私的良スレ書庫
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元スレ阿良々木「みんなが僕のことを好きだって?」
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001
阿良々木暦について何かを語ろうとしたところで、
実際に口に出来ることには、特別な話なんて意外なくらいほとんどなくて、
基本的にただの事実にしかならないプロフィールばかりである。
自らのことを語る際に、そこから主観を取り除いたら、
他のどんな他人を語るよりも情報が少なくなるのは、ある意味当然と言えなくもない。
自分のこと以上に主観に頼って捉えている物事は――普通、ほぼないからだ。
他人の目から見えている自らの姿形を見ることは、
鏡をもってしても絶対に不可能であるのと同じように。
他人が聴いている自らの生の声を聴くことは、
録音機器をもってしても確実に不可能であるのと同じように。
鏡を通した自分はあくまで虚像でしかないし、
スピーカーから排出される自分の声は、
頭蓋骨の振動によって聞こえる自らが認識している声とも、
生の空気の振動で伝わる声とも異なっているのは――今更、言うまでもないだろう。
なんてことを考え始めると、『自分』という存在の不確かさに目眩さえ起こしかねない、
なんとも不思議な気分に僕はなってしまうのだけれど、
その違和感とも不快感ともとれるような軽いトリップは、ひとまず置いておくとして。
阿良々木暦。
私立直江津高校三年生。
薄くて弱い性格。
吸血鬼――もどきの人間。
人間――もどきの吸血鬼。
なんて。
大仰に大袈裟な言い方を散々してきたけれど。
これは、そんな僕にとっての平和な日々に訪れた、ちょっとした不協和音。
阿良々木暦という存在が、
他人にどう思われているのか、主観を省いて考えなおすきっかけになった、
ただの慌ただしいある日の出来事だ。
だからなにも深刻な話はなく。
決して誰も傷付かない。
さしずめ食玩に申し訳程度についているラムネのような。
あるいは新聞をとるとどうだとばかりに同封されるテーマパークのチケットのような。
もしくは本屋で買い物をするとプレゼントしてくれる紙の栞のような。
そんな、本当にどうしようもなくて、
馬鹿馬鹿しくてくだらない、笑ってしまうような――オマケのお話。
【こよみラクーンドッグ】
期待してるぞ>>1
頼むから最後まで書いてくれよ
頼むから最後まで書いてくれよ
002
僕や、僕の二人の妹、他にも怪異に携わった多くの人間にいろんな形で変化を与えた夏休みを終え、
二学期の授業が始まってから数日が経過していた。
その間、休み明けのテストで恐ろしい高得点を叩き出した僕にカンニング疑惑が持ち上がったりとか、
ツンドラからドロデレへと属性を変化させた戦場ヶ原にクラスメイトがドン引いたりとか、
僕が強化された――あるいは狂化された羽川の人格矯正プログラムの餌食になりかけたりとか、
細かいイベントは数え出したらキリがないのだけれど、
そんなこんなで今日は週に一度の休日、日曜日なのである。
偶数日は学年トップクラスの成績を有する戦場ヶ原、
奇数日には学年トップの成績の羽川に勉強を教えてもらうという、
受験生としては尋常じゃなく恵まれた破格の生活を送っていた僕だけれど、
最近では戦場ヶ原は二人きりになるとこれっぽっちも勉強させてくれないので
(理由及びその手段は各人の推測に任せることにする)、
お盆――即ち僕の下の妹の事件の前に暇を出した。
戦場ヶ原みたいな美人が甘えてくれるのは、
それはもう男として嬉しくないわけがないが、
この頃の戦場ヶ原はちょっといきすぎという気がしないでもない。
ともあれそういうわけで、しかし日曜日は無条件で休みと決まっているものの、
早朝に暗記ドリルをやるという自らに科したルールは健在で、
とはいえさすがに短針が7にも至っていない時間に目が覚めてしまったことに
若干の腹立たしさとやるせなさを覚えつつ、周りの確認なんか一切しないで目をすぐに閉じて、
二度寝に臨もうとしたところで。
「……………んむ?」
寝苦しいことに気付いた。
