北朝鮮:金正銀氏、後継者に…軍「大将」任命を初報道

2010年9月28日 11時40分 更新:9月28日 13時37分

 【北京・米村耕一】北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は28日の1面トップで、金正日(キム・ジョンイル)総書記が前日発令した朝鮮人民軍の指揮官人事を掲載した。6人が新たに大将に任命され、その中に金総書記の三男正銀(ジョンウン)氏(26)だと考えられる「キム・ジョンウン」という名前が入っている。朝鮮通信(東京)が伝えた。正銀氏が公式報道に登場したのは初めて。金総書記は軍を重視する「先軍政治」を掲げており、20代での大将抜てきによって、正銀氏の後継者としての地位が事実上確定したといえる。

 ◇総書記妹が後見

 韓国の聯合ニュースによると、韓国青瓦台(大統領府)関係者は「先軍政治という体制下、正銀氏に軍部の地位を与えることで後継者としての安定化を図ろうとしている」と語り、正銀氏の後継者としての地位が確定したとの見方を示した。

 北朝鮮は同日、朝鮮労働党の最高指導機関を選ぶ党代表者会を開く。この日に正銀氏の大将任命が明らかにされたことで、正銀氏が金総書記の後継者として党でも要職に就いて指導部入りする可能性が高まった。

 大将となった6人には、金総書記の妹である金慶喜(キム・ギョンヒ)党部長や、最近まで黄海北道党責任書記だった崔竜海(チェ・リョンヘ)氏の名前もある。金部長は、夫の張成沢(チャン・ソンテク)国防委員会副委員長とともに正銀氏の後見役とされる。崔氏は、張副委員長の側近で、張夫妻と共に正銀氏を支えることになりそうだ。

 労働新聞は、朝鮮人民軍の李英鎬(リ・ヨンホ)総参謀長の大将から次帥への昇格人事も報じた。李参謀総長も、正銀氏の後継体制を支える核心メンバーの一人になると見られる。

 28日の党代表者会では、粛清や死亡で過半数が欠員となっている中央委員会メンバーを選出。引き続いて中央委総会を開いて、より上位の幹部である政治局や書記局、政治局常務委員の人事を行うことが予想される。

 党代表者会を前に正銀氏やその後見役が軍の称号を得たことは、北朝鮮が代表者会で党人事を刷新した後も先軍政治を続けていくことを意味すると言えそうだ。

 正銀氏はこれまでも「青年大将」「金正銀大将同志」などと呼ばれていたが、これらは正式な軍の職制に基づくものではなかった。

 ◇金正銀(キム・ジョンウン)氏◇

 1984年1月8日生まれ。生年には83年説もある。母は04年に病死したとされる大阪生まれの元在日朝鮮人で舞踏家の高英姫(コ・ヨンヒ)さん。兄に正哲(ジョンチョル)氏、異母兄に正男(ジョンナム)氏がいる。96年夏から01年初めまでスイスに留学し、公立中学などに通った。帰国後は金日成軍事総合大で学んだ後に軍関係の経歴を積み、09年1月に朝鮮労働党内で後継者決定の通達があったとされる。09年以降、弾道ミサイル打ち上げ▽総動員型の経済建設運動である「150日戦闘」「100日戦闘」▽デノミネーション(通貨呼称単位の変更)▽祝砲夜会と呼ばれる平壌での花火大会--を主導したと見られている。最近は、貿易などで中国に出てくる北朝鮮国民も「正銀氏が後継者」と話すようになっていたが、03年ごろまでは存在すら知られていなかった。

 ◇北朝鮮軍の階級◇

 上位から順に大元帥、元帥、次帥、大将、上将、中将、少将となっている。大元帥は故金日成(キム・イルソン)主席だけで、現在の最上位は金正日総書記ら2人の元帥。ラヂオプレス(RP)によると、28日の人事で、次帥は8人、大将は26人となった。

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