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[24144] MUV-LUV ALTERNATIVE ACE
Name: 犬◆e8e761d3 ID:ae46ee25
Date: 2010/11/08 16:17
間違えて全て消してしまった為に書き直しを投稿し直します犬です。
本当は一部で良かったのに、何で全部消えたのか?
まあ、機を改めるのには丁度良いので書き直しを投稿します。
さし当たっては、今は1話ですが、明日以降に数話上げますので、少々お待ち下さい(ってか、待つ人なんて居るのか?)。
ではでは。

なお、にじファンにも同名で投稿しております。

更新
11月08日 新しく投稿再開。
第1話投稿。



[24144] 第1話「始まり、始まり。」
Name: 犬◆e8e761d3 ID:ae46ee25
Date: 2010/11/09 09:25

―――それは別の世界の物語。

―――それはありえないはずの物語。

―――だが、在りえない事で在りえる、限りなく近く、限りなく遠い世界。

―――そこで、運命に抵抗しようとする男が居た。






2001年2月11日午前11時20分、防衛基準体勢(デフコン)2が発令。
それに伴い帝国陸軍総司令部は本土防衛軍第12師団所属、神田少佐以下『鋼の槍』連隊がの出撃を決定。
そしてその部隊の援護中隊として我々も出撃となった。
しかし、BETAの攻勢激しく、徐々に押され、敗走寸前まで追い込まれた。
だが、のちの面制圧で攻勢に打って出ると、BETAを全滅したはずだった。
その直後にセンサーが振り切れるほどのBETAが出現した。


そして、我々とBETAの決戦が始まった。


2001年2月11日、相馬原基地近郊

side・黒川

「落ちろ。」
俺、黒川敏行大尉は92式戦術歩行戦闘機・改修型『陽炎・改』の右腕の87式突撃砲の36mm突撃機関砲を乱射する。
高速で射出されるHVAP弾(劣化ウラン貫通芯入り高速徹甲弾)が要撃級に食い込む。
息絶えたのか、その場に崩れるように倒れる。

「ハルバート01よりハウンド01、そちらの戦力の損耗率は?」

俺は親友であり、帝都本土防衛軍第12師団『鋼の槍(スティルランス)』連隊の三席に当たる七瀬幹也(大尉)に状況を尋ねる。

『こちらの機体の損耗率は15%らしい、そっちは?』
「俺の部隊はさっきの奇襲で全滅だ。」

俺は戦車級を36mmで掃討し、左腕の74式近接戦闘長刀で要撃級を斬り殺す。
しかし耐久限界が来たのか、長刀が根元から折れる。

『他の部隊は?』

長刀を戦車級の群れに投げつけて圧死させ、新しい長刀を抜く。

「情報が錯綜している。」
『いよいよ手詰まりだな。』

言いながら幹也の77式戦術歩行戦闘機『撃震』が87式突撃砲2丁の36mmが小型種を挽肉にし、要撃級を蜂の巣にしていく。

「あぁって、チェックシックス!!」

俺は幹也の背後に居た要撃級を120mm滑空砲で正確に狙い撃つ。
APCBCHE弾(劣化ウラン貫通芯入り仮帽付被帽徹甲榴弾)により一撃で撃破する。

「ミス1。」

その瞬間、幹也の87式の銃口がこちらを向き。

「おう?」

120mm滑空砲が火を噴く。
弾は俺の陽炎・改の横を通り抜け、後ろに居た要撃級に命中する。

『チェックシックス。』

幹也が不敵に笑う。

「言ってろ。」

などと言いあっていると周りをBETAが囲み始める。

『ハルバート01より各機へ、現在戦闘可能な機体は何機だ?』
『全機、戦闘続行可能です。ですが機体の損耗率が徐々に上がり始めています。』

副官の中尉が真面目に答える。流石全員百戦錬磨の強兵。

「お話中御免だけど、正面から団体様。要撃級と戦車級とその他諸々。」
『全機、鶴翼の陣にて対処。』
「了解。じゃあ、一通り掃討するか。」
『そうだな。全機、攻撃開始。』
『『『了解!!』』』

合計13丁の36mm突撃機関砲の一斉掃射により肉塊に変わっていくBETA。
突撃級がいないのが幸いだが、それでも掃射しても減らないBETAの物量作戦に疲労が蓄積し始める。

『ハルバート01よりハウンド01、これが最後の弾倉だ。』
「そうか。こっちもとうとう長刀の予備も折れた。120mmは弾切れ。36mmも残弾僅かだ。」

それと同時に機体の疲労も限界に達し始めていた。

『くろっち、それと七瀬大尉、無事?』
『生きてる、二人とも?』
「亜矢とあきらか。」

突然、大咲亜矢の94式戦術歩行戦闘機『不知火』全12機と八神あきらの撃震全10機がこちらに向かって来る。
両隊の戦術機は少しばかり損傷しているが、元気そうだ。
だが、一部戦術機が運んでいるコンテナが気になるが。

「部下は?」
『あっきーの方がさっきの奇襲で2機ほどやられたわ。ところで、そっちの状況は?』

何故かしつこく尋ねてくる大咲。だが、少しばかり気持ちに余裕が出来てきた。

「生きているし無事だが、弾不足だ。

87式の残弾は36mmが500を切って120mmは0。長刀はこの折れた1本だけ、と言った状態だ。」

『こちらも大して変わらない。お前たちは?』
『こちらも殆ど一緒です。』

幹也も部隊も同様で、かなりギリギリらしい。

『これお土産ね。』

そう言って亜矢達が置いたのは、コンテナだ。

「これは?」
『補給物資よ。』

その瞬間、幹也の部隊から歓声が上がる。

「地獄に仏とは正にこの事だな。」
『そうだな。』

幹也と二人、しみじみという。

『この大咲お姉さんに感謝しなさい。』
「するさ。ところで亜矢、盾(92式多目的追加装甲)は?」
『要撃級にあげたわ。彼、欲しがってたみたいだし。』
「豪快だな。」
『全くだ。』
『そうね。』

他愛も無い会話をしながら長刀1本と87式の弾倉を、幹也は87式の全弾倉と予備弾倉をそれぞれ補給する。
ほかの戦術機も装備の差こそあるが、大体同じように補給していく。

