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石巻3人殺傷:「更生の可能性低い」少年に死刑判決

 宮城県石巻市で今年2月に起きた3人殺傷事件で殺人罪などに問われ、少年事件の裁判員裁判で初めて死刑を求刑された同市の元解体作業員の少年(19)に対し、仙台地裁は25日、求刑通り死刑を言い渡した。鈴木信行裁判長は、事件の残虐性や身勝手さを指摘したうえで、焦点になっていた少年の更生可能性は「反省は十分とは言えず、可能性は著しく低い」と指弾した。

 判決は、事件時18歳223日の年齢は「刑を決めるうえで相応の考慮をすべきだ」としながらも「結果の重大性などから、死刑回避の決定的な事情とまでは言えない」と判断。少年の反省ぶりや年齢を主な根拠にして「更生可能性がある」と極刑回避を訴えた弁護側主張は退けられた。さらに「自己に不利益な点は『覚えていない』と述べるなど、重大性を十分認識しているとは言えない」などとし、更生可能性をほとんど認めなかった。

 判決は、死刑選択の基準「永山基準」に沿って順次検討した。動機について「復縁も迫っていた元交際相手の女性を連れ戻すために邪魔する者を殺害した」と身勝手さを非難し、殺害方法も「牛刀で何回も刺すなど執拗(しつよう)で冷酷」とした。

 弁護側は「不遇な生い立ちで精神的に未熟だ」と情状を訴えていたが、判決は「不安定な家庭環境が犯行の原因と認められるとしても、残虐性や被害結果の重大さから、極刑を回避すべきだとは言えない」と結論づけた。

 少年への死刑判決は光市母子殺害事件の差し戻し控訴審(08年)以来で、裁判員裁判の死刑判決は16日の横浜地裁判決に次いで2例目になる。少年は3人殺傷の起訴内容をほぼ認めており、検察側は裁判員裁判4例目の死刑を求刑、弁護側は少年院送致など保護処分が相当と訴えていた。【須藤唯哉】

 ●判決の認定内容

 元交際相手の女性(18)に復縁を迫っていた少年は(1)今年2月10日午前6時40分ごろ、石巻市清水町1の女性宅に押し入り、女性の姉の南部美沙さん(当時20歳)、友人で高校3年の大森実可子さん(同18歳)を牛刀(刃渡り約18センチ)で刺殺=殺人、銃刀法違反罪(2)居合わせた南部さんの友人男性(21)も刺し重傷を負わせた=殺人未遂罪(3)その後、女性を車に乗せ連れ去った=未成年者略取罪(4)同4~5日には鉄棒で全身を殴るなどして女性に重傷を負わせた=傷害罪

毎日新聞 2010年11月25日 21時13分(最終更新 11月25日 21時21分)

 
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