杉並の教科書問題 Q & A

ここでは署名運動などで寄せられた質問や、杉並での教科書採択反対運動の焦点となっている点をご紹介します。

Q.杉並が一番あぶないってホント?
Q. 「つくる会」の教科書のどこが問題なの?
→もっと詳しく知りたい方には
「歴史教科書 何が問題か―徹底検証Q&A 」
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Q.来年度の教科書はどうやって採択されるの?
Q. 絞り込みの禁止って?選定審議会って?
Q.教育基本法10条とは?
Q. 地教行法23条とは?
Q.旭川学テ判決とは?
Q.どれくらいの人が反対してるの?
Q. 公正に採択されるの?
(ニュースステーションの報道内容についての補足)
Q. なぜ八月十五日までに採択しなければならないの?
  
Q.杉並が一番あぶないってホント?

A. 杉並がねらわれているのは昨年からの動きをみれば一目瞭然です。
2000.3 新たな教科書採択制度が作られ、"教師はずし"が強まった
杉並区教育委員会は新しく教科書採択制度を作りました。学校の先生たちの投票による制度が廃止され、先生たちによる「絞り込み」が禁止されました。順位付けも比較さえもしないという厳しいものです。
2000.11 教育委員として統一協会関係者が選任された
山田宏区長は、教育委員の5人のうち3人を辞めさせ、新たに3人を任命しようとしました (これはどこの自治体でも例のない異例なことです)。結果としては二人が任命されましたが、その一人大蔵雄之助氏は、「霊感商法」で有名な統一協会関係の新聞に主筆格で何度も執筆している人です。また、彼歴史事実をねじ曲げ「従軍慰安婦はいなかった。売春婦だった」などの暴言をはいている人です。教育委員交代劇・顛末記をお読みいただければ、杉並区長・杉並区教育委員会の"今"が一目瞭然になります。
山田区長は「つくる会」スポンサーと関係
山田区長は松下政経塾出身。この松下政経塾は「つくる会」のスポンサーの1つです。また「つくる会」の西尾幹二代表も杉並在住で、「つくる会」教科書採択の運動を展開してきました。
2001.2.8 東京都教育委員会「教育委員会の権限で教科書を選べ」との通達
東京都教育委員会は「教科書採択事務の改善について」をまとめ、市区町村に通達しました。その内容は、
  1. 中学社会科は、我が国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てるなど、新学習指導要領に示されている目標等を最もよく踏まえている教科書を選定すること。
  2. 教育委員会は、自らの判断で採択すべき教科書を決定すること。
  3. 教職員の投票によって採択教科書が決定されるなど、採択権者の責任が不明確になるおそれのある規定があるときは、速やかにその規定を改正すること。
  4. いわゆる「絞り込み」の規定があるときは、速やかにその規定を改正すること。
2001.4.12 石原知事「教育委員の責任で選ばなければこの国は滅ぶ」と発言
都庁で開かれた教育施策連絡会で、教育委員会が自分の責任で教科書を採択すべきだと強調しました。約300人の教育委員が出席している中、「自分の良識で採択する。これだけは皆さんの責任で行ってほしい。そうでないとこの国は滅びますよ」と発言しました。

(2001.6.11追記)
石原都知事は、1997年「新しい歴史教科書をつくる会」発足当初の賛同人だったということがわかりました。産経新聞の1997年1月3日号にその詳細がありました。
やはり、石原都知事×山田区長×大蔵雄之助氏×西尾幹二氏の構図がはっきりしました。
4月の教育委員への発言の意味もはっきりしました。公職の立場を乱用して、自己の右翼思想を押し付け (子どもたちに) る都知事の姿勢に、一都民として本当に憤りを感じます。


夜の八時に杉並区議会が決めたこと・・戦争賛美者たちを教育委員にしたてた山田区長
      「つくる会」教科書採択のための教育委員交代劇・顛末記
2000・11・30の記録

  街にクリスマスソングの流れる昨年11月30日午後1時過ぎ、杉並区議会本会議場の50ある傍聴席は全部埋まっていました。議場に入れないたくさんの人々は空席待ちとなり、モニターのある別室で待機していました。本会議は開始の時刻をとっくに過ぎても議員が一人も入場しないという異常な状態が続きました。傍聴者の間に情報が飛び交かっていました。「民主党は割れたらしい」「公明党ももめているらしい」など。この日の本会議には山田区長の推薦する教育委員の選任案が議会に上程されていたのです。
  さかのぼる11月14日、山田区長の意向として「教育委員の2名大門、鬼丸両委員を再任せずまた舟生委員長の辞職届を受理し、3名の委員を新たに選任する。」旨、非公式に議員に伝えられました。教育委員は5名で構成されていますが、3名一度に入れ換えるなどは前代未聞の事で、更にその3名のエーッという人物像が明らかになり、この情報が徐々に区民の間に広がりました。 
  区民集会や連絡会が各所で開かれ、議会や区長に対する申し入れもあいつぎました。山住正巳氏【元都立大総長】をはじめとする学者・文化人アピール文も200名を越す賛同者の署名入りで発表され、このことは28日付けの朝日新聞の地方版記事にもなりました。驚きと怒りはさらに広がりました。 あまりの反響の大きさに山田区長も動揺し、佐藤欣子氏の推薦を断念することとなりました。