『状況は?』
「不利だな。」

あきらの問いに簡潔に答える。

『ま、確かにね。地下からの突発的な奇襲とそれによる混乱。まるで戦術ね。』

亜矢が相変わらず鋭いことを言う。

『で、どうするんだ?』

幹也の問いに少し考える。

「陣形は鶴翼の陣、先頭を幹也、左翼に亜矢、右翼にあきらを当てる。俺は数の少ない八神中隊に入る。」
『『『了解!!』』』
『全機、敵の足を止めろ。弾はまだあるから気にするな。』
『『『了解!!』』』

幹也の部隊が弾幕を張り始める。12丁の36mmから発射されるウラン弾がBETAを肉塊に変えていく。

『大咲隊全機へ、こちらも弾幕を張れ。奴らの死体で壁を作り足止めをしろ。』
『『『イエス、マム。』』』

亜矢の部隊も攻撃を開始する。

『八神隊は七瀬隊や大咲隊の掃射後の弾倉交換の援護をします。』
『『『了解。』』』

あきらは慎重に状況を見ている。

『敏行大尉もよろしいですね。』
「委細承知。」

ほぼ状況に合わせた戦術を取ったつもりだが、不安も残る。
(問題は、終わりの見えないってところだな。さて、どこまで持つか。)


『ハルバート04、弾薬残り僅か!!』
『ハルバート06、弾切れ。補給します。』

徐々に弾薬が心許なくなってくる。
終わりの見えない戦闘に徐々に焦りが生まれてくる。

『きりがないわ。』
『そうね。殺しても殺しても湧いてくる。』

亜矢とあきらが焦りだす。どうやら本当に切羽詰っているようだ。
すると俺たちは戦場で最も目にしたくない存在を見る。
それは見るだけでもおぞましい巨体。
蜂を連想させる戦場で最も出会いたくない存在。

「要塞級が4!?」
『く、このタイミングでか!?』
『この糞忙しいときに!!』
『邪魔なのが来た。』

口々に皮肉や文句を垂れる。

「全機、120mmに弾がある奴は優先して要塞級を狙え!!」

俺たちは突撃砲を構え。
そして別方向から120mmが飛んでくる。

「えっ?」
『生きているか、七瀬、黒川!!』

直後に神田少佐と日高大尉のバストアップが映る。

『神田少佐、日高大尉。』
「神田少佐、日高姐さん!!」
『どう、いいタイミングだったでしょ?』
「姐さん、惚れました。あまりにもにくい演出です。」

俺は戦術機の親指を立てて答える。

『ありがとう。』

俺は即座にCPに通信を取る。

「ハウンド01よりCPへ報告、提示した座標に支援砲撃を行ってくれ。」
『CPよりハウンド01、それは越権行為になります。』
「構わない。ここが勝負所なんだ。頼む。」
『……CP、了解。』

CPの神谷少尉の通信を確認すると、神田少佐と日高大尉に回線を開く。

『どうした?』
『どうしたの?』

神田少佐と日高大尉のバストアップが映る。

「現在、BETAが密集しているこのポイントに支援砲撃をし、時間を稼ぎます。」
『『…………。』』

二人が黙る。そのポイントは確かにBETAの数が多いが、先ほどまで光線級が居た所。それを理解しているのか苦い顔をしている。

「日高大尉!!神田少佐!!」

俺は声を荒らげる。自分でも珍しく感情を出しているのが解る。

「この作戦は博打と言える作戦です。しかし、ここを抜かれれば帝都まで目と鼻の先です!」
『『『…………。』』』

幹也、亜矢、あきらの三人が不安そうに俺を見ている。

「我々は本土防衛軍として、これ以上奴らの跳梁を許してはならないはずです!!」

少しの間の後、神田少佐の苦虫を潰した様な顔が出る。

『……各機、支援砲撃開始までこのラインを絶対防衛線とする!!……本土防衛軍の意地を見せろ……全機、この戦線を死守するぞ!!』
『『『『『『了解!!』』』』』』


支援砲撃が行われて数分後、BETAの勢いは衰えて始めていた。
結果、この地区は俺と七瀬中隊、八神中隊、大咲中隊、神田中隊、日高中隊のみで受け持っていた。

「幹也、お前の中隊は日高大尉の所に援護しに行け。俺はギリギリまで遊撃を行う。」
『分かった。七瀬中隊全機、ついて来い。』
『『『了解!!』』』
「大咲中隊は神田中隊の援護を頼む。だか、機動力では不知火が上なのを忘れるなよ。」
『分かってるって。大咲中隊、神田中隊の援護に行くよ。』
『『『イエス、マム。』』』

すると、地下から激しい揺れが襲う。

「全機、緊急跳躍!下からだ!」

そして多くはないBETAが現れる。

「目視1000。早急に潰せ!」

だがあきらの撃震だけが動かない。

「あきら、どうした!?」
『敏行、御免。』
「あきら?」

一瞬、なぜ謝っているのか分からなかった。

『跳躍ユニットが作動しないわ。』
「な!?」

その瞬間、八神の撃震が要撃級からの攻撃を受けて後ろに吹き飛ぶ。

「あきら!!」
『あっきー!!』
「ハウンド01、フォックス03。」
『クーガー01、フォックス03。』

俺は全弾使い切る気持ちで36mmのトリガーを引き、八神の周辺に居る要撃級や戦車級を肉塊に変えていく。
大咲が援護をする。

『ハルバート各機、フォックス03。』
『『『了解。』』』

刹那、七瀬の部隊からも支援を貰い、掃討に成功する。

「あきら、大丈夫か!?」

バストアップが映る。そこには左眉から出血している八神が映った。

『問題ないわ。破片で眉毛を切ったくらいよ。大袈裟過ぎるわ。』
『素直じゃないんだから。』
「確かにな。だが、あいつなりの照れ隠しだろう。」
『そうだよね~、照れ隠し照れ隠し。』
『聞こえてる。』

