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扶養控除廃止で、家計は負担増に

2010年11月25日10時35分

 来年1月から、16歳未満の一般扶養控除と16歳から19歳までの特定扶養控除の一部がなくなります。

 扶養控除は、所得税で38万円、住民税で33万円ありますが、来年1月に無くなるのは所得税の控除。住民税については、さらに1年後の24年からの廃止となります。

 これによって、家庭がどれくらい増税になるかといえば、たとえば、年収400万円のサラリーマン家庭の場合、中学生以下の子どもが1人いれば、1月から年1万9000円の増税になります(所得税率5%)。年収が600万円だと、年3万8000円の増税になります(所得税率10%)。さらに、翌年、住民税の扶養控除が廃止されると、3万3000円の増税になります(住民税率10%)。

 つまり、年収400万円のご家庭で年5万2000円の増税、年収600万円のご家庭で年7万1000円の増税と言うことになります。

 もちろん、3歳以上で児童手当を月5000円もらっていた人は、子ども手当が1万3000円に増えたので、年収400万円で4万4000円のプラス、年収600万円で2万5000円のプラスになります。

 問題は、児童手当を月1万円もらっていた3歳以下の子どもおよび3子以降の子どもたちがいる家庭。こうした子どもたちは、増税分のほうが大きくなるので、政府では、そうならないために3歳未満の子ども手当を2万円にすることを検討していますが、財源不足の中で配偶者控除の縮小なども検討されています。

 児童手当は、1子と2子が月5000円で、3子以降は1万円だったので、子どもが3人以上いる子だくさんなご家庭も児童手当のほうがよかったということになりかねません。

 高校生については、所得税で63万円、住民税で45万円の特定扶養控除がありますが、これが所得税で38万円に、住民税で33万円に下がります。

 民主党政権になって鳴り物入りでスタートした子ども手当ですが、地方自治体が負担を拒否する姿勢を見せるなど、前途は多難なようです。

プロフィール

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荻原 博子(おぎわら・ひろこ)

1954年長野県生まれ。経済ジャーナリストとして幅広く活躍。デフレを見越し、借金を減らし投資を控える「資産防衛」を一貫して提唱。現在、テレビ・雑誌・新聞などを通じて不況時の生活防衛策や、保険、金融、住宅問題など実戦的な提案を発信している。著書に「荻原博子の家計まるわかり読本」(学習研究社)「生命保険は掛け捨てにしなさい!」(ダイヤモンド社)など多数。監修した「ボクたちの値段」(講談社)も好評発売中。

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