佐藤欣子氏
霊感商法で悪名を馳せた統一協会系女性団体の関連機関紙の論客であり、「戸塚ヨットスクールを支援する会」【石原都知事会長】にも名前を連ねています。『正論』のなかでは、子どもたちが意見を述べることについて、「何も知らない幼稚な頭で・大人と同じく一票の権利を主張し、民主主義を履き違えるな」と主張しています。子どもの人権も認めないような人物を推薦した山田区長もきっと、佐藤欣子氏のような考え方をしているのでしょう。「朝まで生テレビ」などに、頭に大きなバラの花の飾りをつけて現れる人で、いずれにしても、このエキセントリックな弁護士はマスコミにも時々顔を出しているため弁護士界ばかりでなく名前が知られていて、区長も断念せざるをえなかったのではないでしょうか。知り会いの弁護士は「教育委員の候補に佐藤欣子氏が」という話を聴き、しばし絶句していました。候補に残った2名も佐藤欣子氏とは言動が非常に似通っています。
 
大蔵雄之助、東洋大学教授
統一協会の実質的機関紙「世界日報」の論客です。「世界日報」ではモンタナ大学で開かれた国際会議に出席したことにふれ、日本の核兵器禁止運動家の「原爆無用論」は説得力が無いとし、「あの破壊力を体験せずに日本は降伏したか」と述べ、核兵器有用論者であることが分かりました。 同会議には軍隊慰安婦問題で出席した市民団体もあり大蔵氏についてこう報告しています。「大蔵氏の『慰安婦なんていなかった。あれは売春婦だった。』との発言に韓国からの出席者は泣いていました。日本からの出席者も抗議したが訂正しなかった。」後日モンタナ大から「大蔵氏の売春婦発言は議事録から削除する」との連絡が入ったそうです。国際問題に発展するような問題発言を平然と行う人物です。教育委員としてはもっともふさわしく無い人物です。 
  
もう一人の候補者は区内で幼稚園を経営している宮坂公夫氏です。
宮坂氏の「所見」によれば「教育の目的は、祖先から受け継いだ文化を子供達に継承せしめる事」として、「自由、平等、権利」に対し「責任、努力、義務」を強調し、子供の可能性を伸び伸び育てることに対して、「自己中心的になりがち」と断じています。教育基本法第一条では教育の目的について「教育は、人格の完成を目指し(中略)自主精神に充ちた心身ともに健康は国民の育成をきして行なわなければならない。」とあります。 宮坂氏が教育の目的に据えているのが「祖先からの文化」であることは個人的な意見としては勝手ながら、憲法や教育基本法の目指す「個人の成長」とはまったく異質なものですから、教育委員になってはならない人でしょう。
  
  山田区長の推薦する3名の人物を紹介したところで、話を議会に戻します。各会派は直前までこの問題をどうするかでもめていました。開始時刻を大幅にずれこんで議員が入場し、山田区長も傍聴席をにらみつけながら席に付きました。教育委員の選任についての議案について質疑が始まると、野党各会派が次々に質問に立ち、それぞれ反対意見を述べました。質疑が進むにつれ山田区長の専横政治があらわになり、傍聴席から次々に抗議の声があがり、その都度区長は傍聴席をにらみ付けるのでした。

区長の専横ぶりを全部を紹介するのは長文になるので一部ですが書き出してみます。
  第一議会無視という点です。
先にお話した3名については、一部の議員が聞いただけで全議員に知らされたわけではありませんでした。区長は佐藤欣子氏を断念したらしいといううわさは流れたのですが、最終何人選任されるかも、誰が候補に上がっているのかも、議会の蓋が開かないことには分からない状態だったのです。 候補者の思想や政治的背景、日頃の言動など教育委員の資質があるかどうか、事前に議員が調べて判断する時間は最低必要なわけで、それを一切情報公開せずに、「区長の推薦する人物に文句があるか」的、態度なのです。責任ある議員なら、承認できるはずはないですね。区長の議会無視は選挙民を愚弄するものです。
  第二に、教育委員会が区長に私物化されてしまう危険があることです。
教育委員会は中立の立場をとるために、基本的に1年で1人、多くても2人が変わるように、法律で決まっています。委員によって教育行政が激変することを避けてのことです。教育委員5人の内3人が任を代わるというのは、多数決なら区長の意見がストレートに通ってしまうことを意味します。
区長の候補に立てたのは、前にお話した大蔵雄之助氏、宮坂公夫氏の2名でした。3名の退任はきまっているので、変則4名の委員ということになります。これは通達でもあってはならないことになっているのですが、無視しているようです。しかも、任期を満了した、大門、亀頭両氏は再任されることを希望していたということですから、区長の気にいらない人は1人でもいれない勢いです。
  区長は今年6月に新しい候補者を選任する予定らしいので、結局区長の息のかかった委員で占めるつもりでしょう。退任を促された大門、亀頭両氏は学校に競争原理を持ち込む学校(学区域)自由化に反対していたので、区長にとっては目障りだったのですね。それにしても、良識派の2名を失ったのは残念な限りです。
  第三教育委員には最悪の人選を区長の独断で候補者に決めていることです。
教育委員会にも相談はなかったし、推薦をする人もいなかった点です。与党である民主党もあきれて党内が割れました。大蔵雄之助氏については特に、統一協会系世界日報での執筆記事に質問が集中しましたが、区長は開き直り「自分は立派な人物だと判断する」としか答弁できませんでした。これが怒号の中、夜の8時まで続くという前代未聞の議会でした。    

  採決は退席10名、24人の賛成、17人の反対で区長案が採択されました。退席者を加えれば、過半を超えた議員は認めていない結果となったのです。腹立たしくかつ残念な結果です。誰が賛成したか、後述しますので次回の選挙の参考にして下さい。