大咲と二人で口々に八神を弄る。

『お喋りはそこまでだ、三人とも。周囲を警戒しろ。』
『『「了解。」』』

神田少佐に釘を刺されたので真面目に周囲警戒を始める。

『……静か、ですね。』
『神田少佐、帝国参謀本部は何か言ってませんか?』
『現状維持だそうだ。』

対策か何かを会議中なのだろうと考えたい。

『現状、ねぇ。現状がどんなものなのか上層部の人たちは見ないのかしら?』
「大尉、現在の発言は上官侮辱罪に当たる可能性がありますので自重してください。」

日高大尉に進言する。

『あら、ごめんなさい。』

だが全く謝る気のなさそうな様子の日高大尉に少し呆れる。

『でもさ、無能は嫌だよねぇ~、あっきー。』
『そうね。無能の下に就く位なら何処かに左遷された方がマシね。』
「なぁ、二人とも。本当に頼むからその危険な会話を俺の近くでしないでくれ。飛び火は嫌だぞ。」

少し泣きそうな声で二人に釘を刺す。

『『了解(了解♪)』』
(絶対、口だけだな。)

瞬時に悟った。

『帝国参謀本部より入電。』

唐突に神谷少尉が映ったので表情を引き締める。

『本日16:49を以ってBETA掃討を宣言。デフコン01より02へ移行。なお、鋼の槍連隊は引き続き警戒を続けよ、との事。』

理不尽な命令だが、任務と割り切る。

『神田隊、了解。』
『日高隊、了解。』
『七瀬隊、了解。』
「黒川隊、了解。」
『大咲隊、了解。じゃあ皆さん、基地でまた会いましょう。』
『八神隊、了解。では、失礼します。』

亜矢とあきらの部隊が撤退していく。

『敏行、どうして俺たちだけが残されたと思う?』
「相馬原の守備隊は壊滅したらしい。その埋め合わせだろう。」
『なるほど。』

答えると、何処か納得した顔をする幹也。

『迷惑ね。』
「そうですね。」

日高大尉の言葉に心底同意する。

数分後、交替の部隊の到着と同時に俺達も後退するのであった。
そして、この戦いが全ての始まりの序章になるとは思わなかった。


あとがき
犬「犬と。」
黒「主人公の。」
犬・黒「「裏話!!」」
犬「さて、やってしまいました、このお話の投稿。」
黒「1つ良いか?。」
犬「何?」
黒「前のはどうした?」
犬「黒歴史として葬り去りました(-_-;)」
黒「良いのかよ、それで。(・_・;)」
犬「話を詰めたのが原因ですねorz」
黒「で、これはどうするんだ?」
犬「もう大雑把に帝国激動編、横浜鎮魂歌、最終決戦と分けます。」
黒「ふむふむ。」
犬「最低でも一章20~の予定にしてます。」
黒「なるほど。」
犬「あと、君らの紹介と裏話はプロフィールに書くから待ってくれ。」
黒「了解。」
犬「次回を待て。ではでは。(・_・)ノシ」



[24144] 第2話「計画、始動。」
Name: 犬◆e8e761d3 ID:ae46ee25
Date: 2010/11/09 15:39
報告書
2001年2月12日作成

内容
 帝国軍本土防衛軍第12師団所属『鋼の槍』連隊外接仮想敵部隊『黒き狼隊』隊長、黒川敏行大尉が去る2月11日の相馬原基地防衛戦に於ける数々の越権行為、並びに命令違反の疑いに関する報告書。

容疑
 命令違反、越権行為

調査結果
 確かに他部隊の隊員に対して、越権行為とも取れる命令を下したのは事実ですが、それは当時の現場の判断であり、これが一概に悪いとは言えず、また支援砲撃の要請は、必要であったと言われれば納得してしまう状況下であったとも言えます。
 また、同連隊の多数の隊員から黒川敏行大尉を無罪に、との声が多数あり、彼がどれだけ部隊の生存に尽力を尽くしたのかが伺えます。
 この様な状況を鑑み、黒川敏行大尉には無罪、または2、3日の営倉入りが妥当と思われます。

報告者
帝国情報省外務二課 剛田 城二少尉

side・剛田

「ふぅ~。」

俺は入力していたデータをプリントし『提出物』と書かれた茶封筒に入れ、封をする。

「しかし、余程彼を容疑者扱いしたいらしいな。」

たったこれだけの事を理由に彼を処分しようとしているのだ、何か裏があると俺の直感が言う。

「ちょっと調べてみますか。」

好奇心半分、職業病半分の気持ちで席を立つ。

「何はともあれまずは書類だな。」


俺の上司の元上司である後藤副司令に茶封筒を渡す。

「うん、ご苦労さん。わざわざ悪いね、これだけの事を頼んじゃって。」
「いえ、職務ですから。」

淡白に言うと、ニヤッと笑う後藤副司令。

「所で、左近は元気?」
「えぇ。今はアラスカに鮭を釣りに行ってます。」

そう言いながら課長がサーモン釣りをしている姿を想像する。

(……似合わないな。)

「そりゃご苦労さん。おおよそ、雌狐だろうけどね。狙いは99式のブラックボックスかな。
ソ連も余程あれが欲しいんだろうね。来るべき人対人との戦いに。アメリカとの戦いに。
まあ、取らぬ狸の皮算用にならなければ良いけどね。」

相変わらず驚くほど情報分析が早い。
たったこれだけの情報でそれだけの物を導き出すとは。

「流石ですね。」
「いやいや、情報さえあればこれ位、俺でも分かるよ。」

それでも、この人は桁が違うと思う。

「では、失礼します。」
「うん。」

そう言うと俺は退室する。




あ、あの事訊くの忘れた。
ま、良いか。





side・????

