武富士:更生法申請へ 過払い金返還重く

2010年9月27日 10時47分 更新:9月27日 14時47分

会社更生法を申請する見通しとなった武富士本社前に集まる大勢の報道陣=東京都新宿区で2010年9月27日、森田剛史撮影
会社更生法を申請する見通しとなった武富士本社前に集まる大勢の報道陣=東京都新宿区で2010年9月27日、森田剛史撮影
武富士が返還した過払い金の累計額の推移※10年度は6月末時点
武富士が返還した過払い金の累計額の推移※10年度は6月末時点

 経営再建中の消費者金融大手、武富士は27日、東京地裁に近く会社更生法の適用を申請する方針を固めた。顧客が過去に払い過ぎた利息の返還を求める「過払い金返還請求」が急増。6月から完全施行された改正貸金業法による規制強化で貸出残高も急減しており、自力再建を断念した。東京商工リサーチによると、負債総額は、約4300億円だが、未請求の過払い金などを含めると負債額は今後、大幅に膨らむ見込みだ。

 更生法による法的整理に伴い、過払い金も一部カットされる可能性が高く、顧客から批判が出そうだ。07年9月に民事再生法を申請した中堅消費者金融「クレディア」のケースでは、過払い金返還額が原則6割カットされた。一方、更生法の適用を申請しても利息制限法の上限金利以内で融資を受けた契約者の返済条件に変更はない。

 東京証券取引所は27日朝、「武富士の会社更生法適用申請の真偽を確認するため」として、同社株式の売買を停止した。武富士は「会見などの予定は今のところない」としている。

 武富士は派手なテレビCMなど積極的な営業で貸し出しを拡大、ピーク時の02年3月期には貸付金残高が1兆7666億円に達し、消費者金融業界トップに上り詰めた。しかし、最高裁が06年1月に「利息制限法の上限金利(20%)を超える『グレーゾーン金利』は無効」との判断を示したことをきっかけに、契約者から過払い金返還請求が急増。業績が急速に悪化し、07年3月期には98年の東証1部上場以来、初の最終赤字に転落した。

 業績悪化による格付けの大幅な引き下げや、08年秋のリーマン・ショックの影響で、近年は社債発行による資金調達が困難となり、不動産売却などで運転資金を捻出(ねんしゅつ)する苦しい経営が続いていた。アコムやプロミスと異なり、メガバンク傘下に入らない独立経営を続けてきたことから、銀行の融資支援も受けられず、昨年末からは事実上、新規融資を停止。10年3月末の貸付金残高はピーク時の3分の1の5894億円まで落ち込み、業界4位となっていた。

 6月の改正貸金業法の完全施行では、貸付総額を契約者の年収の3分の1までに制限する「総量規制」も導入され、消費者金融の経営環境は厳しさを増しており、武富士では法的整理で過払い金の返還債務を削減し、支援先探しなど会社再生を進めることにしたとみられる。【大久保渉、田所柳子】

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