身動きがとれない。
ていうか、狭い。
幼い頃、ありったけの毛布や羽毛布団に一人を埋めて妹たちと遊んだことを思い出す。
あの、柔らかいものに確かに包まれているのに、体を動かせなくて息苦しい感覚。
しかし、今はまだ茹だるような残暑のうっとうしい季節である。
羽毛布団どころかタオルケット一枚で寝ている僕が、
そんな状態になることは考えにくい。
あり得る話としては、僕が寝ている間に妹たちの遊びに巻き込まれて、
大量の寝具の下敷きになっているというのが一番有力だ。
二番目に……えっと、うーん。
未だに寝ぼけている頭では選択肢を考えることさえままならない。
最悪なのは、怪異絡みの厄介事に放り込まれて誘拐されたとか。
でも僕の周りで唯一そんなことをしうる――というか貝木泥舟の一件の際に事実、
拉致監禁を実行した前科を持つ戦場ヶ原ひたぎは、
更正してもうすっかり丸くなっているし、
なにより僕の右半身に下敷きにされている、少し骨張って痛い感触は紛れもなく僕のベッドである。
となると、やっぱり前者か。
しっかり叱ってから寝具の類を片付けさせなくちゃな……
とか砂糖をたっぷり入れたミルクティーみたいに薄ぼやけた思考で目を開けて。
「――、―――なっ、――っ!!!!」
一瞬ですっかり目が覚めたし、頭も醒めた。
叫び声を抑えられたのは、我ながら誉めてやりたい。
「な、なんだこれ……」
阿良々木火憐。
栂の木二中のファイヤーシスターズ。
その実戦担当。
自称「正義の味方」。
空手二段の腕前。
洒落にならないくらい喧嘩が強い。
僕の二人の妹のうち、上の妹で。
そして――蜂に刺された少女。
そんな阿良々木火憐が――僕の目の前で、ぐっすりと寝息を立てていた。
下手に動けば、唇と唇がくっついてしまいそうな超至近距離。
ところどころ触れている体はそこだけ異様に鮮烈な灼熱さを醸していて、
凶暴で、どちらかといえば格好良い外見の火憐は――しかしこうしてあどけない寝顔を見ている限り、
ただの可愛い女の子だ。
あとどうでもいいけれど、涎垂れてるぞ。きったねえな。
「……………………」
なんて、冷静なフリをしておきながらも、
実際には、あまりの出来事に絶句している。
なんだこれ。
………なんだこれ!?
いや、まあ、確かに火憐は、囲い火蜂の事件付近からスキンシップが過剰というか、
変に従順みたいになっていたが、
しかしこんな添い寝染みたことはさすがに冗談が過ぎると思うし、
火憐が弱っているときにキスをしたやつは誰だと言われればそれまでだけれど、
しかし、だがしかしだ、
調子に乗ってやってみた歯磨きなんかの後に月火に散々怒られたのは記憶に新しいのに、
なんだってこんな……いや、ちょっと待て――月火ちゃん?
阿良々木月火。
栂の木二中のファイヤーシスターズ。
その参謀担当。
自称「正義そのもの」。
外見に似合わない攻撃性に、ピーキーな性格。
ころころ変わる髪型。
僕の二人の妹のうち、下の妹にして。
そして――ホトトギスの少女。
そうだ、と気付く。マズイ。こんなところ月火に見られたらどうなることか。
圧倒的トップランカーの戦場ヶ原が突如として転落したせいか、
『身近な危険人物ランキング(肉体編)』の頂点には、
現在、阿良々木月火が君臨しているのだ。
包丁とか平気で持ち出すからな、笑えねえ。
「………よし」
とにかく火憐を起こさないでここから脱出するために、
一先ず寝返りを打って。
「………、うぁ? う、あああああああああああああああああっ!?」
叫び声を、抑えられなかった。
ほとんど反射的に上半身を起こす。
反対側では、件の阿良々木月火が――心地良さそうに、
さながら猫のように身体を丸めていたのである。
すぅ、すぅ、と規則的に上下する胸。
乱れてはだけた、胸元どころか肩ごと剥き出しになっている浴衣。
寝てる。……寝てる? なんで?
ていうか、そりゃあ、狭っ苦しいに決まってるだろう。
なにが嬉しくて、シングルのベッドで
中学生と高校生の兄妹3人が、一緒に寝ないといけないのだ。
もう今度こそ、一切の疑いもなくきっちりフリーズした僕の背中で、
もぞりと起き上がる気配があった。
「んみゅ……兄ちゃん?