……時間を遡り、2001年1月29日、帝国国防省 第六会議室
私は巌谷榮二中佐の説明の後、挙手をする。

「……若輩者の小官の愚策、お耳汚しで無ければご視聴下さい。」
「許可しよう。」

畑違いの私の意見を許可した議長のことを少し疑いながら席を立つ。

「やはり米国の培ってきた戦術機ノウハウは我々を圧倒しており、これを考慮した上で、私は皆様の手元に置かれております計画をXFJと並列で行いたいと思います。」

そして手元の資料を見た巌谷中佐を除いた全員が驚きを隠せない表情をしている。

「この計画は時間が掛かりますが、それでも国内戦術機の明暗を決めるもの、と私は考えております。」
「「「………。」」」

流石に議場が静寂に包まれる。
確かに先ほどから口うるさく『国産』にこだわって来た奴らが急にこの計画を受け入れられるはずが無いことは解っていたので、予備の手を出す。

「……戦国時代に、種子島に外国から鉄砲が伝えられました。」
「「「……。」」」

議員達が黙っているが、注意しながら喋る。

「種子島の鍛治師はそれを分解し、構造を理解して、それを上回る鉄砲の製作に漕ぎ着けました。」
「我々はその血を引き継いでいる者達です。例え諸外国の戦術機を模倣して文句が出てきても無視すれば良いではありませんか」
「それが結果的に我々の力になるのならば。」
「「「………。」」」

議員達の静寂は続くが、私はそこで礼をする。

「若輩者の小官の意見を聞き届けて頂き、感謝いたします。」

そして私は着席した。


2001年2月16日


side・黒川

相馬原基地防衛戦から数日後、突如休暇を与えられた俺たち鋼の槍連隊。
部隊の再編や基地の修理、それに人員補充などでかなりの時間を消費するからだ。
そして俺は幹也の部屋で秘蔵の芋焼酎を飲んでいた。

「幹也、暇だ。」
「そうか?俺は書類整理に忙しいぞ。」

机に座って幹也は書類を処理している。
しかも書類は微妙に山になっており、当分終わる気配はなさそうだ。

「俺の部隊は最後の奇襲で全滅、当分は休業だ。」
「そうか。」

おかげで今の俺の部隊は俺以外は誰も居ない。

「そう言えば幹也の所、撃震の代わりに何が来るんだ?」

ふと思った疑問を口に出す。
幹也の大隊の損耗率は鋼の槍連隊の中でも最も酷く、他の中隊と比べても断トツだったらしい。
おかげでオーバーホールするより別の戦術機を取り寄せた方が安く済む為、新しいのが配備されることになったらしい。

「94式戦術歩行戦闘機、不知火だ。」
「それは羨ましい。」

正直な感想を述べる。
不知火は数も少なく配備されているのは優先的に帝都本土防衛軍や重要度の高い部隊に配備されている。
その為、俺たち帝国軍人には憧れの存在と言える。

(そう言えば、首都防衛の一翼を担っている第5師団の大咲も不知火だったな。)
「だが機種転換だから当分は訓練だ。その書類を書くと思うと今から胃が痛い。」

そう言いながら幹也が胃の辺りを押さえる。

「ご愁傷様。」
『黒川敏行大尉、七瀬幹也大尉、直ちに副司令室までお越しください。繰り返します……。』

突如として放送が流れ、呼び出しを受ける。

「呼び出しか。」
「らしいな。」

首を傾げる俺に幹也が立ち上がる。

「さて、どんな無茶を押し付けられることやら。」
「そうだな。」

溜め息をつきながら幹也と共に副司令室に向かう。


「黒川敏行大尉、出頭しました。」
「七瀬幹也大尉、出頭しました。」

ノックをして扉を開けて敬礼をする。

「ご苦労さん。堅苦しいのは抜きで、まあ、座ってくれ二人とも。」
「「了解。」」

促されたのでとりあえず、俺と幹也はソファーに座る。
目の前にはこの基地の副司令であり、鋼の槍連隊総指揮官である後藤喜一副司令が座っていた。
風貌こそ中年のおじさんだが、かつては周りから『剃刀後藤』や『昼行灯』と呼ばれ恐れられていた元城内省外務二課課長。
だが、何故この鋼の槍連隊の連隊長兼副司令になったのかは未だに不明だが。

「すまないが机の上の資料を見てくれ。」

そう言われ、机の上にあった茶封筒を開けて中身を取り出す。
とそこに書かれていた文字に目が行く。

「次期主力戦術機開発計画?」
「何ですか、これは?」
「迫り来るBETAとの戦いに於いて、戦術機は戦術の中核を成している。
それこそハイヴ内における戦闘は戦術機のみが活躍しているといっても過言ではない。
だが、我が国の不知火は開発期間を切り詰めた上にノウハウの無いまま創り上げられた不遇の戦術機。
その不知火に替わって踊り出るのがこの次期主力戦術機だ。」
「しかし、国内派はこれを容認するのですか?
彼らは石頭も石頭。鉄パイプで殴っても変わらない無い生粋の国枠主義者達。
それをどうやって説き伏せるんですか?」

聞いた人間次第では何か言われそうなぎりぎりの言い方で尋ねる。

「あ、それはもう終わってる。」
「「は?」」

何事も無い様な言い方に呆気に取られる俺と幹也。

「やっぱりね、脱税はいけないよね、脱税は。真面目にしないとどこで怪我するか分からないしね。」
「そう、ですか。」
「はぁ。」

俺と幹也は呆れて物も言えない。

「要するに『表沙汰にされたくなければ協力しろ』って事ですね。」

俺が簡潔に纏める。

「まあ、そう言う事。と、言う訳で。」
「どんな訳ですか?」

つい勢いで揚げ足を取ってしまう。

「気にしない。黒川敏行大尉か七瀬幹也大尉、そのどちらかがこの計画の実働隊隊長を勤めよ。これは命令だ。」

口調は変わらないが雰囲気が変わる。そしてその気配に俺も幹也も身を締める。

「でしたら、自分は無理です。自分には鋼の槍連隊の大隊長としての勤めがあります。」
「そうだな。後藤副司令、自分が実働隊隊長になります。」

幹也の言葉に頷きながら立候補する。

「分かった。ベースとなる機体の搬入や隊員の選抜は私がやるからお前さんは待機していろ。」
「「はっ。」」

立ち上がり幹也と共に敬礼する。

「じゃ、解散。」
「「失礼しました。」」

そう言うと俺達は部屋から出て行く。


次の日、俺は再び副司令室に呼ばれた。
(えらく早いな、元から決まっていたのか?)
下種な勘繰りかもしれないが、余りにも早いので予定調和に思えてくる。

「これが選定した隊員。とりあえず新人も居るけど虎の穴に放り込むから問題ないだろう。」

手渡されたリストを見ると確かに新人が多い。しかも何故か俺の義娘まで居る。

「それとこれね。」

副司令が机の引き出しから出されたのは小さな木の箱だ。
開けるとそこには階級証が入っていた。

「少佐の階級証ですか。」
「昇進。一応俺の直轄の部隊だから最低限、少佐の権限を持ってもらわないと困るんだよ。」
「正直、大尉が良いです。」

とりあえず断ってみる。

「でも、認められないんだよね。諦めろ。」

だが駄目だった。仕方がないので階級証の入った箱を受け取り、少佐の階級証を胸につける。
正直、階級が上がるたびに責任という目に見えない重さが辛い。

「ところでさ、この子達、引き取らない?」

唐突に話が変わる。そして副司令が今度は数枚の書類を出す。
それらを見てみると少女が二人映っている写真と説明と思われるものが書かれていた。

「クリスカ・ビャーチェノワ少尉とイーニァ・シェスチナ少尉?」
「そう。彼女達は前々から保護していた子でね。晴れてお前さんの娘になる事となった。」
「頭、大丈夫ですか?」

