2010年9月26日 2時30分
名古屋市の河村たかし市長の支援団体「ネットワーク河村市長」による議会解散請求(リコール)の署名運動で、署名集めを担う一部の受任者が、地方自治法施行令に反し、担当区以外の有権者から署名を集めていたことが、25日分かった。毎日新聞の取材に、受任者の一人は「支援団体事務所の指示だった」と証言。支援団体は「指示はしていない」と否定している。
地方自治法施行令は、政令市の場合、受任者は自身が住んでいる区の有権者の署名しか集められないと規定している。
担当区以外の署名を集めたのは千種区の男性受任者。今月19日、支援団体が市内の全駅前で署名集めをした際、千種区内の駅1カ所を1人で担当した。この際、千種区以外に瑞穂、東、守山、昭和、港などほぼ全区の署名用紙を用意。それぞれの用紙に、該当する区民が署名するが、用紙裏の受任者の氏名・住所欄は空欄のままだった。
同日、署名場所で取材に応じたこの受任者は「千種区の署名用紙には、あとで受任者欄に自分の名前を書き込む。他区の分は空欄のまま支援団体の事務所に提出する。事務所で書き込むのだろう」と明かした。さらに「他区の人が多いため、事務所に相談したら『区ごとに紙を替えて集めればいい』と言われた」と証言。この日、約200人分の署名を集めたが、「半数以上は区外の人」と語った。
この受任者は「違反ということは分かっている。一般市の場合、(受任者は)市内全域で署名を集められるのに、政令市では区内分しか集められない法律がおかしい」と話した。
一方、河村市長の支援団体は毎日新聞の取材に対し、指示したことを否定したうえで、「受任者欄に記入がない場合は署名簿を破棄するか、署名した人にもう一度(署名を)お願いする」と説明した。
市選挙管理委員会には「受任者欄が空欄のまま署名を集めている」との指摘が多数寄せられているという。市選管に立ち入り調査などの権限はないといい、「実施団体に適法な署名集めを呼び掛け、提出された署名簿を見て有効か無効か審査する」としている。【丸山進】