叫び声なんかあげて、どうかしたのか……?」
火憐が起きた。
月火は寝付きがいいしばらくはなんとかなるとして、
とりあえず異性と同じベッドで寝起きの状態を共有するというのは、
なかなか鋭敏な羞恥心がある。
しかも恐ろしいことに相手は身内ときたもんだ。
やってらんねえ。
とりあえず、丸くなったままの月火を見下ろしながら、
僕の背中にぴったりと額をくっつけて、
もにゅもにゅと口の中で言葉にならない言葉を転がしているらしい火憐に答えた。
「いや、どうかしたというかどうかしてるっていうか……」
「うん?
兄ちゃんがどうかしてるって、そんなの今更気に病むことか?」
「お前ら二人がだよ、どうかしてるのは!」「…………なにがぁ?」
まだしっかり覚醒しきっていないのか、
どこかぼんやりと間延びした声に色っぽさを感じてしまった自分が
心の底から憎くて憎くてしょうがない。
ところで実際、いくらこんなわけのわからない状況だろうと、
妹に欲情するなんて100%ありえないと僕は断言できる。
そんな、妹がいないやつ限定の気色悪い妄想など、
完膚なきまでに否定しつくせるだろう。
妹萌えだなんて、幾千、幾万の言葉をもってして、
全力でそのふざけた幻想をぶち壊す自信があった。
はっきり言おう。
リアル妹萌えは、異常だ。
だから僕は、一旦最初のインパクトさえ通り越して落ち着いてしまえば、
妹たちのおかしな行動に対して若干の嫌悪感すら含んだ呆れをもってして言葉を投げる、
いつものスタンスを取り戻すことはそんなに難しいことではない。
つーか普通にキモいわ。
なんだこの状況。
第一、こんな惨状を目の当たりにしておいて何を言っているのだと思われるかもしれないが、
阿良々木兄妹の仲は決して良くはない。
勿論悪いわけでもないけれど、だからといってこれまでの話を聞いて、
まさか揃って添い寝が基本だと思う稀少で貴重で意味深長な価値観をお持ちの人もいまい。
夏休みの二つの事件を挟み、先程ほんの少し前述したように、
ちょっとはお互いに歩み寄りの姿勢こそ見せたものの、
それはぎこちないながらも仲の良いように見えなくないレベルになっただけである。
それどころかあの夏休みは、
阿良々木火憐と阿良々木月火、四六時中べったりで、
時には裸で抱き合いながら眠るなんてことまでしていた
気色悪いハイパー仲良し百合姉妹の関係を、
彼女たちの中であるいは見直すことにさえなった事件だ。
彼女らの間で恐らく行われたのであろう話し合いによりどんな結論が出て、
どんな変化があったのか――それともなかったのかは、
僕の預かり知るところではないが。
(´・ω・`)支援 n
⌒`γ´⌒`ヽ( E)
( .人 .人 γ ノ
ミ(こノこノ `ー´
)にノこ(
⌒`γ´⌒`ヽ( E)
( .人 .人 γ ノ
ミ(こノこノ `ー´
)にノこ(
閑話休題。
そんなわけで普通の兄妹並みには妹たちを愛しく、
また同時に疎ましくも思っている僕は、ため息を一つついてから、
振り向き様に、もたれかかるみたいに背中にくっついていた火憐を引き剥がし、
どうやらもうすっかり覚醒を済ませた様子の我がでっかい方の妹に言った。
「なにがってさ、普通に分かるだろうが。
ていうか分かれよ、そこまで馬鹿じゃないだろ。
なんでお前ら二人が、僕のベッドで寝てるんだよ」
火憐は一瞬、本気で何を言ってるのか分からないとでも言いたげに特徴的な吊り目を丸くしてみせ、
今度は呆れたみたいに肩をすくませる。
「なんだよ、兄ちゃん。
そんなことも分かんねーのか?」
「なんでお前が僕のことを馬鹿にするみたいな言い方をするのかという辺りから
既にさっぱり理解できないけれど、常識的に考えろよ。
朝、目が覚めたら自分の妹が揃ってベッドに潜り込んで添い寝していたという事実に、
なんの躊躇いもなく納得できる理由を即座に見い出せる兄なんかいてたまるかっ!」
「え、本気で分かんねーの?」
「分かんねーな!」
すると火憐は、今まで見せたことのないような、
ちょっと眉をハの字気味にして恥ずかしそうな笑顔で。
頬を、染めて。
だけどはっきりと、偽ることなく。
偽物の正義ではなく。
本物の誠意で。
「そんなの、兄ちゃんのことが好きだから意外に理由なんかねーだろ?