  山田区長はこうまでして何がやりたかったのでしょうか。

ヒントは前の区議会にあります。区長は杉並区で現在使われている、中学校の社会科【歴史】教科書(日本書籍)を「偏向」していると猛烈に批判した場面があったのです。行政が教育の内容に踏み込んだ発言をすること自体、教育基本法10条(行政が教育の内容に介入出来無いことを定めた条文)にかかわる問題で、行政の長としての立場を理解しているとは思えません。
 日頃からも「(このような教科書を教える)杉並区の教員を全部辞めさせる」などの言動があり、山田区長が「教科書を変えるつもり」であることと共に、気に入らない教師を辞めさせるつもりであることがはっきりしていました。
  大蔵雄之助氏の主張と酷似している「新しい教科書をつくる会」が作成した中学社会科教科書を採用させる運動がいま全国で組織的に行われています。教育委員会だけの判断で教科書を採用する請願を議会が採択するところも増えています。「新しい教科書をつくる会」の歴史教科書は戦前の植民地支配を正当化したり、太平洋戦争を賛美しています。山田区長は戦争賛美者を教育委員会に送りこむことで「つくる会」の教科書採択を実施するつもりのようです。それに反対する教職員は「学校評議会制度」を使って排除するつもりでしょう。
  秋の文教委員会で自民党議員の質問「偏向教師はどう処分するか?」に対し、教育委員会は「学校評議会制度を用い、地域の声として教師を辞めさせる。」の趣旨の答弁をしています。学校評議会制度は今年度からスタートしています。PTAやPTAのOBを学校長の諮問機関化し、教育の内容や教師の「能力」「資質」にまで口をはさむ、「圧力団体」であることは明らかです。
「地域に開かれた教育」のキャッチフレーズの後ろには、学校を中心とした地域の草の根ファシズムを全国に組織化するという意図が見え隠れしています。

6月13日区議会本会議最終日に現在欠員の教育委員が一人選任される予定のようです。昨年区長が断念した佐藤欣子氏に代わる人物が推薦されることになりますが、これで区長の推薦した人物が3名となりますから、計5名の委員のうち「つくる会」賛同者が最低3名出現することになります。過半を占めるわけですから、「教育委員会」に採択権ありとして、押し切られた場合、「つくる会」教科書が採択されてしまうことになります。
杉並が一番危ない!!という背景には以上のように、「つくる会」教科書採択に向けての山田区長の強い意思と、計画的な教育委員会の体制作りが挙げられます。
     以上 昨年の教育委員会選任過程を報告しました。   報告 親の会(M)

Q.「つくる会」の教科書のどこが問題なの

A. 「つくる会」の教科書は戦争を肯定する教科書です!!!

歴     史

教育勅語を全文掲載。「日本人の人格の背骨」と持ち上げ 教育勅語は「一旦戦争になれば勇気をもって国のために尽くせ」と書かれています。1948年国会で教育勅語は憲法・教育基本法の精神 - 真理と平和を希求する人間を育成する民主主義的教育理念にそむくものとして排除・失効決議がなされました。それがまた登場することは、「お国のために命を投げ出せ」と教えることです。
日本の侵略の実相は書かず、被害だけを強調。 朝鮮半島を「大陸から突き出た一本の腕」「日本を攻撃する格好の基地」と、凶器のように言っています。そして1910年の「韓国併合」をあたかも正当だったように書いています。
日本のアジア侵略戦争と第二次世界大戦については、日本の被害だけを強調。数千万人の殺戮、南京大虐殺、皇民化政策、731部隊の毒ガス・細菌戦、生体実験、三光作戦、軍隊慰安婦、強制連行、創氏改名など日本が犯した戦争犯罪にまったくといっていいほど、触れていません。
与謝野晶子の「君死にたまふことなかれ」は反戦歌ではない?! 1904年日露戦争に出兵していた弟を思いつづった「君死にたまふことなかれ」の詩は明らかに戦争を否定するものでした。「つくる会」教科書は全文を掲載せず、これは反戦歌ではなく、家制度を重んじるものだったとねじ曲げて強調しています。
「国」への自己犠牲を美化・沖縄戦の事実を偽る 特攻隊で「国」のために命を投げ出した青年を取り上げ、「国」(=天皇)への自己犠牲を賛美しています。日清戦争で日本が勝ったのは「自国のために献身する国民だったから」などと書いています。沖縄戦の中で、日本軍にむりやり動員され、最後には自決まで強要されたひめゆり学徒隊などを「お国のために勇敢にたたかった」などといつわっています。
神話と天皇制を大量掲載 神話の記述に8ページも使っており、戦前の国定教科書を思わせます。教科書のはじめと終わりに天皇をおいて、全体通じて皇国史観が貫かれるようにできています。

公     民

日本国憲法をくりかえし攻撃 「日本国憲法の存在が障害になっている。」という記述が何度も何度も出てきます。まるで憲法改正 (改悪) のためのパンフレットのようです。「集団自衛権を憲法に明記すべき」とし、9条 (戦争放棄) を特に目の敵にしています。さらに基本的人権を根本的に否定しています。
「核廃絶は絶対か?」と核兵器反対に異論をとなえる 「核兵器廃絶は絶対正義か?」と核兵器を持つことが抑止力になるように教え、日本も核兵器を持つべきとしています。ヒロシマ・ナガサキを知っているからこそ、核は平和をもたらさず、人間と共存できないことを伝えていく必要があるのではないでしょうか。
「生命尊重は最高の価値となりうるか」と命の大切さを否定 「生命尊重は最高の価値となりうるか」というコラムは検定の結果削除されました。しかし、そこには「つくる会」自身が言っているように、「お国のために、天皇のために死ぬことが尊い」という考え方は全編に貫かれています。
自衛隊と「日の丸」のオンパレード グラビアや扉絵、挿入写真は自衛隊や「日の丸」のオンパレードです。「尖閣諸島」(中国領・魚釣台)に日本の代議士 (西村真悟) が上陸して「日の丸」を掲げているシーンが大きく取り上げられています。