後藤副司令が気でも触れたのかと、心配になる。

「正気だぞ。それに、嫌なら施設送りにすればいいんだし。」
「……。」

俺は無言で副司令を睨む。感情無しの睨みは、よほどの人間で無い限りは怯えるか竦む。

「睨むなよ。彼女達を引き取るのはお前さん次第だし。」

だが『剃刀』の二つ名は伊達ではないらしく、効果は皆無らしい。
このあたりは年季の差だろう。
元帝国情報省外務二課課長の肩書きは伊達ではない。
自己完結する。

「……了解。その子達を引き取りましょう。」

子供は好きだし、二人くらいならまだ養える。
それに、あえて虎穴に入るのも一興。何が出るかはお楽しみだが。

「無理を言ってすまないな。」
「はいはい、失礼します。」

白々しい嘘だと思いながらも、無視して退出する。


2001年2月24日


side・黒川

基地外から軍用トラックが向かってくる。

「来たか。」

軍用トラックから二人の少女が降りてくる。

「クリスカ・ビャーチェノワ少尉とイーニァ・シェスチナ少尉だな。」

俺が声をかけると、イーニァ少尉がクリスカ少尉の後ろに隠れる。

(……やっぱり、6割が白髪のままなのが原因か?それともオッドアイが原因か?)
「はっ、クリスカ・ビャーチェノワ少尉、イーニァ・シェスチナ少尉、着任しました。」

声が聞こえたので思考を中断し彼女たちを見る。

「了解した。俺が今日から君達の上官になる黒川敏行少佐だ。楽にしていいぞ。」
「はっ、よろしくお願いします。」
「おねがいします。」

クリスカ少尉はまさしくあの頃のあの子の様だ。
だから、笑みがこみ上げそうになる

「分かった。では早速だが君たちの親権は私が預かる事となった。つまり、今日から君たちの父親になる。」
「はっ?そ、それは!?」
「そして、今から君たちをクリスカ、イーニァと呼ぶ。」

元々苗字で呼ぶのがあまり好きじゃない。苗字はその人間の生まれを指しており、その人間個人を表していないからだ。

「それに、俺は基本的に相手の名前で呼び合っている。問題はない。」
「でしたら……。」
「命令だ。」

有無を言わせぬ権限を発動する。と、イーニァ少尉が俺を見ていることに気付く。

「ん、どうした?」
「……おとうさんでいい?」
「イーニァ!?」

つい顔が綻んでしまう。

「そうだな。そう呼んでくれれば良い。ま、家にはもう一人お前達と似た奴が居るし、仲良くしてくれな。」
「うん。」
「イーニァ……。」

クリスカが寂しそうな顔をする。

「安心しろ、クリスカ少尉も一緒だ。」
「えっ?」
「二人で一つのお前達を引き離すことはしない。安心しろ。」

そう言いながらクリスカとイーニァの頭を撫でる。
無意識にではあるが、やはりどこかあの子を連想しているのだろう。

「ん。」
「なっ!?」
「お前達の過去に何があったのかは知らない。多分俺が想像出来ないような事があったんだろう。
だがそれに囚われるな。前に進めなくなるぞ。」
「うん。」
「……分かった。なら指示には従う。」
「ありがとう。じゃあ、悪いけど着いて来てくれ。仮部屋まで案内する。」
「……了解。」
「うん。」

そして俺は自分の部屋に案内する。



その後の数日間は騒がしくなった。
イーニァはその愛らしい表情や純真なところが基地内で有名となり、(一部有志による)ファンクラブが出来た。
クリスカは当初は無愛想で排他的だったが、かつてリアにした様な体当たりで感情剥き出しで接していると数日で折れた。
まあ、三人で(無理矢理)風呂に入ろうとした際には本気で殺されそうになったが、この程度で折れる気は毛頭無い。
そして3日目で諦めた時にはつい拳を握ってしまった。
結果、周囲からは「幼女趣味?」や「重度の親馬鹿」と呼ばれるようになった。


あとがき

黒「で弁解は?」
犬「これ自体は予定調和。」
黒「TEをぶち壊しておいて何を言うかこの駄作者は。」
犬「大丈夫。TEはTEで勝手に進むから。それに、この世界はALとは無縁の世界だし。」
黒「それを言ったら終わりだろう。」
犬「それに、設定ではクリスカイーニァは別のところで過ごしていた時点でTEぶち壊し決定だろう。」
黒「そうだな。で、最後の一文は?」
犬「遊び心。」
黒「赤犬って、食べれるらしいな。(・_・#)」
犬「えっ?」
黒「終われ。」
犬「いやぁあああ!!!!???」

ブラックアウト



[24144] 第3話「新人さん、いらっしゃーい。」
Name: 犬◆e8e761d3 ID:ae46ee25
Date: 2010/11/10 10:41
2001年3月1日
さて、財布がリアルにボーダーブレイク。
今月どうしよう。後5日もあるZE。
……土下座か。



side・黒川


帝国斯衛軍、訓練校。
一応、さまざまの武家のお坊ちゃんやお嬢様が通う訓練校。
そこに俺はある人物に会いに来た。
校門を抜けた先の大きな木の下にその人はいた。
髪の色は白銀で、顔立ちも日本人とは違うが、逆にそれが少女の雰囲気を出している。
のんびりと食事を取っている少女。手にはおにぎりを持って美味しそうに食べている。
数分後、食べ終わったのかお茶を飲みながらまったりし始める。