ひゃはは、本当、変な兄ちゃんだな」
「……………っ!」
ごめんなさい、お父さん、お母さん。
僕はもう我慢できそうにありません。
宣言しよう。
リアル妹萌えは、異常なんかじゃない。
そもそも夏休み、火憐のことを、魅せ方によっては、
羽川とまではいかないにしても、
なんとか張り合えるくらいには可愛いと思った瞬間があったのもまた事実なのである。
それが火憐をベッドに押し倒して、
おっぱいを揉もうと手を伸ばした時だったことは、
なんというか、なんともあれだが。
「……火憐ちゃん」
なんとも、あれではあるのだが。
「……兄ちゃん」
一度起こした火憐の体を、再びベッドに沈め、覆い被さる。
なんとも、あれなのだけれど。
奇しくもその時と同じ体勢になって見下ろした火憐は、
やっぱり普通に可愛かった。
寝起きだからだろうか、いつものように溌溂としきれない目元や、
トレードマークの長いポニーテイルをすっかり失った短い髪もむしろ健康的な魅惑さを持っていて、
きっと羞恥のためだろう、ほんのりと上気した肌も艶めかしい。
そういう目で見てみれば、口元に残る涎の跡さえエロティックだし、
色気の欠片もないはずの家用ジャージも、
この時ばかりは不思議な魅力さえ放っていた。
……ジャージっ娘萌えになってしまいそうだ。
「兄ちゃん……いいよ」
いつかと同じ台詞が、妹の口から発される。
いいんですか。
いいんですか。
……いいんですか!?
ばくばくと喧しい心臓の音をあえて無視して、僕は。
「……火憐ちゃん」
名前を呼んで、その頬に優しく指を這わせる。
「んっ……」
驚いたようにぴくりと反応する、火憐の声。
「火憐ちゃん」
もう一度呼んで。
火憐の唇に、自らの唇を――。
「……お兄ちゃん? 火憐ちゃん? なにしてるの」
「うわあああああああああああああっ!!!!」
突如隣から上がった、ぼんやりとした月火の声で、
僕は火憐よろしく見事なムーンソルトでベッドから離脱、床に着地した。
「おお、兄ちゃんすげー」
うるさい黙れ。
大変だ。
月火ちゃんが起きた。
月火ちゃんが起きたっ!
なんかもう、一日に二度も目を覚ましたわ!
さっきまでの僕は僕ではない偽物です!
僕を陥れようとした何者かの恐ろしい陰謀だ。
ファイヤーシスターズが言うところの、敵対組織(笑)みたいな。
そうだ、そうに違いない。
……僕はシスコンなんかじゃない、信じてくれよっ!
「お兄ちゃん」
寝起きが悪いはずのちっちゃいほうの妹こと阿良々木月火は、
どうやら運の悪いことに――不幸中の幸いならぬ、不幸中に辛い感じに、
今日に限ってすっきりばっちり意識を確立しているようだった。
見た目的にはいつもと変わらない眠たげな垂れ目なのだけれど、
さすがに兄貴たるもの、それくらい声の張りで分かる。
ちなみに上半身を起こした月火の浴衣は、
もうはだけてるどころかただ腰に巻き付いているだけみたいになっていた。
当然、子供体型の胸は完璧に露出しているし、
それどころかもちもち卵肌なお腹、へそまでもはや世界丸見えである。
和服好きはいいんだけどさ、そういうところ素人が趣味だけでやるとろくなことにならないんだよ、
詰めが甘いっていうかさ。
着方とか帯とか、いい加減なんだもん。
しかし不思議なもので、遺伝子が似ていると、
ただだらしないなぁと思うだけで、そんな扇情的な格好にもこれといって、
特にいやらしい気持ちにはならないのだった。
ならないのだった。
ならないのだったっ!