● 韓国や中国などから当然にも強い修正要求が寄せられています。しかし日本政府はこの要求にまったくこたえようとしていません。日本は世界の中のひとつの国です。批判を承知で、ひらきなおって子供たちに教えていくのでしょうか。「太平洋戦争で日本はアジアの解放に寄与」などとまちがった史実を学んだ子供たちは、世界の中で孤立するのではないでしょうか。

● 歴史年表には、例えば世界四大文明もルネッサンスもフランス革命もありません。世界と日本のかかわりや、世界の中で日本はどういうふうに位置してきたかなど、歴史の中で学ぶものがずいぶん落とされています。これが本当に教科書として使えるでしょうか。先生方も大変苦労されるのではないでしょうか。

●いちばん困るのは子供たちだと思います。


Q. 来年度 (2002 年) の教科書はどうやって採択されるの

A. 杉並区立学校教科書用図書採択事務の流れ図は次のようになります。


小学校100冊、中学校300冊の教科書があります。
それを教育現場を知る専門家を昨年秋、区長が排除し、区長の独断で選任した教育の専門家ではない新教育委員2名を含めた4名 (6月3日段階 - 6 月13日に欠員1名補てんの可能性あり) が数週間のうちに400冊全部に目をとおし、自らの判断で適切な教科書を採択するなど、物理的にできるものではありません。
また学校現場からは適正な教科書を絞り込み、推薦することはできず、参考にすぎないというのです。
この流れ図と実体、また昨年からの杉並区の動きをみても、特定の教科書を採択するための意図がはっきりしています。
是非、展示会場に出向いてアンケートに記入するとともに、6月25日位までに各学校で先生方への保護者としての要望を伝え、「区民や学校現場の声から乖離した教科書を採択させないよう」な大きなうねりをつくりましょう。


Q.絞り込みの禁止って?選定審議会って

A. これまでは、教育現場を最も良く知る教師が教材としてふさわしい教科書を一、二冊選定し、推薦していました。つまり、子どもたちと日々向き合い、教育内容に責任を負う教師の意見が教科書採択に反映されていました。これを「絞り込み」といいます。これが、昨年来、全国各地で「つくる会」が先頭となって各自治体に働きかけ、学校票も、種目別調査会も、選定審議会にも「絞込み」を行わせず、教育委員会への答申内容には、推薦もできないという仕組みに教科書採択制度が改悪されました。杉並区では2000年3月にこの新たな教科書採択制度が成立し、昨年夏 (2000年夏) に行った審議会の報告書の一部は次の内容となっています。種目別調査部会の報告書もまったく同じ形式です。(報告書全体がご必要な方は親の会までご連絡ください。)

すごく抽象的な内容だと思いませんか?このような報告書がすべての教科書について提出されて、その中からどれが最も適切な教科書だということがわかりますか?区内には区立小学校が44校、区立中学校が23校あります。小学校約100冊、中学校約300冊の教科書があります。

教科書採択の流れ図を見ても明らかなとおり、
(1) 各学校から、44×100+23×300=11,300の報告書が提出されます。
(2) 種目別調査部会から、400の同種の報告書が提出されます。
(3) 各展示会場での区民アンケートが提出されます。
(4) 選定審議会はこの11,700枚の報告書と区民アンケートから報告書 (400枚) をまとめます。どうやってまとめるのでしょうか???
(5) そして、非常勤の教育委員は400冊の教科書全部に目をとおし、その上で、12,100枚の報告書と区民アンケートのすべてに数週間のうちに目をとおし、その中から、適正な来年度の教科書をどうやって選定するのでしょうか?

どう転んでも、公正な審議、選定は不可能だということは一目瞭然です。

「つくる会」が先頭になって、この新たな教科書採択制度を各自治体に働きかけてきたこと、「つくる会」賛同人だった都知事が教育委員に「独自に採択せよ!」と話していること、「つくる会」スポンサーの独断で、教育委員を入れ替えたこと.... すべてが、この歴史を歪曲した教科書を採択するための動きであったことがわかります。
こんな無謀な、教育現場を、そして何より子どもたちをないがしろにした、今の教科書採択の流れを、多くの区民、教師、保護者の力を合わせてストップさせましょう!!!




Q. 地教行法23条とは?

A. 「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(昭和31.6.30法律第162号)のことで、今回、杉並区教育委員会が採択権の根拠にしている23条は次のとおりです。しかし条文にあるとおり、地教行法23条は教育委員会の職務権限を「事務」に限ったものです。また教育基本法10条で、行政は教育内容に踏み込めないことを銘記しています。
地教行法
(教育委員会の職務権限)
第二十三条 教育委員会は、当該地方公共団体が処理する教育に関する事務及び法律又はこれに基く政令によりその権限に属する事務で、次の各号に掲げるものを管理し、及び執行する。
 一 教育委員会の所管に属する第三十条に規定する学校その他の教育機関(以下「学校その他の教育機関」という。)の設置、管理及び廃止に関すること。
 二 学校その他の教育機関の用に供する財産(以下「教育財産」という。)の管理に関すること。
 三 教育委員会及び学校その他の教育機関の職員の任免その他の人事に関すること。
 四 学齢生徒及び学齢児童の就学並びに生徒、児童及び幼児の入学、転学及び退学に関すること。
 五 学校の組織編制、教育課程、学習指導、生徒指導及び職業指導に関すること。
 六 教科書その他の教材の取扱いに関すること。
 七 校舎その他の施設及び教具その他の設備の整備に関すること。
 八 校長、教員その他の教育関係職員の研修に関すること。
 九 校長、教員その他の教育関係職員並びに生徒、児童及び幼児の保健、安全、厚生及び福利に関すること
 十 学校その他の教育機関の環境衛生に関すること。
 十一 学校給食に関すること。
 十二 青少年教育、婦人教育及び公民館の事業その他社会教育に関すること。
 十三 体育(スボーツを含む。以下同じ。)に関すること。
 十四 文化財の保護に関すること。
 十五 ユネスコ活動に関すること。
 十六 教育に関する法人に関すること。
 十七 教育に係る調査及び指定統計その他の統計に関すること。
 十八 所掌事務に係る広報に関すること。
 十九 前各号に掲げるもののほか、当該地方公共団体の区域内における教育に関する事務に関すること。