「リア。」

声を掛けるとこちらの方を向き驚いた表情を作ったかと思うと、突如走ってくる。

「お父さん!!」

抱きついてくるリアを踏み止まって受け止める。
暖かい温もりを抱きしめて身体で感じる。

「約束どおり、生きて帰ってきたぞ。」
「そうだよね、お父さんは生きて帰ってくるもんね。」

リアの泣きそうな声に目頭が熱くなる。

「もちろんだ。」
「で、今日はどうしてここに?」

抱擁を解いて本題に入る。

「あぁ、ちょっとばかり用事がね。」
「用事って?」
「これを渡しに来た。」

そう言うとA4サイズの茶封筒を鞄から取り出し渡す。
リアは早速中身の書類を見始める。

「……入隊許可書?」
「そう。この部隊にお前を引き入れたいらしい。」

すると少し困った顔を作るリア。

「別に良いけど、前提条件として訓令兵如きがこれほどの計画に入ってもいいの?」

その言葉を肯定するように頷く。

「構わない。お前の演算処理能力と戦術機特性が欲しい。」
「了解。今後はどうすればいいの?」
「参加してくれるのなら、この書類に必要事項を記入して提出してくれ。」
「了解。ところで、家族が増えたって本当?」
「あぁ。本当だ。」

リアの問いに頷いて答える。

「会いたいな~。」

笑顔で心躍らせている。

「会えるさ。まぁ、昔のお前と同じくらい気難しいぞ。」
「へぇ~、楽しみだな。」
「じゃあ、用事も済ませたし帰るな。」
「うん、道中気をつけてね。」
「ああ、お前も風邪とか引くなよ。」

そう言うと俺は踵を返し、訓練校を後にした。


……数日後、2001年3月8日


ブリーフィングルームは少し活気だっていた。
理由は今日、最後の隊員が到着するからだ。
その為か亜矢やあきらが新入りの洗礼を考えている様だし、イーニァやクリスカは少し落ち着かない様子だ。
しかし、やっと部隊としての行動が取れる。
と、扉を叩く音がする。

「入れ。」
「失礼します。」

入出する3人の少女達。

「そこに立ってくれ。」
「「「了解。」」」

そして白板の前に立つ。

「左から自己紹介を頼む。」。
「帝国軍より出向しました、伊隅まりか中尉、着任しました。」
「同じく伊隅あきら少尉、着任しました。」
「斯衛の訓練校より出向しました、リーリア=黒川です。まだ至らない点が御座いますが御指導のほど、よろしくお願いします。」

3人の新任が敬礼するが、やはりリアだけ少しぎこちない。

「良く来た3人とも。俺は中隊長の黒川敏行少佐だ。以降は俺の指揮下に入ってもらう。良いな。」
「「「了解。」」」
「さて、先にリーリア二等兵。」
「はい。」
「特別出向と言う事で特例で准尉の階級を与える。階級に恥じぬ責任をもった行動をしろ。良いな。」

階級証を手渡す。

「はい。以後は尉官として恥じぬ行動を取りたいと思います。」
「さて、今からは共に活動する仲間を紹介する。まずは大咲大尉からだ。」

そう言うと全員が立つ。

「大咲亜矢よ。階級は大尉、よろしくね新入りさん達。」
「八神あきら大尉よ。伊隅さんと名が同じだから、とりあえず今は八神と呼んで。」
「クリスカ・ビャーチェノワ少尉だ。よろしく頼む。」
「いーにぁ・しぇすちなしょういです。よろしくおねがいします。」
「しかし……これは少佐の趣味ですか?」

伊隅あきら少尉の視線が微妙に痛い。

「後藤副司令に聞いてくれ。あの人が選んだ面子だ。」
「所でお父さん、あの二人が新しい家族?」
「そうだ。……知っているのか?」

少し驚いた声を出す。知っているとは思わなかったからだ。

「勿論。イーニァ、クリスカ、久しぶり。また会えたね。」
「りあ、またあえたね。」
「な、何故ここに!?」
「危うく死に掛けたけど拾われてここにいるよ。」
「そ、そうか。」
「気にすることは無いよ。選んでここにいるんだから。」
「そうか……。」
「それに、割と面白い人生だから、後悔も何もしてないよ」
「うん、わかる。あのひとはつき。いつもそこでみまもってる。」
「正解。そう言う事よ、クリスカ。」
「私にはまだ分からない。」
「そっか。でもね、何時かは分かるようになるよ。」
「そうだな。」

どうやら話は纏まったと思ったので俺は手を叩く。

「さて、本日から俺達の拠点となる所に案内するから、付いて来てくれ。」

そう言うと俺は隊員を引率する。

side・まりか

正直、驚いている。
私みたいな衛士が帝国軍でも屈指の精鋭部隊、鋼の槍連隊の外接部隊とは言え、隊員になれた事に。

「ここが格納庫だ。今は機体が来ていないから空だが、8機も揃えばかなり壮大になる。
あと、あまり整備員に迷惑を掛けるな。彼らが居て、俺達は安心して戦場に出られる。
彼らを敵に回すのは勝手だが、俺達に迷惑が掛かる時点でそいつは除籍とする。心しておけ。」
「無論、先方が原因ならばこちらもそれなりの対応は取るから安心しろ。」

また歩き始める。
今度はシュミレータールームらしい。

「ここが部隊専用のシュミレータールームだ。各国の全ての戦術機データが入っている特製仕様だ。
だから、ここはほぼ俺達専用になる。」

部屋の中に案内される。

「さて、全員今からシュミレ-ターに向かい、新人の歓迎会を行うぞ。」

その瞬間、扉が閉まり鍵が掛かる。

『!?』
「そうね。24時間耐久レースよ。」
「泣き喚き叫んでも救いは無いわよ。」
「久々だからか気分が高揚する。例えるなら、多数のBETAを相手に孤軍奮闘している様な高揚感だ。」