……はい。
なりました。
なりましたとも。
どれだけ格好つけて体裁を整えてみても、
直前まで上の妹とちゅーする三秒前みたいな状態だったら、
今更あんまり関係ないかと諦めた。
どうしたというのだろう、今日の僕は。
普段は(歯磨きの時の悪ノリは別として)こんなこと全然ないのに、
実の妹に対して劣情を抱くなんて兄として最高に最低な振る舞いだ。
「ねえ、お兄ちゃん?」
「………はっ!?
な、なんだ、月火ちゃん!」
ヤバいヤバい、あまりのことに軽く現実逃避していた。
ベッドの上からこちらをジト目で見つめてくる
ちっちゃい方の妹(半裸)に対してどう言い訳するか考えなくてはならない。
更正前の恐ろしい旧戦場ヶ原みたいに、
文房具を凶器にするわけじゃねえしな、こいつは。
普通に凶器となりうるものを、普通に凶器として使うのだから、
正直、手におえない。
「お兄ちゃん、火憐ちゃんと二人でなにやってたの」
「うぁ、え、えっと……」
月火の追及。
来るぞ、来るぞ……と、最高に嫌な予感が鎌首を振り上げる。
阿良々木月火。
ピーキーな性格。
その沸点は――ビニルエチルエーテルを遥かに下回る。
ぞわっ、と、もうすっかり旧戦場ヶ原並みの長さになった綺麗な黒髪を逆立てて。
「二人でなにしてたのって訊いてるのっ!!!」
炸裂した。
それはもう、見事なまでに。
ここのところファイヤーシスターズ的活動が沈静化していたから、
自然と僕が小言を言う機会も少なくなっていたことも手伝って、
なんというか久しぶりな爆発だった。
つーか、朝っぱらからこんな大声を出して、両親が起きたらどうするつもりだ。
そんなに家族会議が好きか、M格好良いのは火憐ちゃんだったはずだろうが。
……いやまあ、深夜に僕の(ほぼ)全裸を見た羽川が上げた悲鳴でさえ起きなかった両親なのだから、
それに関してはそこまで心配しているわけではないのだけれど。
「いや、なにっていうか……」
「うるさいうるさいうるさい!
言い訳なんか聞きたくない! 聞いてあげないっ!」
じゃあ訊くなや。
「絶対に許せないっ!」
月火は僕がなにか言葉を挟む間も与えず、叫んだ。
絶叫した。
「なんでお兄ちゃんと火憐ちゃんばっかりそんなに仲良しになって、
私も混ぜてくれないの、ズルいよっ!!」
「………………」
「はぁ……はぁ……」
「………………はい?」
はいぃ?
今、なんて?
あれかな、僕の耳がおかしくなったのかな。
絶対に聞こえちゃいけない言葉が、月火ちゃんの口から吐き出された気がするのだけれど。
いやいやそんなわけないよな、だってあの月火ちゃんだぜ?
寝込みを襲って初ちゅーを奪ったら(それも兄としてどうなんだという話だが)、
涙目になって罵倒しつくした月火ちゃんだぜ?
風呂上がりに全裸にひん剥いて帯で手首を拘束した挙句、
そのまま押し倒して身体中にじろじろ舐め回すような視線を這わせ、
おまけに貧相なおっぱいを揉んだだけではなく、
ついでに足でぷにぷにぷにぷに踏みつけたら
(これは普通に人としてどうなんだという話だ)、
散々っぱら本気で怒って嫌がった月火ちゃんだぜ?
ははは、朝から訳の分からない状況だったから、
僕の耳、馬鹿になっちゃったのかな。
参ったなぁ。
「大体、火憐ちゃんも火憐ちゃんだよ!」
なんて思っていたら、月火の怒りは後ろでぼんやりとしていた火憐に飛び火した。
「昨日、お兄ちゃんのベッドにこっそり忍びこむ時に、
抜け駆けはなしって約束したのに!」
「いや、ごめん、月火ちゃん。でも仕方ねぇだろ?
目が覚めたら至近距離に兄ちゃんがいたんだ、我慢なんかできねーって」
「気持ちは分かるけど、でも約束は約束でしょ?
そもそも、今回は一緒にお兄ちゃんを陥落させるって言い出したのは火憐ちゃんじゃない」
「……じゃあ月火ちゃん、今日の午前中は兄ちゃんと月火ちゃんが二人で遊んでいい。
あたしは邪魔しない。それならいいだろ?」
「うーん……いいけど……」
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