Q.教育基本法10条とは?
A. 教育基本法は、昭和22年3月31日 法25号として公布されています。10条の条文は次のとおりで、教育の行政介入を禁じています。

第十条(教育行政) 
1 教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し 直接に責任を負って行われるべきものである。
2 教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。


Q. 旭川学テ事件判決とは?
A. 北海道旭川において、文部省によって全国一斉学力テストが実施されようとしたことに対して、これが教育を画一化する国家統制であるとして教室へのテスト用紙搬入などを阻止しようとした教師の行為などに対して起訴された事件。一・二審は、本件学テの実施には甚だ重大な違法があり、公務執行妨害罪は成立しない、とした。最高裁判決 (最大判昭51.5.2) は

「憲法の保障する学問の自由は、単に学問研究の自由ばかりではなく、その結果を教授する自由をも含むものと解される。普通教育の場においても、たとえば教師が公権力によって特定の意見のみを教授することを強制されないという意味において、一定の範囲における教授の自由が保障されるべきことを肯定できないではない。」(最大判昭51.5.21)

とした。また、国の教育内容決定権については、

「親は、子どもに対する自然的関係により、…子どもの教育に対する一定の支配権、すなわち子女の教育の自由を有すると認められるが、このような親の教育の自由は、主として家庭教育等学校外における教育や学校選択の自由にあらわれるものと考えられるし、また,私学教育における自由や前述した教師の教授の自由も、それぞれ限られた一定の範囲においてこれを肯定するのが相当であるけれども、それ以外の領域においては、…国は、…必要かつ相当と認められる範囲において、教育内容についてもこれを決定する権能を有する」。「教育内容に対する右のごとき国家的介入についてはできるだけ抑制的であることが要請されるし、…子どもが自由かつ独立の人格として成長することを妨げるような国家的介入…は、憲法26条、13条の規定上からも許されないと解することができるけれども、これらのことは、…子どもの教育内容に対する国の正当な理由に基づく合理的な決定権能を否定する理由となるものではない」。

さらに、

個人の基本的自由を認め、その人格の独立を国政上尊重すべきものとしている憲法の下においては、子どもが自由かつ独立の人格として成長することを妨げるような国家的介入、例えば、誤った知識や一方的な観念を子どもに植えつけるような内容の教育を施すことを強制するようなことは、憲法二六条、一三条の規定からも許されない

との判示もあわせると、これが教科書採択権の根拠にはならないことは明白です。


Q.どれくらいの人が反対してるの?

A.6月20日の教育委員会で、教育委員会への陳情およびその要旨が配られました。以下配布された教育委員会資料からの転載です。私たち親の会に限らず、多くの人たちが杉並区の教育委員会に対して「つくる会」教科書の採択に反対した陳情・申し入れを行っています。
これだけ多くの陳情・申し入れに対して、教育委員会はどのような立場でこたえようとしているのか、6月29日に要請書を提出しました。

(7月20日追記)
7月11日の教育委員会で、前回の6月20日以降に杉並区教育委員会へ提出された「陳情等及びその要旨」が報告されました。7月9日までの計42の陳情のうち、33の陳情 (約八割) が「つくる会」の教科書に反対する陳情です。

