2010年11月23日
「就活くたばれ!」札幌発 学生ら40人がデモ行進
昨年に続き、「嘘つき合戦」の就職活動に異を唱えるコールが市街に響いた
(23日午後、札幌市中央区)
23日午後、「就活くたばれ」を合言葉に全国4カ所で同時多発デモが行なわれ、札幌でも北大生など約40人が勤労感謝の日の市街を練り歩いた。学生の多くが半強制的に取り組まざるを得なくなる“就職活動”のおかしさに異を唱えるのが目的で、デモの企画は昨年に続いて2度目。同時多発の火付け役となった呼びかけ人の大瀧雅史さん(22)=北大文5=ら実行委のシュプレヒコールに合わせ、プラカードや鳴り物を手にした参加者たちが約1時間半に亘って「就活NO!」のアピールに臨んだ。
「調子に乗るなリクルート」「調子に乗るな経団連」「調子に乗るな面接官」「嘘つきやめろ」「勉強させろ」―。午後1時45分に札幌市北区の北大正門前を出発したデモ隊は、独特のシュプレヒコールを響かせて西5丁目通りを南下、道行く人たちから複雑な視線を浴びながら同中央区のすすきの地区や大通周辺を歩いた。大瀧さんからの「思い思いの表現を」との呼びかけに応じ、音楽に合わせて踊ったり、鳴り物を駆使して隊列を盛り上げる学生の姿も。参加者の中には就職内定者や社会人もおり、社会問題としての“就活問題”にそれぞれのスタンスから疑問を投げかけた。
「基本的には、去年の同時期のデモと主張は変わりません」と、大瀧さん。「学生の本分は学問なのに、勉強そっちのけ、授業そっちのけで内定を得るために走り回らなくてはならない。大きな企業の面接を受けようと思ったら東京までの交通費が馬鹿にならず、地方格差の問題もある。そもそも、自分が何に向いてるかすらわからない人に『自己表現』とかの嘘つき合戦をさせるような社会には、未来がないですよ」―。最もおかしなことは「おかしいと思ってることを声に出せないこと」と言う。「社会に出てから居酒屋でくだ巻くよりも、今リクルート社の前で『リクルートおかしいぞ!』と叫ぶほうが健全でしょう」
昨年の札幌のデモに刺戟され、首都圏の学生たちも同旨のデモを企画、さらに大瀧さんが簡易投稿サイトツイッターで同世代らに呼びかけたことで、2年目の今年は東京、大阪、松山の3カ所で札幌と同時にデモが行なわれた。発祥地・札幌でも昨年より参加者が増え、大通公園で解散した午後3時10分ごろには約40人の規模に。大瀧さんは「長丁場で疲れたけど、いろいろなものを発散できて楽しかった」と、充分な手応えを感じている様子だった。
文部科学省の発表によると、10月1日の時点で全国の学生の就職内定率は57.6%という深刻な状況。機関紙の取材で現場を訪れていた全労働省労働組合の道支部副執行委員長・澤忠夫さん(51)は、デモの趣旨に共感し「就職できないのは当人の努力不足や甘えによる、といった誤った認識を持つ人は多いが、今や普通に就職できて当たり前の人たちが仕事に就けなくなった」と訴える。職場のハローワーク窓口では、高度成長期に難なく就職できた両親の無理解に苦しみ「親を殺して私も死ぬ」と泣き叫んだ女子学生に会ったことがあるという。
昨年のデモ終了後に就職活動を予定していた大瀧さんは、その後考えを改め「未だに何もしてません」―。12月に卒業論文を提出してから職を探すといい、「なんとか喰える仕事にありつきたい」と、ささやかな抱負を語っていた。 (ん)
Posted by Hoppo Journal at 22:37│Comments(0)
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