少佐達の顔が笑っているが、私達には笑っているようには見えない。
むしろ、般若の微笑み。

「笑顔が怖いよ、お父さん。」

リーリア准尉が、青い顔で声が震えながら言う。そして自分も含めた他の子もガタガタ震えている。


その後は少佐と大尉達、私とあきらちゃんと3人娘と別れてシュミレーターで24時間休まず搭乗させられた。
そして気付くと朝には自分の部屋で寝ていた。

「あれは、夢じゃないよね。」

あとがき
犬「さて、義理の娘達こと、三人娘が集結ですね。」
黒「時系列的にはどうなんだ?」
犬「リアちゃんはクリスカと同じナンバー(ビャーチェノワ)なのですが、
実験やお薬などの影響で成長が止まっていました。」
黒「それではなく、出会いの頃だ。」
犬「それは大陸時代の一時ですが、それはまた後日と言うことで。」
黒「後に伸ばすのか?」
犬「なお、リアちゃんの体系はまりか中尉とほぼ同じなので悪しからず。
あと、風貌はクリスカの顔にイーニァの髪です。」
リア「へぇ。つまり、私はスタイルに関しては絶望と。」
犬「ごめんね、設定だから。」
黒「俺は知らん。」
リア「でもさ、もう少しボリュームが欲しいんですけど。」
犬「無理♪」
リア「お父さん、今日は鍋で良い?」
黒「だったら赤犬にでもするか?」
犬「だが断る(キリッ)」
黒・リア「「だが断る(キリッ)」」
犬「いやぁああああ!!!!???」

ブラックアウト




[24144] 第4話「本日、教習中。」
Name: 犬◆e8e761d3 ID:ae46ee25
Date: 2010/11/24 11:15
前書き
別の所の感想で書き方の指摘があったので書き直してみました。
まあ、また何かあったら直します。


3日後……2001年3月11日

side・大咲

「遅い、遠足気分か!お母さんの弁当がそんなに恋しいか!!」

外から罵倒の声が聞こえる。
声の主はこの部隊の隊長、黒川敏行少佐。
そして哀れな生贄は5人の新人たち。

「軍は貴様らに玩具を与える慈善団体じゃない。戦術機一機がどれだけするか知っているだろ!」
「お前達がこの部隊に居る限りは甘えは許さない。死すらも許されない。」
「倒れるな、走れ!!貴様を助けて誰かが死ぬんだぞ!!それでも良いのか!!」
「戦術機の性能は人の性能だ。自分が出来ないことが戦術機で出来ると思うな。」
「誰が休んで良いと言った!貴様の家訓は倒れろとでも書いているのか!全員5週追加だ。」

可哀想とは思わない。前日に同じ様なことを行ったから。
しかし、前線で女を捨てた私が言うことじゃないけど。

「もう少し、優しくできないのかね?。」
「何を?」

隣のあっきーが反応した。

「いえいえ、軍曹口調もどうかと思ってね。」
「あの丁寧で上品な言い回しのこと?」
「まあ、そうだね。まだ卑猥な言葉を言ってないだけ上等か。」

皮肉の効いた言い回しに呆れる。

「そうね。流石に乙女に向かって○○○○は不味いわね。」
「……あっきー、今のは流石に酷いよ。」
「そうかしら?早めに経験していれば、黒川も……。」
「それは不味いって。私達じゃないんだから……。」

嘗ての暴挙を例に挙げるが、思い出して考える。

―若さゆえに暴走した青春の1コマを―

「……止めようか。不毛だよね。」
「……確かに不毛ね。」

頭を振りかぶって記憶を消す。
お互い、古傷は触りたくないものだ。
特にあの記憶だけは厳重に保管し地中に埋めておきたい。

「思ったんだけどさ。」
「何?」
「何であんな事したんだっけ?」
「記憶から削除したから覚えてないわ。」

さいですかと小さく言うと、仕事に戻る。

「ところでさ、この山積みの書類の提出っていつまでだっけ?」
「今日中よ。名前書いて判子押すだけだから簡単よ。」
「そっか。03、今日の昼は奢らせるよ。」
「援護するわ、02。」


side・黒川


ん、何だか殺気が……気のせいか?

「し、少佐。」
「ん?」

伊隅中尉が息を切らしながら呼吸している。

「ぜ、全員、か、完走しました。」

頃合いか。

「全員、午前の訓練は終了だ。昼食後、第2会議室で座学をみっちり行う。
遅れれば、廊下にバケツを持たせて立って貰うから、そのつもりでな。」
『サー、イエス、サー。』
「さて、今日まで俺たちの訓練をよくこなした。ご褒美に、今日の昼食は全て奢りだ。
好きなだけ選べ。質問は?」
『サー、イエス、サー。』
「さてリア准尉、大咲大尉と八神大尉を読んで来い。あいつ等にも奢るからと言えばホイホイ着いて来るから。」

それ以外にも理由があるが、言わなくてもいいだろう。蛇足だし。

「サー、イエス、サー。」
「じゃ、行くか。」

俺は先頭を歩いてその後ろを新人達がついてくる構図に、鴨の親子を思い出し薄く笑う。

「どうかしましたか?」
「いや、何でもない。」

伊隅少尉の質問を大雑把に返す。
流石に鴨の親子みたいだとは言えない。

「さて、今日は何にするかな?」

数少ない娯楽の1つ、昼食選びに物耽る。



食堂で全員の食事代を払うと席へ適当に座らせる。

「4500円か。結構減ったな。」

とりあえず、財布が軽くなったことを無視して席を探す。
だが流石に昼の繁忙期。何処の席も満席で込んでいる。

「敏行、こっちだ。」

誰かが俺を呼ぶ声が聞こえた。
辺りを見回すと、手を振っている人を見つけたので、とりあえずその席へ向かう。

「ここだ、敏行。」
「幹也か。」

俺は幹也の目の前に座る。

「流石に込んでいるだろう。」
「あぁ。娘達の席は有ったが俺の席が無かった。」
「ご愁傷様だな。ま、たまには良いだろう。」
「まあな。部隊に男が一人も居ないから結構大変だぞ。」

俺は合成しょうが焼き定食をご飯に乗せて一口で食べる。
正直合成だが、この味は大好きだ。

「そうか。それは災難だったな。」

幹也が突いている合成親子丼もなかなか美味しそうに見える。

「一口交換、どうだ?」
「しょうが焼き1枚と交換なら良いぞ。」
「乗った。」

交換し、一口食べる。

「明日は親子丼だな。」
「俺も、明日はしょうが焼きにするか。」
「でだ、話を戻すが、副司令の決定だ、何かあるんだろう。」
「だろうな。昼行灯の異名は伊達じゃないぞ。」
「あぁ。」