教育委員会資料
平成13年7月11日
教育委員会事務局庶務課
陳情およびその要旨

陳情等(受理)年月日
陳情団体名等
陳情名等 要旨
平成13年6月20日
日本出版労働組合連合会
中央執行委員長
教科書採択に関する要望書
  1. 「新しい歴史教科書をつくる会」による違法な宣伝活動が行われていますが、それに惑わされることなく、公正な採択を行ってください。
  2. 採択にあたっては、教育現場の意見がいっそう重視されるようにしてください。
  3. 教職員が教科書の調査研究を十分に行えるよう、時間その他の条件整備を行ってください。
  4. 民主的な方法で集約された保護者・区民の意見が尊重されるよう配慮してください。
  5. 教職員・保護者・区民の教科書研究が十分に行えるよう、見本本の展示期間の延長、展示場所の増設などを実現してください。
  6. 採択の過程について、情報公開を行ってください。
平成31年6月20日
部落解放同盟全国連合会
杉並支部
「つくる会」教科書の採択を阻止しよう はじめに「つくる会」教科書の採択を許すな。
  • 差別を積極的に肯定・煽動
  • 部落差別の現実と部落解放運動を抹消
  • 江戸時代の身分差別を賛美
  • 繰り返される天皇制の賛美
  • 歴史的事実を抹消し、拝外主義を煽動
  • 戦争への道を阻むために歴史を偽造し、侵略戦争を賛美し部落差別を積極的に肯定・煽動する「つくる会」教科書の採択を絶対に阻止しましょう
平成13年6月22日
日中友好協会杉並支部
支部長
侵略戦争美化の「教科書」選択に関する申し入れ
  1. 杉並区の教科書選定については、教育現場に直接たずさわる教師と区民の意向を十分反映されたい。
  2. 教科書選定の経過と結果について区民が納得できるよう具体的な内容の情報公開をなされたい。
  3. 「新しい歴史教科書をつくる会」の「歴史教科書及び公民教科書」を選定されないように申し入れます。
平成13年6月22日
日本の子供に希望を与える杉並の会代表
中学教科書採択に関する陳情 扶桑社版の教科書を採択されることを強く要請したいと考えるに至りました。
平成13年6月25日
自由法曹団東京支部支部長
「新しい歴史教科書をつくる会」主導の中学歴史・公民教科書に懸念を表明し、杉並区における教科書の民主的な採択手続きの履践を求める要請書 史実を歪曲し憲法と教育基本法を蹂躙する「つくる会」中学歴史・公民教科書の教育現場への持ち込みに断固反対する。
現場の教職員や父母らの意向を踏まえた民主的な採択手続きが行われるよう要請させていただく。
平成13年6月25日
総合女性史研究会
中学校用「新しい歴史教科書」を女性史の立場から検討した結果、学校教育の現場で使われることに深い憂慮と強い危惧の念を持った。教科書の採択にあたって大きな影響を与えることを配慮されるよう強く要請いたします。
平成13年6月26日 教科書採択の公正確保についての陳情書 教科書採択は各種規制に則った公平、公正な選定作業でなければならないが、扶桑社発行の歴史・公民教科書は選定の対象としての的確性に欠けている。このため教科書採択の対象から除外するか、もしくは採択しないよう、要望します。
平成13年6月27日
「つくる会」の教科書採択に反対する杉並・親の会
署名6,234名
歴史をねじ曲げ、戦争を肯定する歴史教科書採択に関する陳情
  1. 教育委員会は、「新しい歴史教科書をつくる会」がつくった歴史・公民教科書の採択をしないこと。
  2. 教育委員会は、教師の意見を尊重し、独断で教科書の採択をしないこと。またその採択経過を明らかにすること。
平成13年6月27日
杉並区教職員組合執行委員長
都教組杉並支部支部長
都高教第三支部支部長
  1. 教科書採択に当たっては現場職員の意見を尊重すること
  2. 保護者・区民の意見を尊重すること
  3. 上記を実現するために調査部会報告のみならず、各学校から提出される「調査研究報告書」や住民アンケートなどの資料が採択の際にどのように活用されるのかを明らかにすること
  4. 教科書採択にあたっては下記の内容を基準とすること
    @学習指導要領の断片のみを基準とせず、日本国憲法・教育基本法・学校教育法・こどもの権利条約を遵守した内容の教科書の採択A真の国際理解・国際協調の見地について十分配慮した内容の教科書の採択Bどの子にも確かな基礎学力を保障するよう配慮した教科書の採択C歴史を歪曲したり、歴史の真実を記載しない教科書は採択しないこと
  5. 公正な採択を阻害するものには抗議をすること
平成13年6月27日
日本基督教団西東京教区総会総会議長
扶桑社版「新しい歴史教科書」「公民教科書」に関する要請書
  1. 教育委員会は、「新しい歴史教科書をつくる会」がつくった歴史・公民教科書を採択しないこと。
  2. 教育委員会は、教師の意見を尊重し、独断で教科書の採択をしないこと。またその採択経過を明らかにすること。
  3. 大蔵雄之助氏は辞任し、他の公正・中立な立場の委員が教科書採択作業に携わるよう委員改選を行うこと。
  4. 教育委員会の教科書採択作業が公正中立な立場で十分に議論を尽くして行われていることを確認できるよう、ひとりでも多くの傍聴者が立ち会えるよう工夫すること。
平成13年6月28日
杉並光友会
平成14年度から使用予定の中学社会科公民教科書の採択にあたっての陳情 地域住民、特に教室で子どもたちと使用する教師とも十分な協議の上、最良な教科書を採択することを願う。
平成13年7月3日
東南アジア史学会有志一同124名
  1. 「新しい歴史教科書をつくる会」編纂の教科書の採択に反対する。
  2. 教科書採択にあたり、青少年に対しバランスのとれた歴史への関心を育むためにも、近隣アジア諸国に対する過去の日本の加害者としての側面を見落とすことなく、慎重な決定がなされることを要望する。
平成13年7月3日
らいてう研究会
「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史教科書の採用に反対 「つくる会」の「歴史教科書」は、中学生にとって非教育的であり、その採用に反対する。
平成13年7月3日
平和を願い戦争に反対する戦没者遺族の会
「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を子どもたちに使わせることに反対する。
平成13年7月3日 「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を子どもたちに使わせることに反対する。
平成13年7月3日 「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を子どもたちに使わせることに反対する。
平成13年7月3日 「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を子どもたちに使わせることに反対する。
平成13年7月3日 教科書採択に当たっては、すべての教科書を比較検討し、教育委員会の権限と責任において、最も適切な教科書を採択することを希望する。
平成13年7月6日
子供達の未来を考える会
中学校の歴史・公民教科書の採択に関する陳情書 平成14年度から使用される中学校の歴史教科書及び公民教科書については、扶桑社発行の「新しい歴史教科書」及び「新しい公民教科書」を採択する。
平成13年7月6日 「新しい歴史教科書をつくる会」の中学歴史教科書を採択しないように強く要望する。
平成13年7月6日
治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟杉並支部支部長代行
扶桑社版中学校歴史・公民教科書の不採択を求める陳情書 扶桑社版中学校歴史・公民教科書を学校教育現場で使用すべきではない。
平成13年7月6日
日本大韓民国民団東京支部
2002年度歴史教科書に対する要請
  1. 近隣諸国条項が設けられた経緯と趣旨を踏まえた教材が採用されることを望む。
  2. 「国連人権教育10カ年計画」が目指す教材が採用されることを望む。
  3. 「新しい歴史教科書をつくる会」の中学歴史教科書を採択しないように強く要望する。
平成13年7月6日
子どもの未来と教育を考える会代表
教科書採択に関する要望書
  1. 教科書の採択に当たっては、特定の教科書を採択させようとする団体の影響を受けないこと。
  2. 教師が教科書の採択に深く関われるようにすること。
  3. 教科書の調査、選定、採択は憲法と教育基本法に合致しているかを基準にすること。
  4. 子どもたちにとって、真にふさわしい教科書を採択すること。
平成13年7月9日
公正な教科書採択を願う会代表
平成14年度中学校社会科教科書(歴史・公民)の公正な採択についての陳情 採択に対する不当な干渉・圧力に屈することなく、勇断を持って、次代の国民の教育のため、公正・中立な立場で、自らの見識と良心に従い、学習指導要領に最も添った教科書を採択してほしい。
平成13年7月9日 歴史教科書のうち、扶桑社発行の「新しい歴史教科書」が穏健にして、採択に値する。
平成13年7月9日
婦人民主クラブ杉並支部代表
扶桑社の中学歴史・公民の教科書を採択しないように要請します。
  1. 教科書の採択に当たっては、子どもの実態を把握している教育実践の現場と区民の意向を尊重してください。
  2. 新しい歴史教科書・公民(扶桑社)は、杉並区の教育理念にそぐわないため、採用しないでください。
平成13年7月9日
「つくる会」教科書に抗議する東大アピール実行委員会
「つくる会」教科書に抗議する東大アピール 公正・民主的な教科書が採択され、子どもたちを豊かな未来へと案内するにふさわしい教科書が選ばれることを要求する。
平成13年7月9日
杉並の教育を考える会
教科書採択に関する陳情 扶桑社の新教科書だけが、公正な歴史の真実を明らかにしようとした画期的な編集がなされており、この教科書の支援をお願いする。
平成13年7月9日 教科書採択に当たっての意見書
  1. 子どもたちに平和共存への努力を教えてほしいので、扶桑社の教科書は不適切である。
  2. 扶桑社の本は、物語と史実を誤認させる記述があり、出版物としては不誠実であり、採択しないでほしい。
平成13年7月9日 杉並区立中学校の教科書の採択に関する陳情 区立中学校の歴史教科書及び公民教科書は、いずれも扶桑社の教科書を採択してほしい。
平成13年7月9日
日本青年社
中学校教科書の採択に対し、教育者としての日本人としての誇りを失うことなく適切な判断を要望する。

