厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会は25日、2012年度の介護保険制度改革に関する意見書をまとめた。厚労省が19日示した原案通り、65歳以上で年収320万円以上の人の利用料引き上げや、市町村支援のために用意されている基金の活用が柱となった。在宅サービスを使う際の介護計画(ケアプラン)の作成を有料にする案は後退した。負担増の項目が複数並んだが、実現するかどうかは不透明だ。
次期制度改革の焦点は、拡大する給付にどのように対応するかだ。社会保障費の財源として期待される消費税率の引き上げ議論が「封印」され、税の追加投入が難しくなっている結果、審議会では利用者の負担増を軸にした議論が進んだ。
意見書には、24時間訪問介護などの新サービスの導入や高所得者の利用料増額は、そのまま盛り込まれた。65歳以上の保険料を抑制するため、介護保険の安定に役立てる目的で設けられている基金(約5600億円)を活用する案も、原案通り検討する考えを盛り込んだ。
一方、厚労省の原案の中には、委員の反対意見が強かった項目もあった。そうした点には、審議会は慎重な意見を追加した。
例えば、現行制度では無料となっているケアプラン作成の扱いだ。原案は有料にする可能性をにじませていたが、審議会では負担を求めれば、サービスを使わなくなる要介護者が増える恐れがあるとする意見が相次いだ。このため「利用者や事業者への影響を危惧する」との文言を加えた。
現役世代から追加負担を求める案にも、修正を加えた。40~64歳の会社員らの介護保険料は健康保険料と一体で徴収している。現行制度では、加入する人数に応じて健保組合に必要額を割り当て介護保険料を算出している。厚労省は、これを加入者の平均年収に応じて各組合の割当額を算出し、介護保険料を計算する方式(総報酬割)に改めたい考えだ。
ただ、負担増を求めやすい現役世代にツケをまわしかねないやり方に対して、健保組合の代表から反対意見が根強かった。このため、審議会の意見書は「財源捻出(ねんしゅつ)の手段として導入することには強い反対意見があった」と書き加えた。
介護保険制度改革の議論は民主党でも始まっている。民主党は12月上旬にも考え方を取りまとめる方針だ。25日に開いた作業チームでは、ケアプランの作成の有料化や総報酬割の導入について慎重な意見が多かった。税の追加投入が難しいなか、「次期改正は最低限の見直しにとどめる」といった意見が大勢を占める。
消費税増税論議を封印する一方、利用料引き上げなどの財源確保策も実現しない場合は、最終的には65歳以上のひとが払う介護保険料を上げざるを得なくなる恐れがある。12年度には全国平均で月5200円程度(現行4160円)になる見通しだ。
厚労省は審議会の意見書を受け、民主党と負担のあり方や新サービスについて調整に入る。年内にも介護保険法改正案をまとめ、来年の通常国会に提出する方針だ。
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