北朝鮮砲撃:太陽政策に未練を残す民主党

「平和体制に関する条項も入れるべき」

民主党が独自の決議案を推進

 韓国戦争(朝鮮戦争)後、初めて韓国の領土が攻撃を受けるという、前代未聞の国家的危機にもかかわらず、野党・民主党は「太陽政策」への未練を捨て切れずにいる。民主党は、「今回の砲撃が北朝鮮の犯行だという点に疑問の余地はない」との点は認めつつ、その一方で、「韓半島(朝鮮半島)の緊張緩和」を金科玉条のごとく考え、国民の認識とはかけ離れた主張を展開している。

 この点は、24日に北朝鮮糾弾決議案の審議が行われた際、民主党が示した態度から明確にうかがい知ることができる。民主党はこの日、「北朝鮮に対する決議案を、25日に予定されている国会本会議で採決する」との点で与党ハンナラ党と合意した。しかしその一方で、ハンナラ党の主張とは異なる名称と内容の新たな決議案を、別の常任委員会で発議するとの意向を示した。

 ハンナラ党は国会国防委員会で、計7項目からなる「北朝鮮による武力挑発行為糾弾決議案」を採択。一方、これに対して民主党は、3項目からなる「北朝鮮による海岸砲攻撃糾弾および韓半島の平和を求める決議案」を別途取りまとめ、25日に予定されている外交通商委員会でこれを通過させ、さらに本会議への上程を目指している。もし25日の外交通商委で民主党が提出する決議案がハンナラ党の反対で通過しない場合には、ハンナラ党が提出する決議案の修正案を、本会議に提出する計画も合わせて提示した。

 問題は、民主党が押し切ろうとしている決議案の内容が、北朝鮮による挑発行為の実情とはかけ離れているという点にある。まず民主党は、決議案の名称について、「武力挑発」ではなく「海岸砲攻撃」という表現に固執している。これに対しては、「北朝鮮による延坪島への砲撃は武力挑発だというのは明白なのにもかかわらず、民主党はあいまいな表現を使い、本質をうやむやにしようとしている」などといった批判がすでに出ている。

 さらに、民主党が取りまとめた3項目のうち、2項目では北朝鮮を糾弾し、責任を追及しているが、「南北双方が韓半島の緊張緩和と恒久的な平和体制構築に向けて、直ちに対話に乗り出すことを求める」と記載された第3項については、「今回の責任の所在が、南北双方にあるかのような見方だ」という非難を受けている。「恒久的な平和体制構築」という表現は、金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)両政権で推進した太陽政策の目標でもある。

 民主党はこの日行われたハンナラ党との協議の場で、自分たちが取りまとめた糾弾決議案を、国防委員会ではなく、外交通商委員会で通過させるべきと強く主張した。北朝鮮が韓国の領土を攻撃した軍事的な事案なのにもかかわらず、国家間の問題を取り扱う外交通商委での採決を求めている点も、北朝鮮に対する従来の見方から今も抜け出せずにいる事実を明確に示しているようだ。

崔宰赫(チェ・ジェヒョク)記者

【ニュース特集】北朝鮮砲撃、緊張高まる韓半島

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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