教育委員会資料
平成13年6月20日
教育委員会事務局庶務課
陳情およびその要旨
陳情 (受理) 年月日
陳情団体名
陳情名 要旨
平成13年4月18日
杉並平和委員会
代表 藤原 彰 湯浅 謙
「新しい歴史教科書をつくる会」メンバーの編集執筆による中学歴史・公民分野教科書を採択しないことを求める陳情 杉並区立中学校 (区立養護学校を含む) で来年度から使用する教科用図書選定にあたって、「新しい歴史教科書をつくる会」メンバーの編集執筆による中学歴史・公民分野教科書 (扶桑社発行) を採択しないことを求める
平成13年4月18日
都政を革新する会
代表 長谷川 ひでのり
申入書
  1. 「新しい歴史教科書をつくる会」が実質的編集をした扶桑社の中学歴史・公民教科書を採択しないことを求める
  2. 大蔵雄之助委員の辞任を求めます。
平成13年5月10日
東京反戦共同行動委員会
代表 三角 忠 長谷川 ひでのり
「つくる会」教科書を杉並区は採用しないよう申し入れる。
  1. 杉並区教育委員会は、「つくる会」教科書を採用するな。
  2. 現場の教育労働者の意見を尊重して教科書を採択しろ。
平成13年5月23日
「つくる会」の教科書採択に反対する杉並・親の会
大蔵雄之助氏の教育委員選任時、議会における虚偽のコメントの責任問題と辞任要求に関しての申し入れ 大蔵雄之助氏は教育委員選任時の虚偽のコメントの責任をとって辞任すること
平成13年5月23日
新城せつこ他有志一同
新しい歴史教科書をつくる会編「中学社会歴史・公民」(扶桑社)を採択しないことを求める要請
  1. 杉並区教育委員会は、扶桑社版「中学社会歴史・公民」を採択しないこと
  2. 大蔵雄之助氏の辞任を求める
  3. 杉並区教育委員会は、文部科学省に扶桑社版「中学社会歴史・公民」の検定合格を白紙撤回することを要求すること
平成13年6月12日
憲法をくらしにいかす杉並区政をつくる会
代表 藤井 眞人
扶桑社発行の中学の歴史・公民の教科書の不採択等を求める
  1. 2002年の杉並区の中学校の歴史、公民の教科書として、扶桑社発行の教科書を採択しないでください。
  2. どの教科書がよりふさわしく、より妥当でないかについて、教育のプロである現場の教師の意見をよく聞き、その多数の意見が反映する採択を行ってください。
  3. 採択の過程について、区民に十分公開し、透明にしてください。
平成13年6月12日
部落解放同盟全国連合会
杉並支部
教科書採択に関する申し入れ
  1. 教科書の採択にあたっては、日本国憲法及び教育の理念を尊重すること。
  2. 教科書の採択過程が誰でもわかるように公開すること。
  3. 採択にあたっては、直接指導する教師が採択できるようにすること。
  4. 扶桑社版の歴史・公民教科書を採択しないこと。
平成13年6月13日
杉並の教育を考えるみんなの会
代表 山住 正巳
「新しい歴史教科書をつくる会」による中学歴史・公民の教科書を採択しないでください。
  1. 教科書を選ぶにあたっては、多くの教師の意向を重視してください。
  2. 「新しい歴史教科書をつくる会」による中学の歴史・公民の教科書が教育現場に持ち込まれることを強く反対します。
平成13年6月18日
歴史教科書を読む杉並の会
代表 趙 景達
教科書採択に関する申し入れ 昨今、「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書が、各自治体で採択されようとする動きがあり、この教科書は、世界の人々との共生を拒否するものであり、教育の現場に持ち込むことは断じて許されない。採択しないでください。
平成13年6月19日
杉並の「教科書」採択の自主性を守る会
代表幹事 藤本 卓二 大久保 慎
和田 昭
杉並の「教科書」採択の自主性を守るための申し入れ
  1. 我が区においては、特定な教科書に対して排斥運動や街頭宣伝活動等々が、陳情活動という美名のもとに常軌を逸する行き過ぎで圧力的と思われる運動が展開されている。
  2. 特定の教育委員に対して個人的な中傷と感じるまでにエスカレートした運動も展開されている。
  3. このような混乱した教育現場の状況のなかで、教育委員会は、圧力の影響を受けずに、公正かつ中立で適正な採択事務が進められるのか疑問を抱かざるを得ない。
  4. 杉並区教育委員会として、あくまで子どもたちにとって最善の教科書一冊を、一切の妥協なく採択されることを要請する。
平成13年6月19日
教育とジェンダーを考える会
代表 遠藤 織枝 羽田
教科書採択に関する陳情書 昨今国内外から大きな批判を浴びている「新しい歴史教科書をつくる会」の「歴史」「公民」の教科書は多くの問題点を含んでいる。憲法第14条に謳われている男女の平等の原則を否定し、性別役割分担を助長する教科書であることに危惧を感じる。この教科書を採択しないよう強く訴えます。


