また生徒と親しかった同校の卒業生によると、遺書にはいじめをしていたとみられる男女複数の生徒名が書いてあったという。
札幌南署などによると同日午前8時半ごろ119番があり、若い女性が住所と名前を名乗ったうえで「自殺です」と告げた。警察と消防が駆け付けたところ、マンション駐車場で倒れている女子生徒を発見したという。通報内容が生徒の名前などと一致していることから、本人が119番したとみられる。女子生徒は両親、高校生の姉の4人暮らし。【千々部一好、片平知宏】
22日夜、女子生徒が亡くなったマンションには学校関係者や生徒と親しかった上級生らが訪れ、早すぎる「13歳の死」に戸惑いと悲しみの表情を浮かべた。
弔問した同校の卒業生2人によると、女子生徒は中学で美術部に所属。アニメや漫画、絵を描くことが好きだった。彼女に最後に会ったのは約1カ月前で、悩んでいる様子はなかったという。
同じマンションに住む中1の男子生徒(13)は「小学生の時は冗談を言い合える優しい人だったけれど、半年ほど前からあいさつしても無視された」と、女子生徒の変化を感じていた。
一方、生徒が通っていた伏見中では、午後8時半から緊急会見が開かれた。鈴木文夫校長は遺書の詳細な内容について問われると、戸惑った様子で「女の子らしい文字で、まだちゃんと読み込んでいない」。遺書にあった「学校のスピーチが嫌だ」という内容に関しては、22日に国語の授業で全員がスピーチをする予定だったと説明した。同校は24日に全校集会を開き、遺書に名前があった生徒から事情を聴く。【田中裕之】
毎日新聞 2010年11月23日 東京朝刊