たばこ:10月1日値上げ…「駆け込み」さまざま

2010年9月28日 10時40分 更新:9月28日 11時45分

たばこ値上げを前に禁煙補助薬の特設コーナーを設けたドラッグストア=東京都新宿区の「スギ薬局北新宿3丁目店」で2010年9月27日、井出晋平撮影
たばこ値上げを前に禁煙補助薬の特設コーナーを設けたドラッグストア=東京都新宿区の「スギ薬局北新宿3丁目店」で2010年9月27日、井出晋平撮影

 たばこ税引き上げで、10月1日からたばこの値段が上がる。値上げ幅は1箱(20本)110~140円程度と過去最大。小売店の多くは駆け込み需要に対応して在庫を増やすが、値上げ後の販売不振を見越して閉店を決めた店もある。一方、値上げを機に禁煙にチャレンジする人も多く、「禁煙外来」の受診者が増えている。禁煙グッズ売り場も盛況だ。

 ◇小売店

 「たばこの買い置きはお済みですか?」。大手コンビニエンスストアのローソンは、各店にこう書かれた看板などを置き、10箱入りの大箱を積み上げて販売している。「値上げ前日の30日にかけてが需要のピーク」(広報)とみて、仕入れを増やしているという。他のコンビニ各社も、予約を受け付けるなどして値上げ前の購入を呼びかけている。

 一方、小規模のたばこ店は不安を募らせる。東京都千代田区で約40年たばこ店を営業する女性店主(73)は「コンビニに客を取られ、タスポの導入で自動販売機でも売れなくなった。値上げで禁煙する人が増えそうだから、もうやっていけないよ」とため息をつく。

 東京中央たばこ商業協同組合によると、値上げを機に廃業するたばこ店もあるという。同組合の宮城正和事務局長は「値上げ幅が大きく、人通りが少ない住宅地の小さな店には大打撃。急激な増税は避けるべきだった」と不満を漏らす。

 ◇禁煙外来

 「生活が厳しく、たばこが400円台になると1食の食事代より高くなる。呼吸も苦しくなってきたのでやめようと思って」。東京医科大病院(新宿区)の禁煙外来を訪れた、職業訓練学校に通う女性(30)は、そう話す。1日15本ほど吸い続け、これまで5回ほど禁煙を試みたが失敗したという。

 同病院の禁煙外来の受診者は4月末に値上げが発表されて以降、前年比2割ほど増えた。飲み薬で禁煙する3カ月の通院コースは保険適用で約2万5000円程度。禁煙外来を担当する平山陽示准教授は「値上げが背中を押しているようだ。費用は1日300円未満なので、たばこを買うより安い」と話す。

 中央区の内科系診療所「セントラルクリニック」でも、禁煙外来の受診者が8月下旬からの1カ月で11人になり、通常の倍以上のペースという。

 ◇禁煙グッズ

 大手ドラッグストア「スギ薬局」を展開するスギホールディングス(愛知県安城市)は6月、電子たばこやニコチンガムなど禁煙関連商品の特設コーナーを各店舗に設けた。全店の禁煙グッズの総売り上げは6月に前年同月比で6割増を記録し、8月も3割増と好調に推移。東京都内の「スギ薬局北新宿3丁目店」の薬剤師、坂中清香さんは「男女、年代を問わず、禁煙グッズを手に取る人が多く、過去の値上げの時より関心が高い」と話す。

 禁煙補助薬「ニコチネル」を販売するノバルティスファーマ(港区)も、今月下旬から薬局の売り場を広げた。【福永方人、馬場直子、井出晋平】

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