Q.公正に採択されるの?

A. 7/6 のニュースステーションで、教育委員会に與川教育長は「集まってくるデータをしっかり検討する」「十分な議論は可能」とインタビューにこたえていました。

しかし、各学校から計 11,200 枚の報告書が提出されたのが6月29日、展示会場での区民アンケート記入締切が 7月5日、そして各教科の専門の種目別調査部会が選定審議会に 400 枚の報告書を提出するのが7月9日だとわかりました。それををうけて、選定審議会がこの 11,700 枚+α の報告書にたった2日で全部を検討した上で400枚の報告書を提出することになります。
そして、教育委員会は、7月24〜25日のたった二日で 12,100枚+αの「集まったデータをしっかり検討して、十分議論する...」と與川教育長は、マスコミで宣言してしまいました。こんなでたらめな話はありません。



同じくニュースステーションで社会科の先生が「使いやすい教材がよい」、しかし教員の意見を反映する場がなくなったので教科書展示会でアンケートを記入したが「どのように使われるかが不透明」とおっしゃっていました。まったくそのとおりだと思います。

昨年秋、教育委員を続けたいと申し出つつ、山田区長の独断で解任された教育委員三名の方々の昨年の教科書採択審議が行われた教育委員会での発言内容は、

教育委員会で選定することに変わったことについて「考え方として委員会がこういう思想でやりたいということよりも、むしろ学校の先生としての使いやすさというのが一番大事だと思う」。

教科書採択について「教科書採択のその時点だけでなく普段においても、こういうふうにすれば実際にそれを学校で教えるものとしてなお便利だと。教科書を実際に使って教えている先生たちのそういう要望を絶えず聞き取っておく、吸い上げておくという努力を普段にされていくことが、教科書採択をよりよく学校や地域に密着したものになるのではなかろうかと。」

12,100枚の羅列式の報告書に変わったことについて「これ読むの、ものすごく大変ですね。」
歴史教科書について「歴史についてのご意見も一方ではそうでもあるし、そうでないという意見も私はきっとあると思うのですね。ですからその両方をよく聞かないと、この問題についての判断は、なかなか委員会としてはできないと思いますので、広く区民の意見を聞くということを来年はやってもらいたいと思います。」

いずれの三氏も、教育委員として責任をもち、学校教育、教科書採択をよりよくしていこうと積極的に発言されています。このような三氏を解任し、問題発言を繰り返す教育委員を選任する山田区長・杉並区行政のでたらめさが浮き彫りになります。この三氏の指摘されているもっともな流れに逆行する人たちが現在の教育委員会を構成していることに憤りを禁じ得ません。

杉並区行政と教育委員会が、学校や地域・家庭から乖離した独走をさせないために、大きなうねりを作っていきましょう。

*親の会日記 7月5日分もあわせてお読みください。

Q.なぜ八月十五日までに採択しなければならないの?

来年度使用される教科書の教科書会社ごとの冊数を把握し、教科書会社に発注するための期限と理解していましたが、愛媛の方々のたたかいで、八月十五日の意味が非常に大きくなってきました。愛媛の方々が取り組みの中で得たことを共有するために転載します。

Q. 15日が採択結果を文部省に報告する最終期限であると聞きますがその法令というか、期限の延期・延長について法的なことをお聞きしたいのですが...

A. 根拠法令は、「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行令」(昭和三十九年二月三日政令第十四号)の第13条です。

ご参考までに、この施行令(政令)の全文を添付します。念のため政令というのは、内閣の決定する行政立法です。もちろん、法律ではありません。

(採択の時期)
第十三条  義務教育諸学校において使用する教科用図書の採択は、当該教科用図書を使用する年度の前年度の八月十五日までに行なわなければならない。
 2  八月十六日以後において新たに教科用図書を採択する必要が生じたときは、すみやかに教科用図書の採択を行なわなければならない。

ということで、15日以後でもかまわないということになります。