妙な間が空く。

「ところで、新型機はどうだ?」
「明日の昼頃、厚木経由でここに来るらしい。」
「ふむ。」
「それと幹也、あれは新型機ではない。試作機だ。」
「そうだったな。ところで、今後からお前達の所が外国製の戦術機で編成すると言う噂は本当か?」

手が止まる。
現状ではそこそこ情報制限がしかれている情報が流出している。
だが、脳裏に万年水虫の副司令の顔が浮かぶ。

「……事実だ。実際、アグレッサー部隊としてはAHは対米軍思想で決定だ。」

正直、こちらとしては苦渋の決断だった。
今までは過去の歴史からAHは対ソ連、もしくはロシアを相手とした構想が多かった。
その最たる例が富士教導隊のアグレッサー部隊。

「人類の敵は人類、か。」
「そうだな。だが、この戦争の先などと腑抜けた考え方では、この世界に先はないな。」

本音をハッキリと言う。正直、こんな腑抜けな考え方は否定したいが、そこまでの権限が無い。

「手厳しいな。」
「事実だろう。」

お茶を啜り一服する。

「……さて、行くか。」
「ん、何処に?」
「座学。」
「あぁ、なるほど。」

とりあえず、部屋に戻って資料を引っ張り出すか。


side・大咲

「BETAは基本的に複数の種類があり、光線級を除く全ての種類に纏まった共通点はありません。」

「……他にも未確認種がいる可能性も否定できないわ。」

「光線級の存在が戦場の風景を一変させたとも言えるし……。」

「戦術が無いわけじゃないわ。ただ、私達が見落としているだけ。」

「戦場で冷静になれない者は死と同じ。状況を冷静に把握し、最後まで生に執着しなさい。」

一通り説明し終えたので前を見ると、数名、頭から煙の様な物が見える。
まあ、本当に見えるわけじゃないけど。

「さて、リーリア少尉補。」
「はい。」

パソコンを操作し光線級、重光線級の画像を映す。

「重光線級と光線級のインターバルは?」
「重光線級で36秒、光線級で12秒です。」
「よく出来ました。基本だから覚えておいてね。」

リアちゃんを座らせ、要撃級と突撃級の画像を映し、伊隅少尉を指差す。

「さて、伊隅少尉。」
「は、はい。」
「要撃級と突撃級、撃破優先度が高いのは?それと、その理由は?」
「優先度が高いのは要撃級です。
理由は、要撃級の高い定常円旋回能力と攻撃力、それに対人感知能力が原因です。」
「概ね合ってるわね。蛇足だけど、攻撃用の前肢ね。あれはある意味、光線級よりも確実な脅威よ。
実際、要撃級の一撃は撃震でも大破は免れないし、陽炎や不知火なら一撃よ。
実際の映像がこれ。」

映像をスクリーンに映し出す。
そこには、要撃級の一撃で大破する陽炎の姿だった。
その光景に一同絶句する。

「まあ、実際まだこれは良い方。死んだなんて感覚が無いから。
撃震だったら大破の後、戦車級に群がられて貪り尽くされるからね。」

手元のパソコンを操作し、戦車級の画像を映す。

「さて、最後は今出た戦車級。こいつらの対応は近づかれる前に殲滅あるのみだけど、取り付かれたらまず慌てないこと。そしてむやみに突撃砲で倒さないこと。
IFFの都合上、味方に銃口が向けられない事があるの。
ついでに、老婆心からだけど短刀の訓練は怠らないでね。短刀は対戦車級の最大の武器だからね。」
「大尉、どうすれば上手く扱えるんですか?」
「それは経験だよ、伊隅中尉。シュミレーターでも実機の訓練でも良いからとにかく経験する事ね。
経験こそが人間の最大の武器だからね。」

全員が頷く。
素直で良い子達。あの黒っちの部下とは思えない。

「さて、今日で基本訓練は終わり。後は日々訓練ね。」

本を閉じ、パソコンの電源を落とす。

「それと、明日からはシュミレーター訓練も出来るから、暇な時にしなさい。
許可は取らなくても構わないわ。
ただし、書類だけは書いておいてね。誰が何時どれだけ使ったか知りたいから。」
「え、そんなに簡単で良いんですか?」
「まあ、この部隊の成り立ち自体が特殊だから、問題ないらしいよ。
詳しいことは少佐か副司令に聞いて。以上、解散。」
『ありがとうございました。』

号令と共に解散する。
夕飯、何にしよう。


side・????

「しかし豪華ですな。試作機をタダで入手できるとは。いやはや、その手腕を習いたいものですな。」
「まあ、餌をばら撒いて食いついたら焦らずに引く。釣りと同じだよ。
ところで、アラスカのサーモンって美味しい?」
「えぇ。特に今回のは大物でして、脂が乗って美味しいですよ。」
「それは楽しみだ。」
「えぇ。あ、そう言えば……。」
「どうしたんだい?」
「いえいえ、物語が脚本通りに行かないと思いまして。」
「それが人生だよ。決められた道や変わらない日常に何の意味がある?
人は変化の中で進化する。それは人として酷い間違いであり、正しい物だよ。」
「確かにそうですな。では、私はこれで。」
「うん。今度は葉巻が欲しいな。」
「葉巻ですか。何処が良いでしょうか?」
「ラングレー辺りが美味しいんじゃないの?お願い。」
「高いですよ。」
「それはいずれ精神的にお返しするって。ほんじゃ、お願い。」
「はいはい。」


後書き
アルバイト先でやった怖い話

一昨日、釜の火を点けるべくガスの点火栓を開けてチャッカマンで点火しようとしたら火が点かなかったんです。
一度、栓を閉めて、また栓を開けて火を点火するがまた点かない。
よくよく見るとチャッカマンが一度では火が点かない事に気づいたので、火を点けた状態で栓を開けて入れると一瞬、全身を火が包みました。
本当に一瞬だけでしたけど、本気で死んだと思いましたね(-_-;)
その後に店長に怒られましたけどねw

しかし、やはり火の元注意ですね。
特に冬場は。


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